第18話新たなアイテム
ドアが開いた「カラン、コロン」と鳴りだす。
なんだ、いつの間に付けた。
あれ!俺の工房に知らない人が・・・こっちを見て微笑んでいる。
何故なら間宮は、長い髪でシルバーグレーに染めているから印象的だ。
後ろから見たら婆さんかと見間違える程に。
「あんた誰・・・ここで何をしてるんだ・・・」
泥棒か・・・女の泥棒って居るんだ。
「あ!お客様、何か誤解をされているようです。わたしは、昨日から弟子になった
「嫌々、俺って・・・ここの経営者で君のことなんか知らないよ。最近、弟子になった間宮彩なら知ってるけど・・・」
「え!あなたが・・・わたしのことを聞いてませんか・・・おかしいですね・・・履歴書も手渡して副社長が弟子として頑張れと言ってくださったのに・・・間宮は、幼馴染です」
「するとなにか、君は間宮の紹介で来たのか・・・」
「そうです・・・わたしの先輩も一緒に弟子として昨日から頑張ってます」
「ちょっと待って・・・君の先輩も・・・」
「社長、心配しないでください。例の石槍製作者が社長だと誰にも言ってません」
おいおいおい、旭よ。
何をやってくれてんだ。
俺に了解を取って話せよ。
それにしても旭の後輩が間宮・・・間宮と田所は、幼馴染。
田所の先輩って人は・・・当然・・・長野出身ってなるな・・・
「その先輩って人は・・・長野出身者かな・・・そして、その人は今何処に」
「はい、わたしと同じ長野出身です。先輩は副社長と彩ちゃんと一緒にダンジョンへ武器や防具の材料を取りに行ってます。わたしは留守番です・・・今の流れから先輩のことも知らないと・・・先輩は、気は優しくて美人さんで名は、
恋人なんか今は、考えたくない。
「材料を・・・もしかして、2階に住んでいるのかな・・・」
「はい、1人1部屋で・・・心配しないでください。社長が泊まれるように離れの倉庫1つを社長室にしたので、もしもの時はソファーで寝てください」
もしかして旭と同類なのか・・・思考が似通っているぞ。
「カランコロン」とドアが開いた。
「師匠、何をしてるの・・・」
「お前・・・俺に連絡もなく何をやってんだ・・・」
「師匠、怒ってますか・・・連絡しましたよ」
「嫌・・・連絡って無いぞ」
「これを見てください!スマホのアプリで連絡しましたよ」
スマホ画面を必死に見せる。
全然知らんわ・・・そんなアプリは・・・
俺のスマホを見せて・・・
「何処にアプリがあるんだ・・・そんなアプリ見た事も聞いた事もないぞ」
これって旭の思い込みだ。
たまにあるんだ旭には・・・旭のスマホには既読の表示が全然無い・・・見てないってことだよね。
「あちゃー・・・すいません。すっかり連絡したと・・・」
俺のスマホを奪い取ってアプリをインストールを・・・
そんな時だ、奥の作業部屋から「カランコロン」と音が聞こえてきた。
「誰か手伝って・・・」
「師匠、材料が裏口から運ばれたみたいなので、行きましょう」
あ、逃げやがった。
倉庫前にリアカーがあった。
え!もしかして・・・
「おい!リアカーに載せてダンジョンから引張ってきたのか・・・」
「はい、3人で頑張りました」
「もしかして誰も運転免許、持ってないのか・・・」
ここに居る4人は、互いの顔を見ながら顔を「フンフン」振って持ってないアピールを・・・
「持っている必要もないので・・・わたしの母は運転好きで、わたしが行きたい所なら何処でも連れて行ってくれます」
どこまで甘やかす親なんだ。
「誰か1人、運転免許を取りに行って来い。仕方ないから自動車学校の授業料、俺が払ってやるから・・・」
4人してジャンケンだよ。
勝ったのは、間宮だ。
それにしてもゴブリンの尖った歯を引き抜いたのか・・・
この大きさの骨ってゴブリン・・・
臭いゴブリンを解体したのか『きつい、汚い、危険』の3Kだ。
キラースパイダーの袋も・・・
これってグワカエルの皮か・・・色が独特だしツヤから判断して間違いない・・・そして、この袋はなんだ・・・
あ!表示が・・・『グワカエルの亜空間袋』
亜空間が袋の中に存在してるのか・・・マジで・・・
袋の外側にはり巡る血管のような物が魔力を送ってるみたいだぞ。
今は、干からびた袋を蘇らせてみるか・・・
千切れた血管もどきに魔石を近づける。
あ!魔石の魔力が流れ込むのが見える。
蘇った袋は、「ドクン、ドクン」と脈打っている。
しかし、状態は良くない。今にも機能が停止するかもしれないぞ。
新鮮な材料だが、死んだグワカエルから数時間経っているから仕方ない。
瀕死状態だ。
あ、俺は
病院で手に入れた注射器を出して上級回復ポーションを吸い満たした。
何処にどれだけ必要だ。
すると袋に必要なヶ所と量が表示された。
注意点も表示されたぞ。
『量が多い場合は、細胞暴走を引き起こす』
量を間違えないように慎重に注入。
あ、よくなった。
こっちにも表示が・・・慎重に注入。
なんとか機能停止をくい止めたぞ。
あああああ、袋の切り取られた管から・・・あのネバネバ液が溢れ出てきた。
このネバネバ液、植物の成長に良いって・・・表示。
草を刈った庭にネバネバ液をぶちまく。
どんだけ入ってんだ。
袋の大きさよりネバネバ液が・・・半端ない量だ。
中を空っぽにして、水ですすいだ。
「何か入れる物ってないか・・・」
「え!師匠・・・何を勝手に作ってーー1番弟子に見せてください」
「ああ、『アイテム袋』だ」
「またまた冗談を言っても驚きませんよ・・・見てくださいよーー、新しい弟子のしらけた顔を・・・師匠のダメな面が早くもばれましたよ」
あああ、旭のダメな部分を全開にぶちかましやがった。
仕方ない。アイテムボックスから鉄槍を出して入れてみた。
あ!1メートルぐらいで入らないぞ。
それも槍の穂先から入れたのに破れることもないとは、何か防御膜でもあるのか・・・
「なんですか・・・それは・・・」
旭が驚きやがった。
え!何で・・・
あの美人な神谷が凄い勢いで来て手を「ズボッ」と入れたよ。
もう顔が近過ぎだ。下を見れば初対面の顔が・・・
「見て見て、肩まで入ってる」
え!俺のこと、気にしてないとは・・・
この瞬間、『アイテム袋』が完成した記念の日となった。
1メートル以内の物なら余裕で入れることが判明。
ネバネバ液をまいた場所には、雑草が1日で復活してた。
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