第9話 ビーのカニクリームコロッケ

 従業員がお店の開店の準備を始める。今日はミモリが試行錯誤して考えた新作メニューをお店に出す日だった。メニュー名は『カニクリームコロッケのレモンソースかけ』。カニのハサミの形のカニクリームコロッケで、レモンと生クリームで作ったホワイトソースをかけて食べる一品料理。モモリに食べてもらったところ、

「これ、本当にカニクリームコロッケ?」

 と不思議そうな顔をされた。

 モモリの顔には、こんなおいしいカニクリームコロッケを食べたことはない、と大絶賛の味が出ていた。

「でも、すっごく、おいしいよ!」とモモリはうれしそうに言葉を続けた。

「大成功♪」

 ミモリはにっこりして、自分もカニクリームコロッケを食べる。

「隠し味は?」とモモリ。

「はちみつ、ビーの」

「げふっ」

 モモリがせき込む。

「だいじょうぶよ。ビーのはちみつは猛毒だけど、ひと晩、牛乳と混ぜておけば、毒はなくなるから」

「本当に? 死なない?」

「だいじょうぶ。私も食べてるし」

「そか」

 モモリは安心して、笑顔になった。

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