第8話クエスト




次の日もダンジョンに下りた。


ここ『明日香ダンジョン№123』は、高専こうせんダンジョンと呼ばれている。

理由は簡単だ。


近所に探索者用の県立高等技術専門校、私立高等技術専門校の2つの高校があるからだ。

去年の法改正で今年から特区として開校。

それ以前から建設があっちこっちで建てられていた。


在校生は、今年入学した1年生のみ・・・


探索者の担い手が少なく、初心者の死亡が多いのが理由で開校。


政府が県立高等技術専門校を支援して新設。

企業が私立高等技術専門校を支援して新設。


近くには、寄宿舎という名目で全校正が住むマンションも建っていた。

1階には、寄宿食堂、コンビニが入っていて快適な生活らしい。

全てが個室でトイレ、浴槽、収納庫スペース、エアコン完備。



なので1年生でも18歳制限で引っ掛かることも無くダンジョンに入れる。

勿論、教師同伴で・・・




なので午前中は、人がいない。


「『薬草』が復活してるぞ!」


昨日のことが嘘のように静かだ。なので見える『薬草』は、まばらだが採取する。


『薬草』24本がアイテムボックスに回収。



ゴブリンの森で石刀の大小2本で無双してた。

そろそろザコキャラ相手のゴブリンに接近戦が出来ないとダメだ。

探索者として1人前とは言えないぜ。


その結果、いいことを発見。

それは鑑定が相手の動きまで教えてくる。

次にどんな動きをするか矢印で前もって表示。


接近戦をしてから2時間後の出来事だった。


キラースパダーの森でも、粘着糸が絡まることなく切れることが分かった。

なので、ここでも無双だ。


そんなキラースパダーの森を抜けて左に行けば、グワカエルの生息地『グワ湖』。

服は濡れるしネバネバ液もかけられて、苦労して取っても魔石1個3000円。


割に合わんぞ。


だから俺は、行かない。


そのまま2階層へ向かった。



1階で拾った投げやすい石に、錬金術の爆発付与を発動。

そしてブン投げる。


「ドカーン」と爆発音が響く。


足にも集中したから爆発の振動が足元からあったことも確認。


「早くきやがれ・・・」



ゲ!俺の近くでスーパーワームとレッドワームの表示が・・・

俺を通り越して爆発跡へ向かって行きやがった。


ヒャットさせるなよ!。



爆発作戦を決行。


「ドカーン」


「ドカーン」


「ドカーン」


昨日より早く終わった。


そして大きいバッグで拾いまくった。

やっと一息出来そうだ。


え!うっすらと『クエスト発生:クエスト条件。スーパーワーム1000体と岩トカゲ1000体を倒す』と表示されてた。


こんなの聞いた事もないぞ。


それにトップランカーなら倒している可能性が大きい。

それなのに・・・


これって鑑定の性能・・・見えないクエストなら受ける事も出来ない。



『はい:いいえ』の表示もあった。


俺も男だ。


『はい』に指先を押してみた。

表示の奥へ・・・触れられないよ・・・え!どうする。


仕方ない『はい』と念じた。





「え!ここって何処」


ポツン、ポツンと灯火ともしびがともりだす。


両側にドラゴンの石造が並んでいる。

俺の後ろは、壁があった。


前に進むしかない。


進んだ先には・・・


奥の台座に20センチの真珠があった。

売ったら高く売れそうな真珠だ。光沢がキラキラしてて素晴らしい輝きだ。


え????



ドラゴンの卵


『手を触れて魔力を注入して孵化ふかさせてください』



ドラゴンを孵化させても良いの・・・


そもそも出口が見当たらない・・・

それに孵化させないと出れないかも・・・なら孵化させてやる。


右手を卵の上に置いた。

もう錬金術のようにするしかない。


魔力を流れよ。


ピッカーと光る。


その光りが消えると卵がなかった。

え!ドラゴンは・・・


『ピエー、ピエー』と左から・・・


20センチの大きさのドラゴンが飛んでた。

小さな手にかわいい両足。


羽をゆっくりとばたいているが・・・

その羽ばたきで飛んでる訳では、なさそうだ。


鑑定が風魔法と表示。


たまに小さな火を吹く。

鑑定は炎魔法と表示。



ドラゴン

HP10

MP10


スキル

風魔法

炎魔法



相沢仁あいざわじん


LV5

HP:50/50

MP:330/330

スキルポイント 6


スキル

錬金術[爆発付与・強化・変形・融合]

鑑定

アイテムボックス

☆従魔





あれ!砂漠に戻ってるぞ。


『ピエー、ピエー』


あ!夢でなかった。


赤いドラゴンがプカプカと飛んでた。


ああ、名前が欲しいのか・・・


「赤いから『レッド』だ」


『ピ!ピエー、ピエー』喜んでる。






地上に戻った時、大変だった。

レッドは、アイテムボックスの中に入れようとしても嫌がって入らない。


『ピエ、ピエ、ピエ、ピエ』それがレッドの答えだった。


だから飛んでるレッドを従魔だと紹介するしかない。


「このドラゴンが従魔と言うのですか・・・初めてなので・・・なんと言いますか」




近くの新入生用のマンションまで、厳重に天幕で隠されて警護されて監禁状態にされたよ。


「とりあえず緊急的応急処置として監禁します。あなたは、同意しますか・・・」


「はい」


「こちらにサインを・・・」


ササッと書いた。


「この監禁は、同意に伴ない有効と判断されます。従魔が人に危害を及ぼした場合は、相沢さん、ギルドからの命令に従って従魔を殺す事を承認しました。理解出来ましたか・・・」


「はい」


「いくら従魔でもモンスターなので・・・それに火も吹くので・・・カメラも設置したので壊さないように言い聞かせてください。明日、9時には訪問します」


ああ、やっと普段の会話だ。

買取で受付しいた谷本さんが、俺専用に対応することになったらしい。


谷本さには、色々な意味で苦労かけて申し訳ない気持ちだよ。



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