第6話石刀




あ~あ~あ、人が・・・人がいっぱいだ。

草原では、『薬草』の表示が「パッ」と表示されては、消えていったよ。

これじゃー『薬草』の採取なんか出来そうにない。

今日は、諦めるしかなさそうだな。


そんな草原を歩いていると大きな石の表示が・・・大きい表示なんて、今までなかったのに何で。


もう期待が高まって仕方ない。

その表示された場所に行ったよ。


ああ、今日は日曜日だから女子高生なのだろう。

それを誇張するように初心者用の防具には、シールがベタベタと貼ってあった。

なんで、そんな風に貼るかな・・・


そんな6人が「キャキャ」と言いながら探してるぞ。

探し終わって移動するまで待つしかなさそうだな。


そんな俺に気づいた彼女らは・・・


「何よ、変なおっさんが見てるわ」


「本当に気味がわり~ぃ」と言いながら去っていった。


俺って、おっさんなんだ・・・そんなガビーンと傷ついた心のまま石を探す。


「あった!」


草の合間に白い石の表面が見えた。

これって表面に出ているが大きな白い石が埋まった状態だぞ。

なのでナイフを使って掘り返す。

縦20センチ横30センチ厚み10センチの白い石が出てきた。

けっこう重いぞ。


それに白い石に何故か紫の線が亀裂の模様のように入ってる。

なんか心が奪われるような気が・・・


そんな俺の後ろで「ガサガサ」と音がした。

振り返ると5人の男が俺を威嚇いかくするように見下ろしている。


なんて目つきだ・・・悪い予感しかない。


そんな男達の後ろには、6人の女子高生が・・・

ヤバイと思った俺は、白い石を触って収納。

そして走って逃げる。


「何、逃げてんだ!!待ちやがれ!」


待ちやがれと言われて待つ奴などいない。

お前は、バカか・・・


そんな声を無視して走るスピードを更にあげた。

追い駆けて来る気配は、数分もあったが・・・今は、なくなって助かった。


あの手の男は、女の前で何をするか分からん。


それに18歳の男達を正当防衛だと言って殴り返すのは、正当防衛にもならない。

たしか弁護士がそんな話を言ってた。

ジッと我慢して殴られ続けて、後で訴えるのが本当らしい。

そんな我慢をするなら逃げるが勝ちだ。


あ!森が見えたので立ち止まった。


あの白い石を出して人が見てないのを確認して錬金術を発動。


はじめは刀を作る予定だったが気が変わった。

空中に浮かぶ白い石が木刀がベストのように思えてくる。

それも大小の2本の木刀イメージが色濃くなってきた。


木刀なら受けて折れるイメージがない。


ならば、そのイメージのまま作ってやる。


石は2つに分かれた。

そして1つが小刀になって、もう1つが大刀になっていた。


更に強化を施す。


淡く光りだす。


小刀

長さ:55センチ

攻撃力50


大刀

長さ:100センチ

攻撃力70


なんだ、この攻撃力は、作った武器の中で1番の攻撃力だぞ。


それに二刀流の立ち姿。


「なんかスゲー!格好いい・・・」


まるで宮本武蔵になった気分だ。


このまま二刀のままだと不便だぞ。

まあ刃は、ついてないので腰のベルトに2本を差す。

お!良い感じだ。


「試し斬りしてみるか・・・」


大刀を抜いて走りだす。目の前の木を袈裟斬りに・・・


なんの抵抗も感じない。

木は、立ったままだ。え!斬った感覚があったのに・・・何故!倒れない。

斬った切れ目を探しながら触ると「ズルッ」とズレ落ちて、地面に突き刺して木が「ドサッ、バサン」と倒れた。


あ、倒れた方からゴブリンが・・・


「ギガガガ・・・」って怒っている。


なんと2人のゴブリンが下敷きなって惨い事に・・・

そりゃー怒るわ。


生き残ったゴブリンは、足を引きずりながら向かってくる。

そして棍棒を振り被る。


俺は素早くゴブリンの横を走りながらいだ。


ゴブリンは、斬られたことも分からないまま振返った。

その途端に上半身がクルリッと回りながら上半身がズリ落ちた。

顔は、こっちを見ながら驚いていた。


遅れて下半身も・・・倒れた。



かれこれ30人ものゴブリンを倒した。

すべて大刀の木刀で・・・嫌、違う。

石で出来た刀だから石刀せきとうと呼ぶ方がいいだろう。





やっとキラースパダーが棲む森へ来てしまった。


ゴブリンの森と違って木が生い茂ってる。

だから暗い森と言っていいだろう。


だからキラスパダーが張った巣が非常に見にくい。

しかし俺の鑑定には、かなわない。



だって縦糸と粘着の横糸がハッキリ見えていた。

なので森に隠れいるキラースパダーも見える。


だから縦糸を大石刀でちゃちゃと切る。


やっぱキラースパダーが慌てて修復しようと降りてきた。

そして静止した瞬間に、頭に9mm機関拳銃の弾丸を打ち込む。

「パン」と乾いた音が響く。


そしてキラスパダーが「ドッサ」と落ちてきた。

その腹に慎重に切裂く。


糸の原液を取るためだ。

A袋とB袋とC袋を結束バンドで「キュウ」と絞める。

そしてナイフで切ってアイテムボックスに回収したよ。


A袋とB袋の液が混合して糸になるらしい。

C袋は粘着液だ。


A袋とB袋、合わせて3万円。

C袋は、7千円。


キラースパダーの糸は、需要が半端ない。

誰もが欲しがる糸だった。


それなのにギルドは、企業に売る時は4万円。

それでも企業側にしたら安いらしい。

昔は、1万円だったのに・・・


値段が高くなったのは、理由があった。

平和日報がギルドと企業の癒着を特ダネとしてスッパ抜いた。

それで何人もクビに・・・なったらしい。


魔石は、1万円。




そんなキラースパダーを狩りに狩りまくった。

糸が見えるからめちゃ楽だ。


昔、必死に枝で巣を探した苦労は・・・なんだったんだろうか・・・



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