第8話

〈Side:あすみ〉


「あすみ先輩!あの、今日の夜は空いてますか?」


不意に声を掛けてきたのは、2つ後輩の梨々愛ちゃんだ。

2つ後輩だが、1つ下の後輩はみな辞めてしまったので、1つ下の後輩みたいな感覚でいる。


「予定ないから、大丈夫だよ。」と答えた。


ー寒くなったなぁ。

約束の時間にはまだ早かったが、お気に入りのマフラーを巻き研究室を出た。


すると待ち合わせのロビーには、既に梨々愛ちゃんの姿があった。


「お待たせ。どこに行こうか」


「まだ約束前ですよ。そうですね…駅前のイタリアンなんてどうですか。」


「イタリアンいいね。」


お人形さんみたいに可愛い梨々愛ちゃん。

女の私でも守ってあげたいと思うほどの可愛さだ。

男の人なら放っておかないよね。

今日は運良く待たずに店内に入れて、ラッキーだった。



〈Side:深冬〉


「ホント、煌太ってバカなんだから!」


「いやいや、絶対に俺の事好きだよ、あの受付の子。

いつもニコッとして声掛けてくれるしぃ〜。」


「それが仕事なんだよ!」


煌太の勘違いバカと言い合ってるうちに、行きつけのイタリアンに着いた。


あすみが梨々愛ちゃんといる!


見知った人はすぐに目に入ってくるものだ。

あたしは慌てて口を開く。


「煌太、やっぱり焼き肉の口になっちゃった!」


「了解!深冬が焼き肉なら、焼き肉だぜっ!」


同じように外にいるあたし達に気付いたあすみの

手招きに、大きくバイバイした。


ー嫌な予感しかしないー

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