第16話テロリスト




なんでこうなったんだ。


目の前には、国籍不明の女が手錠、足かせ、目隠し、ヘッドホン、猿轡さるぐつわ、の拘束姿。

髪は、金髪だよ。

これって金髪のSMショーの始まりか・・・



あ!ブラウン色の髪でスーツ姿のおっさんが歩いてきた。


「ジン・アイザワ、私はCIAのマーク・トウェーンだ。君のことは、よく知ってるから聞いていてくれ。この女は、テロリストだ。今アメリカは、核の脅威にさらされているのが現状だ。核爆弾5発がテロ組織に盗まれて使用されようとしている。この女は、ここ日本で捕まえた」


マークは、腕時計を見て「タイムリミットは、28時間45分だ」


「それってアメリカで核爆弾が28時間後に爆発するって事ですか・・・」


「正確には、28時間44分後だ。それに大事な情報が・・・アメリカと日本の同時テロだ」


え!なんで日本が・・・マジ、ビックリだ。

あ、そうか場所が分からないんだ。


その情報を知ってるのが、この女だ。



グレース・ホール・ヘミングウェイ


LV0

HP:5


健康状態:不調



探索者以外で鑑定してなかった。

レベル0なのか・・・大発見だぞ。


それに、このまましゃべらすのはダメだ。


ギルド職員は、俺が催眠術でしゃべらせたと信じているからだ。

猿轡を外しただけではダメだ。しゃべったら嘘がばればれだ。


「目隠し、猿轡、ヘッドホンを外してください」


言った通りに外した。


この女、目がブルーだ。


「日本人の言葉、分かりますか・・・」


あ!日本語、フランス語、英語、中国語、ロシア語、アラビア語が表示されたぞ。

どんだけ語学力が達者なんだ。


これからが本番だ。


「核爆弾の爆発する場所を全て教えてください」


その瞬間、爆発場所が『知りたい』と念じた。


あ『知りたい』が表示。

早く話してくれと念じた。



あ!ベラベラとしゃべりだした。

彼女は、英語で話してるから全然分からん。

英語の点数は、悪かったし・・・しゃべるの早いよ。


同時に3台のカメラが彼女を撮り続ける。


「その住所、ホワイトハウスに近いぞ。大統領首席補佐官に連絡しろ」


1人が慌てて部屋の外へ出ながら電話してた。

残った誰かに手で合図をしながら・・・


出て行った理由は、折角の情報を聞き逃さない処置だろう。

まだ爆発場所が4つも残っている。

固唾を飲んで待つ。


次は、ニューヨーク。


「ニューヨーク知事に連絡しろ。解除出来ない時は海に投棄しろ」


俺は、スマホで調べる。

ニューヨーク州は、アメリカで人口4位だ。

それにDCにも近い。直線距離でおおよそ328.5キロ。


それにしてもこのCIAのおっさん、俺らのために日本語でしゃべっているに違いない。

アメリカ人同士なら英語だし・・・日本人のことを気にかけているのか・・・


そんな事を考えらながら日本の場所を早く言えよ。

俺が住んでる近くだとヤバイ・・・


ここもヤバイかも知れない。



ああ、次はフロリダ州だ。

ここもアメリカ人口3位。

1位は、カリフォルニア州で、2位テキサス州。どちらも面積が大きい。



「あ、日本語でしゃべりだした」


それも沖縄県って・・・ハッキリ聞き取れた。

アメリカ基地があるからか・・・



最後に神奈川県横浜市鶴見区大黒ふ頭20、大黒海釣り公園って言ってるぞ。


スマホの情報だと・・・

今の時期は、午前6~午後7まで営業。


只今、185名様がご入場されています。

そんなに釣っているんだ。


そんなヤバイ所へ釣りに行くなよ。



ちょっと遠いが・・・アメリカに関係する施設や基地が・・・


米海軍鶴見貯油施設:アメリカ海軍の貯油施設 

横浜ノース・ドック:アメリカ陸軍及びアメリカ海軍の港湾施設

厚木海軍飛行場  :アメリカ海軍と海上自衛隊が共同で使用している軍事基地

米海軍横須賀基地



この女、核爆弾を爆発するように改造した本人だった。


核爆弾は、勝手に爆発しない。

だから核爆弾用時限爆弾で時間通り爆発させるには、精通した人がセットする必要が・・・。

その装置を設計して作ってセットしたらしい。


その解錠方法もベラベラしゃべった。


走りだす男の顔には、安堵したような・・・



しばらくしたら連絡があった。

アメリカでは、その解錠方法で解除出来たと・・・その瞬間、皆が喜んだ。




遅れて沖縄でも解除が成功。



ドアが「ガバッ」と開く。


「大黒海釣り公園付近で銃撃戦が始まってます。それに鶴見つばさ橋の一部が爆発されて通行止めです」


「テロリストが最後に仕掛けたのが大黒海釣り公園だとしたら・・・逃げようとして異変に気付いた・・・」


その話を皆が納得するのも早かった。




なんで俺がヘリコプターに乗っているの・・・

それも大黒海釣り公園へ行くなんて聞いてないよ。

爆発したら俺死んじゃうよ。それでいいの・・・



残り時間、16時間22分。


もう外は夜で下では、パトカーの赤色灯が埋めつく。

米軍と自衛隊も頑張っているが、米軍の活躍が凄い。


銃を引くのに躊躇ちゅうちょがない。

1秒の差が生死の差であった。


アメリカの警察官って撃つの早いよね。

自分自身が死ぬのが嫌だから躊躇しない。


単発な銃声を聞きながら横浜港国際流通センターの駐車場に緊急着陸した。

何処から攻撃されるか暗くて分からないからだ。


「テロリストから交渉が・・・現金3億円とヘリコプターの要求です」


「その要求は変だ・・・過激なテロリストは、死んだようだな。今、交渉してるのは、雇われた傭兵くずれのクズだ」


おっさんの判断は、正しいかも。

傭兵なら自分自身の命が大事だ。しかし、何が起きるか分からない。

俺は、問題解決する案を実行することに・・・


「その核爆弾って見れますか」


「ああ、見れるぞ。手に持った爆弾で爆発してやると脅しているからな・・・ちなみに日本政府は、3億円を用意したようだ。被爆するより安いと判断しているようだ」


「あなたは、違うのですか・・・」


「あの連中は、1度でも甘い交渉でもしたら付け上がるのも早いからな」



走って隠れる。また走った。


「双眼鏡だ」


双眼鏡を受取って見た。

俺はシッカリと確認して、そのまま回収しろと念じた。

お、成功したぞ。


距離があったからダメかもと思ったが・・・OKだった。


「あれ!核爆弾が消えて無くなりましたよ」


「何をバカな事を・・・」


双眼鏡が奪われて、おっさんは見た。


「何でだ・・・」


無線に向かって怒鳴った。


「核爆弾は、何処だ」


「突然に消えました」


「The bomb is gone」



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