第43話

あー、せっかくの休み時間なのに次の授業で使うプリント職員室に取りに来てって頼まれちゃったー。

ゆっくりぼーっとしてたかったのにな。

昼休みも球技大会の練習してるのが窓から見える。みんなキラキラして楽しそう。


「わっ!」

何?横から急に引っ張られたんだけど!


「すみれ」

「わ、航?なななな?」

「ははっ!びっくりした?」

「急に腕を引っ張られたら誰だってびっくりするよ!心臓止まるかと思った」

「廊下歩いてるの見えたからさ。朝もほとんど話せなかったし、ね?」


「ね?じゃなくて、学校では話しかけないでって言ったよね?」

「大丈夫、ここほば人通らない場所だから」

「そーゆー問題じゃなくて。はぁ。何か急いで話すことあった??」

「特に?ただ、顔見て声を聞きたかっただけ」

大きな手がふわっと私の前髪を上げる。

「わっ!前髪上げないでよ」

「ふふっ。あ、朝のこっそりピース、気づいてくれた?」

「いつも良く見つけるよね。」

「そりゃね、昔からすみれレーダーついてるからね」

「はぁ。とりあえず私職員室だから行くね。」

「うん、またね?あ、これ、すみれの好きな苺ミルクの飴、あげる。」


「……ありがとう。じゃあね」


本当に本当に本当にびっくりした。

最近の航なんなの?


深呼吸深呼吸。スーハー


ペット感覚?

面白がられてる?

航って意外とそういうとこあるもんなー。

いたずらっ子的な?

それにしても、最近ほんとに距離感バグってる気がする…


「失礼しまーす。英語のプリント取りに来ました」

「おー、結城悪いなー。助かるー。これよろしくー」

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