第17話3億円




テロに対して日本政府が用意した3億円。

何故か俺がもらえることになったよ。


使途不明金として現金を捻出。

しかし、急に使い道がなくなった。

テロの交渉に使うつもりだったと報告も出来ない。


ああ、そう考えてみれば納得だよ。

俺が居なければ大惨事になっていて、アメリカと日本を助けたことには変わりない。

1番の功労者だと言っていい。


ああ、もらった3億円。

税が気になって聞いてみた。税の支払いを免除らしい。

宝くじの当選金は非課税で、俺も同じらしい。


国から3億円を贈られて税金を取られたら贈った意味がないからね。





なんで、なんで・・・

内輪うちわでやるって言ってなかったかな~ぁ。


「パシャ、パシャ、パシャ、パシャ」と何枚撮るんだ。


手を握ってきたじじい、知ってる顔だ。

たしか国会議員の田端慎三たばたしんぞう・・・


「もう1枚、お願いしますーー」


また違う国会議員と交代して手を握られる。


「パシャ」






その日は、テレビ各局やインターネットで今回のニュースで持ち切りだった。

アメリカ側が撮っただろう映像がバンバン流れる。


テロが撃った弾丸で怪我する警察官


救急車で病院へ搬送するようすまで撮っていた


橋が爆破されて通行止めになるようすと、一部が崩れ落ちた橋


闇夜にパトカーの赤色灯が血を連想させるように赤く染まる光景


手榴弾で爆発した跡地


弾丸のあと


インタビューに答えるCIAのマーク・トウェーン





あああ、なんと参議院がテロ事件に対して緊急集会を行なった。



衆議院の与党は、一昨年、去年と無理なダンジョン関連の法を決議し続けた。

それを良く思わない野党が一致団結して猛抗議。


国会で総理大臣の質疑でネチネチと『重箱の隅をつつく』どうでもよいようなことにまで口出した。

総理大臣の武藤は、キレて「そんな下らん事言うな!バカヤロー」と怒鳴った。



1953年2月28日。

吉田茂首相が衆議院予算委員会で西村栄一議員の質問に対し「バカヤロー」と発言。

これがもとで衆議院が解散。いわゆる「バカヤロー解散」。


まさに同じ事が起きて、今は衆議院が解散中だ。


(憲法第54条第2項)

国会の議決を必要とする緊急の事態が起こった場合、内閣の求めによって開かれる参議院の緊急集会。


あああ、このニュースも世間を騒がせた。

アメリカと同じテロ対策特別措置法を国会で話し合う事に・・・






「すいませーん、店舗を借りた相沢です」


「もしかして幽霊が出ましたか・・・事故物件として貸したので今更文句を言われても・・・」


「いえいえ、そんな文句を言いに来た訳ではありません。あの店舗、2億円でしたよね・・・急遽きゅうきょ2億円の収入が出来たので買いにきました」


「それはそれは、景気がいい話で・・・それにしても物騒になりましたなーー。核爆弾が2つも日本に持ち込まれるなんて、日本政府はアメリカにもっと文句を言うべきです。そう思いませんか・・・」


嫌々、その危ない現場に居たよ。

それに核爆弾もアイテムボックスの中に・・・


不動産のドアが開いて「師匠、ここに来るなら言ってくださいよ。外でチラッと見て師匠と分かってビックリですよ。テロ事件で活躍したっと言ってたのに何の連絡もよこさないって、つれなくありませんか・・・」


おいおい不動産で話す内容じゃやないよね。


「テロ事件で活躍されたのですか・・・興味がありますね」


ああ、何でこうなった。


不動産のおっさんと旭の2人でネチネチと攻められて、全て話してしまったよ。


『知りたい』の能力と核爆弾を持ってることだけは、秘密だ。


仕方なくスマホで撮った動画を見せた。


「凄いですね・・・あ!この人、CIAのマーク・トウェーンですよ。こんな人と知り合いだとは・・・それじゃーテロのクライマックスに現場に居たってことですよね」


「いつ爆発してもおかしくないのに・・・凄い豪胆ごうたんな方だ。日本を救った方なので1億9000万円で買ってください」


ええええ!1000万円も値引きしてくれるの・・・ならば、もっと・・・嫌々、止めておこう。

欲を出しすぎてかえって失敗するってあるあるがあるから・・・




旭と2人して工房に・・・え!え!何で看板が『旭工房』の名なんだ・・・


「なんだ、この『旭工房』って看板が掲げられているだ」


「だって師匠が好きな名前でいいって言いましたよね。『旭工房』っていい響きの名です。きっと繁盛しますよ」


「嫌々、それは違うぞ・・・経営者の俺の名の1つも無いなんてあり得ない」


あさひの「あ」と相沢あいざわの「あ」で1つ有りますよ」


「その1つじゃーなくて漢字の1文字のことを言ってるんだよ」


せめて『相沢&旭工房』にしろよ。

嫌、違うぞ。

なんで弟子に忖度そんたくする必要が・・・ズバリ『相沢工房』だ。



「えーー!もう申請しましたよ。それに看板代50万円を今日取りに来ますよ」


2人して、ああだこうだと話していると・・・店のドアが開いた。


「先輩、店でさっきから何をやってるんですか・・・」


え!誰・・・


「あ、師匠、後輩の間宮彩まみやさやちゃんで『旭工房』2人目の弟子です」


何を言ってる。

弟子のお前が勝手に俺の弟子を決めるなよ。

一言でいいから俺に聞いてくれ・・・


俺って弟子を見る目が無かったのかな・・・それなのに旭は、変形は覚えた・・・


ああ、諦めるしかない。

どうなるのだろうか俺の工房は・・・




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