~成り納め~(『夢時代』より)
天川裕司
~成り納め~(『夢時代』より)
~成り納め~
端麗(きれい)な懐手をして白衣を仕留める魔の手の色香(いろか)は、俺の身元(もと)から遠く離れた美笑(びしょう)を携え幼女(こども)を着せ替え、微睡み続けた俗世(このよ)の孤独を起して行った。俺の足元(もと)から何処(どこ)かへ跳び立ち、自分の華さえ咲かせ切れない紋白(しろ)い気色の薄明かりの内(なか)、怒号を含めた〝含み笑い〟には小さな記憶がひょいと浮んで、愛(め)でたい拍子に朗(あか)るく飛び交う空気(もぬけ)の跡には、調子抜けした文句(ことば)の継続(つづき)が儚い目をして突っ立っても在る。俺の躰を朗(あか)るく照らせる神の菜(な)が咲く湾港(みなと)の淵から、紋白(しろ)く上がれる真白(ましろ)の体(てい)した幼女(ようじょ)の容姿(すがた)が折り好く生れて硝子に透り、初めから咲く幼女(おんな)の息吹が大海(うみ)の底へと沈んで行くのに、小さな記憶は見知らぬ景色に悶絶して居た。
器用な肢(て)をした樞(ひみつ)に懐ける小さな幼女(ようじょ)は、俺から見知らぬ屈曲(まが)った土地へとするする解(ほど)けて無体を着せられ、橙色(オレンジいろ)したか細い火照りに両手を合せて合掌して居り、拙く灯れる旧い社(やしろ)を幼少(こども)の躰に植え付けてもいる。心の弾みで如何(どう)でも屈曲(まが)れる女性(おんな)の表情(かお)には俺に見取れる脆(よわ)い火の手が真横に蹴上がり、しどろもどろに扮模(ふんも)して行く浮かれた調子は、幼児(こども)だてらの浅い知恵から〝誠実(まこと)〟を呈せる黄泉の鱗へ逆行して生(ゆ)く。心身(からだ)の記憶が鱗(さかな)の脚色(いろ)から臭(にお)いを失(け)す時、女性(おんな)の〝生き血〟はこれまで観て来た深紅(あか)い血飛沫(つぶて)を男性(おとこ)から退(の)け、男性(おとこ)の身元は母体(からだ)を気取れぬ〝浮かれた拍子〟へ不意とよろめき、和らぐ臭気は女性(おんな)を透して空気(くうき)へ還る。空気(くうき)に宿れる空気(もぬけ)を呈した軟い空気(すき)には、早くも還れぬ男女の母体(からだ)が真横に横たえ、空間(すきま)に宿れる紅い湿気に嘲笑され行く孤独の進化を捉えながらに、傾奇(かぶ)く間も無く真逆(まさか)を辿れる内助の功へと新参して居た。
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村田美紀(むらたみき)が出て来た。他の学芸会で会った友人、他人(ひと)も他に幾人か出て来て、薄暗い俺の家の一階(キッチンと居間)で真夜中(二十時から二十二時位だったかも知れん)に色々と喋り、俺の父母も居た。感覚で山西君に成ったり高田君に成ったりする者も居り、村田美紀は矢張り俺を警戒するように嫌っていた様(よう)で、俺も故に嫌い、近付きも話しもしなかった。ずっとそんな調子を続けた。部屋は電気を付けていないで、トイレの明かりが(誰か《確か俺の父は使っていた。他に山田君も使っていたかも知れない》が使っており、使っている間は)明るさを維持出来る様子で、俺は取り敢えず部屋の明かりだけを頼りに生花して居た。
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苦し紛れの凍えた精神(こころ)は純(うぶ)な調子を朗(あか)るく携え、村田美紀から芳香(におい)が沸き立つ女性(おんな)の樞(ひみつ)を覗いていながら、無言に尽き生く人間(ひと)に象(と)られた余命(いのち)の目途には、端正(きれい)に整う無機の欠片(かけら)が程好く咲いた。次第に屈(こご)まる小さな記憶の宵の口には、朗(あか)るく独歩(あゆ)める未完の脚力(ちから)が鬱積しており、女性(おんな)の一滴(しずく)に一際(ひときわ)小さな匂いが活きれば、他人(ひと)が吠え立つ無謀の岐路には男性(おとこ)の精神(もと)へは決して還らぬ無味の明かりが小さく載った。俺の生家(せいけ)は神秘(ひみつ)に隠れた自然(あるじ)の目下(ふもと)で順々仕上がり、トーテム・ポールの顔を想わす表情(かお)の連鎖が非常に輝き、俺の生家(せいけ)に仄(ほ)んのり灯った籠れる光衝(ビート)は、他人(ひと)の表情(かお)より何気に木霊す、生歴(きおく)の跡へと辿って行った。
悴む仄かな微熱を脚力(ちから)に具え、「明日(あす)」へと繋がる大きな路(みち)へと辿る頃には、これまで温(ぬく)めた生歴(きおく)の確かが余りに小さく煌めく故にて、自分の旧巣(ふるす)へ二度と戻れぬ微温(ぬる)い俗世(このよ)の珍味を識(し)り抜き、生歴(きおく)を成し生く完就(かんじゅ)の宮(みやこ)はか細い黄土の文句(ことば)の頭数(かず)から妙味を引き取り、紺(あお)い果(さ)きには自炊を保てぬ小さな魅力が衰退していた。如何(どう)にも現世(ここ)から地に足着かずの妄想(おもい)の目途には自分に象(と)られた旧い両手の懐かしさを観て、現代人(ひと)に解らぬ文句(ことば)の生気を自分だけに見て落胆している。俺の基(もと)からふわりと沸き立つ誰にも識(し)られぬ未完の箴言(ことば)は、現行(いま)に居座る現代人(ひと)の真上をすいすい飛び活(ゆ)く気勢を発し、戯言(まよいごと)から従順(すなお)な言葉を脚色(いろ)に身任(みまか)せ再現して行く独りの牙城(とりで)を大事に採った。誰にも識(し)られず誰にも解(かい)せぬ無機の〝血〟に依る純(もと)の言葉は、俺の生歴(きおく)へしがみ付くまま確かに生き得た生命(いのち)の灯(あか)りを充分絆(ほだ)させ、死に体(たい)ながらに寿命を尽(つ)きせぬ幻想(ゆめ)の純(もと)へと埋没して居た。邁進して生く神秘(ふしぎ)の行方は誰にも知れずに、好きな女性(おんな)の一人を保(も)つのも〝想い〟と〝興味〟を宙(そら)へ抜かれて浮き生く体(からだ)は現代人(げんだいじん)から俄かに産れる器用な寿命(いのち)にその実(み)を這わせ、文句(もんく)だけ言い、説明ばかりの、無機の人種(やから)を創造して生く。そうした想起に自ら降り着き絆を求める正味を漏らさぬ傀儡(ひと)の後輩(やから)は、防虫剤から白粉(しらこ)を掛けられ、除菌され行く家禽(むし)の余命(いのち)に等しい儘にて、時期を冠して掘られた墓場に投身させられ正体(すがた)を消失(け)した。
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夜に、家族全員と結束の固い(?)知人・友人達とで少しずつ盛り上がり、俺はそれなりに楽しんで居た。途中から眼鏡を外して皆と関わって居り、嫌いな村田美紀との会話は、俺が途中何処(どこ)かで眼鏡を落したか外した為に、ついその視界の内に美紀の表情が霞んで見えリアルをやや失い、「大丈夫?今度、トランプしない?」の様(よう)な女特有の内輪(うちわ)でmend(治療)する光景・情景を見せて来て、美紀からその一色(いっしき)が芽生え始めた後は、次第に美紀は俺に口を利くように成った。美紀は闇に隠れて容姿が余り見得なかったが、持ち前の、とても可愛い容姿(すがた)をして居るのはトイレの明かりからの反射で分った。
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無駄を過さぬ苦慮の辺りは俺へと映え活き、利(い)きて手掌(て)に撮る内輪の旋律(しらべ)を基調とした儘、囃し語(がた)りの古い〝藻屑〟を芸に託せる優位の〝余韻(もくず)〟へ送還した儘、純白(しろ)い木屑(きくず)は形成(かたち)を為せずの老朽・美化へとその実(み)を慰め、至れぬ身元は旧い好(よしな)へ還り自宅を整頓している。帰り支度は俗世(このよ)の灯(あか)りを無造に失せさせ、何時(いつ)か観て来た古豪の主観(あるじ)を目下(もっか)に捉えて俗世(このよ)の現代人(ひと)から真面に離れる故寥(こりょう)の許容(うち)へと鎌首擡げ、遠い旧巣(ふるす)へとくとく独歩(ある)ける烏有の極みに新参する儘、俗世(このよ)に流行(なが)れる〝合わない景色〟は、独自の自流に自活を携え、えっちらおっちら、俺に見得ない経歴(きおく)の漆闇(かなた)へ邁進して生く。俗世(このよ)に活き行く誰も彼もが独我(どくが)の芳香(におい)に埋没しながら、周知に操(と)られる〝自活〟の苦境(エリア)にその実(み)を統べ生き、我執を相(あい)せる拙い教義(ドグマ)に自ら果て行く画工を従え、一時(いっとき)迷った徒路(とろ)の内でも自然の空間(すきま)に端正(きれい)に紛れて自然・調和に態度(すがた)を消し得(う)る。俺の精神(こころ)に不調が起きて、見果てぬ脆味(よわみ)は空体(がらん)を呈して見事に落ち着き、誰も彼もが俺の目前(前方:まえ)から虚無へ跨り観得なく成った。湿地帯から泥濘を越え、俺の〝女神〟が活きる原には、宙(そら)に渇ける無駄の道標(しるべ)が紺身(あおみ)を携え岐路へと就いて、幻(ゆめ)の淡路を小さく通れる〝硝子の土手〟など生歴(きおく)に講じる。不意に何かを大きく恐れ、怖い得体(もの)から俄かに逃れる未既(みき)の目下(ふもと)へその身を寄せた。自身に操(と)られた袋小路が俗世(このよ)の初冬(ふゆ)から熱気を借り染め、自分の脚色(いろ)へと自然に染め合う孤独の遊戯(あそび)に文句(ことば)を失い、俗世(このよ)の〝死地〟へと跳び込む覇気には自信に象(と)られた〝満場一致〟が戯言(ねごと)に共鳴(さけ)べる幻想(ゆめ)の感覚(いしき)を虚無に打ち立て煌々(きらきら)して居り、俺に操(と)られた純白(しろ)い透明(まわた)は他(ひと)を誘わず、自己(おのれ)の醒め生く哀れな空虚を残像とした。
執拗(しつこ)く跨る俗世(このよ)の自流(ながれ)は悶々立ち行き、文句(ことば)に成れない言葉を染め上げ自活の空露(あらわ)に残身(よいん)を保てる無機の調子を俺へ宛がい、俺の生歴(きおく)が曖昧模糊足る宙(そら)の舞舞(ぶたい)を遠く下りる頃、残像(のこり)が咲けない不快の気迫は〝新太(あらた)〟を捜せる脚力(ちから)を好いた。俗世(このよ)の他(ひと)から温味(ぬくみ)が失(き)え去り、所々の人跡(あと)に遺せる人間(ひと)の生き血は破局に当てられ、無理に強いられ失くして生くのは〝何も聴けない説話語り〟の斬新である。俺の心身(からだ)は個室に遣られて翌朝(ひかり)を出迎え、他の男性(おとこ)も他の女性(おんな)も全て失せ行く希望(ひかり)の許容(うち)にて帰路へと就いて、初めから無いmonkの酒宴(うたげ)にこの実(み)を透して自棄すらし得ずの身軽(かる)い大躯(たいく)に蝕まれて居る。俗世(このよ)の無機から無機が産れる狂える調子に拍子を見付け、明日(あした)から無い旧い〝宮(みやこ)〟は女性(おんな)の身内(うち)へと逆行(もど)って在った。俗世(このよ)を操(あやつ)る不義の生気(オーラ)が男女の要(かなめ)を溶接して行き、俺の基(もと)から奇麗に削がれた偏見(みかた)の主観(あるじ)は他(ひと)へ取り憑き、加減を識(し)り得ぬ人間(ひと)の哀れを無駄に呈して共鳴している。
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そこまで来る前に、俺達仲間は(父母)も合せ(父母は寝て居なかったが)大体、皆、階下で雑魚寝して居て、村田美紀はその時には他の仲良く成った友人(男女問わず)と共にまるで闇の中に居り、雑魚寝して下から彼等を見送る形となればパンツを履いて居ない名塚香織にその時似た村田美紀が居り、彼女は香織ちゃんの〝分らない情緒〟を持ちながらに俺に魅力が在り、絶対この娘に近付きたいなんて思いに俺は駆られて居た。美紀は、丁度昔、固定電話のプッシュホンが在った時代に在った電話置き機の闇に隠れたような男と肩を寄せ合い俺に〝絶対…絶対に(私の開催する)催し、または家に来て!〟等と言っていた。その笑顔は本物で語り、俺は嬉しかった訳である。何か買い物に行くようで、過去の友達と共にエピソードを交わしながら、俺の焦点は下山サキ如く村田美紀にロックオンした儘であり、村田美紀は嬉しそうに自分の左横に立って居た同じく男子が居たと思うような、〝新聞の境地〟へ行くからって如何でも不可能じゃない、とお茶を少し呑む。とにかく、これまでになよって居た俺を捕えていた美紀の束縛力に翳りは見えていた。エピドートと共に。
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旧(ふる)き良き日が好(よ)き陽(ひ)へ満ち生く大体(からだ)の王者を真横に捕えて実(み)を温(ぬく)める時、俺の孤独にすんなり宿れる以前(むかし)の独気(オーラ)は幻(ゆめ)の足元(ふもと)で小さく狂える不俱の大体(からだ)を膨大(おお)きくしていた。齢二十歳を過ぎ生く瞬間(ころ)から一途(いっと)に治らぬ性質(たち)を承け継ぎ、この身に彩(と)られる虚無の縁故(えにし)が目醒めて生く迄、端麗(きれい)に仕上がる糠の麹は一等星(ほし)の寒さに震々(ぶるぶる)震え、白紙に帰(き)せない無駄な調子を俗世(このよ)の現代人(ひと)へと宛がい続ける。俗世(このよ)の現代人(ひと)には無機に操(と)られた予兆が在る為、変った調子へ投身するのは全く無意味な失敗だと見て、俗世(このよ)を離れた闊歩に見て取る奥義(おく)に並べた〝意味〟の畔も、爪の垢ほど見取れず気取れぬ、予測調和にして遣られている。〝説明好き〟から産れた皆無は人間(ひと)の流動(うごき)に巧く寄り添い、活きる途次への要所で死に生く無間(ならく)の花園(その)への道標を観た。
幻(ゆめ)に纏わる苦労噺(くろうばなし)は俺の心中(こころ)に浸水し続け、心酔して生く二極(ふたつ)の性(せい)には、日々に見られる〝木洩れ日〟から成る希望(ひかり)の正味が翻(かえ)って在った。転覆して行く女性(おんな)の気質が俺に彩(と)られた日常行為に躍動し続け、日常行為が得体知れずの二極(ふたつ)の破局(とばり)を傍観する内、女性(おんな)に象(と)られる美辞が織り成す警句の様子は、男性(おとこ)から成る俺に操(と)られる生気(オーラ)の様子を、つと、つと、自然(あるじ)に寝そべる神秘(ひみつ)の樞(ベール)を剥いで生く儘、自分に操(と)られた自然(あるじ)の不思議は正体(からだ)を保(も)たずに内向して居る。漆黒(くろ)い髭には男性(おとこ)に操(と)られる虚威(きょい)の姿勢(すがた)を無頓に翻(かえ)せる脚力(ちから)が在りつつ、ずっと籠れる自識(じしき)の若輩(やから)は、俺が寝そべる透明(しとね)の様子を女性(おんな)へ対して証明出来ない。真白(しろ)い白紙が俺に飼われた博士(はくし)を透して文字を描(か)く際、〝驚くべきだ〟と真昼に啓示され行く問言(ことば)の手数(かず)には、初めから無い無極の遠祖が遠い瞳(め)を保(も)ち相対(あいたい)して生く。「考え過ぎれば、自分の書くべき文言(ことば)の手数(かず)から、明日(あす)へ活き得る持極(じきょく)を呈せる屍(かばね)の主観(あるじ)も、終(つい)には俗世(このよ)の終局から観て、結局成せない人間(ひと)の道化と私恩(しおん)を承け継ぎ、誰にも問えない無為の破局(ほろび)に裏打ちされ行く極道(みち)の極みへ執着して生く。…云々。憚り。」、成るべく顕著に呈し続けた無頼に跨げる俺への躊躇は、肉親から成る二極(ふたつ)の〝呼笛(あいず)〟に相対(そうたい)するほど裸心(らしん)を携え、「昨日」から生く明日(あす)への微動(うごき)に頭から堕ち、行くは尽きるのだ。自己(おのれ)が生き行く固陋の諸刃(やいば)を根深(ねぶか)に隠し、生気(せいき)を保(も)てない〝意味〟の過失は自己(おのれ)の道程(さき)には一見立てず、苦労から成る無色を講じる〝意味付け〟等には、人間(ひと)の温床(ねどこ)が浮遊して生く無言の〝呼笛(あいず)〟を掲げて在った。
人間(ひと)に観られる向きを呈した才色、好意は、天然(はじめ)から無い無味に似通(にかよ)う徒争(とそう)に乱れた煩悶が立ち、個人(ひと)の内実(なかみ)を円らに問えない〝不敵〟に埋れた人身等には、自然の灯(あかり)が脱色出来ない固陋の横手(おうて)が付算(ふさん)され行く。横手(おうて)から観る、個人に観られた自然(あるじ)の火照りは、孤高に萌えずの柵(しがらみ)具合が男性(おとこ)の瞳(め)を保(も)ち橙色にて、個人(ひと)が生れた初めに発(た)ち得る黄泉の進化の空気(もぬけ)の程度を、屈色(くっしょく)無い程灯らせ活き得る無根の自然(あるじ)を成り立たせて生く。女性(おんな)の文言(ことば)は俗世(このよ)と黄泉(あのよ)の何方(どちら)にも似ぬ、無機を呈する余韻(のこり)へ蹴上がり、意識を失くした現代人への予想と虚無とを内在させ生き、俺の前方(まえ)から直ぐに消え去る無体(からだ)の許容(うち)へと這入って行った。楽器の音色(ねいろ)は人間(ひと)の発声(こえ)から輪飾(りんしょく)して活き、妙な具体(ぐたい)に解け込め合えない透明(まわた)の純(もと)まで衰退して行き、辛うじて在る人間(ひと)に操(と)られた個人(ひと)の微熱は自然(あるじ)を失い幻滅して行く。自己(おのれ)の幻(ゆめ)から疎らに跳び散る憂気(ゆうき)の華には、自己(おのれ)から成る不義の迷妄(まよい)が進退して生き、真白(しろ)い白紙に博士(はくし)を重ねる千里眼には、子供に謳える〝沙羅双樹の歯〟が矢庭に懐いて喰い付いて居る。如何(どう)する間も無く、日々に気取れる恩味(おんみ)の華には、これ見よがしに自尊を唱導(とな)える一匹坊主が不意に現れ、孤高が決する人間(ひと)に象(と)られた得手の諸刃(やいば)を片手に持ち上げ、自命(じめい)に宛がい、屈曲させ生く強靭(つよ)い気質は女性(おんな)から退(の)き、褥の柔裸(やわら)に再び満たずの無理を垣間見幻滅して居た。
独創(こごと)に寄り添う、二極(ふたつ)へ気取れる男女の葦には、初めから保(も)つ現代人(ひと)の虚無から希望(ひかり)が奪われ、未順(みじゅん)に割かれた変幻自在の空気(もぬけ)の〝生(せい)〟へは、褐色さえ無い懐疑(レトロ)の母音(おと)など、〝予定調和〟に流行(なが)れて在った。
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村田美紀は俺に対して質問をして来た。〝荻(おぎ)〟という場所の地名を尋(き)いて来て他人も解らない様子で在り、俺にはドラえもんが居りタイムマシーンが在るようで、「荻」というこの夢内での滑空に寄り辿れる場所を追う事で、俺は益々美紀の事が好きに成っていた。そして香りに吸い付きたくなり、美紀の体をあわよくば俺は知覚を経て犯そうとして居た。美紀は好い奴と成り、地味子の体裁から俺に交わった。俺は始めから〝中原綾子(なかはらあやこ)(俺が大学で出会った、俺の
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孤独の目下(ふもと)へ朽ち果て始める無味の感覚(いしき)の誤用の程度は、感覚(いしき)に彩(と)られたアイスバーから二股へと割く孤独の自然(あるじ)へ偏在して生き、加工を問えない人間(ひと)の感覚(いしき)の斬新(あらた)な機微には、無言に操(と)られて不動に落ち着く朝の陽光(ひかり)が芽映(めば)えて在った。千鳥足から遅れ足へと、段々退(さ)がって空気(もぬけ)へ対する黄泉への意識は正逆(まぎゃく)に居座り、個人の意識の所々で〝要(かなめ)〟を保(たも)てぬ向きの微動(あせり)が鎌首(くび)を擡げて立食して在り、男女(だんじょ)の二極(ふたつ)に喰われ続けた現代人(ひと)の〝意味〟には、再び〝空気(もぬけ)〟に喰われ続ける個人(ひと)の延命(いのち)が体躯を呈する。現代人(ひと)の体裁(かたち)を罵倒しながら、現代人(ひと)の精神(こころ)に激しく見られる幼稚な檻(かこい)を振り棄(す)てながらも現行(いま)に活き得る未来(さき)の経歴(きおく)に肖りながら、当然顔(とうぜんがお)した漆黒(くろ)い自然(あるじ)は妄想染みた再呼(さいこ)を続ける。現代人(ひと)の心身(からだ)は宙(そら)に吊るされ、自身の檻(かこい)を吟味しながら、外界(そと)に這えない奈落の木霊に操られて活き、多く出過ぎた生(せい)の鼓動(うごき)は現代人(ひと)の幼稚に拍車を掛け生く劣悪(わる)い描写を人生(みち)に掲げる。涼風(かぜ)の発音(おと)には未来(さき)の経歴(きおく)が逆行出来ない旧い空気(しとね)の透明(まわた)が咲いて、俺の生命(いのち)に木霊を還せる凶悪(わる)い無理など清閑(しず)かに眺める。
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「俺は現代人(げんだいじん)が嫌いだ。生れてこの方、一度も好きに成れないで居る。何故に皆、自分の独房(かこい)を造って自己中を振り撒き、精神異常ばかり来して居るのだろうか?あいつもこいつも精神異常…。真面な輩は俺の周辺(あたり)にさえ居らず、現実を実に冷たいものとして、下らない対象(もの)・詰らない対象(もの)にして、唯、知識だけは情報過多により気違い様(ざま)に獲得して活き、多少浮き出た自分の自活に少し微笑み、他人を見下す。他(ひと)を見下さなければ、自分の調子が儘成らず、自分が目指した活路へ往くのも一向叶わず、仕方が無いのだ。俺の生歴(きおく)は他(ひと)の暴言・暴挙に散々遣られた強靭(つよ)い〝嫉妬〟を現代人(ひと)から得て居た。旧い生歴(きおく)に懐かしさを得ず、常に独歩(ある)ける自活だけ見て、現行(いま)を象る斬新(あらた)の生歴(きおく)に縋り付きたい。希望(あかり)を失くせた現代人(ひと)に操(と)られた俗世(このよ)の幻(ゆめ)には、俺の感覚(いしき)が露にも微動(うご)かず、所々で失い始める生(せい)の官能(オルガ)を材に採る儘、俺の余命(いのち)が現代人(ひと)の基底(もと)から乖離(はな)れ始めた斬新(あらた)な活歩(かつほ)を気取って在った。現代人(ひと)の生命(いのち)が憎く、現代人(ひと)の卑しさを殺したく、現代人(ひと)から湧き出る晴嵐(あらし)にも似た純(うぶ)な欲望(なやみ)が、この世に観て来た何より汚れて気障りに在り、現代人(ひと)の延命(いのち)を崩したかった…(云々)白々(はくばく)…」
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俺の基底(もと)から奈落を見下げて闊歩を続けた、他(ひと)に操(と)られた教習(ドグマ)の範疇(うち)には、八股(やまた)に分れた現代人(ひと)の独気(どくけ)が毒気にも似て激しく煌めき、滔々流行(なが)れる個人(ひと)の古巣に、現代人(ひと)から得られる永久(とわ)の〝語り〟は続かなかった。現代人(ひと)の肥えて破れた気質に産れる知識の瞳は、初めから無い許容の内実(ちから)に依頼したまま能力(ちから)が届かぬ未知の夕べに逆行(もど)って往(ゆ)くから、如何(どう)にも気取れぬ人間(ひと)の煩悩(なやみ)が先行して活き、俺と他(ひと)とが分れて仕舞える破局の順路を手軽に講じた。他(ひと)の〝生き血〟を事毎憎める俺に彩(と)られた無垢の並列(ならび)は、自分の軌跡を事上げしたまま老朽して生く無為の道標(しるべ)を活力(ちから)に観て採り、淡い〝古巣〟を背後にする内他(ひと)の温味(ぬくみ)を忘却して居た。紺(あお)い旧巣(ふるす)が如何(どう)にも休まぬ他(ひと)の懊悩(なやみ)に奮起して生く小言の巧さは宙(そら)を垣間見珍重され生き、現代人(ひと)から仕上がる駄弁の多さに唾棄を想わす無垢の知識は、小言に巻かれた淡い自然(あるじ)を酷く殺して妬んで在った。無益な描写に転びつつある、潤う活字は〝作品〟とも成り、俺にとっては詰らぬ言語を宙(ちゅう)に投げ売り衰退して行く。現実離れを正義に認めた俺の〝古巣〟はノスタルジーから純(じゅん)に仕上がる個人(ひと)の活力(ちから)に準じた儘にて、独創(こごと)の脚力(ちから)を支え続ける私事(しごと)に流離う頑なさを観た。現代人(ひと)が催す何等の会には未来に続ける快楽など無く、その場その場に生(せい)を費やす独走描写が端正(きれい)に仕上がり、根付ける温床(ねどこ)は独り部屋にて仕上がる代物(もの)だと、俺の意識は得意気に発(た)ち煩悶している。奇妙な連歌が宙(そら)に堕ち往く俺の心身(からだ)を端麗(きれい)に仕上げて屈葬して行き、俗世(このよ)の両眼(まなこ)を外れて活き得る殊勝な〝気取り〟を俺へと観(み)せた。俺に採られた〝旧い美声(こえ)〟には現代人(ひと)から発する拙い絆を、儚い幻(ゆめ)へと指折り数えて放棄した内、小言の〝呼笛(あいず)〟が白衣に並べる危篤の様子を現代人(ひと)の強面(つら)から光沢(つや)を引き抜き、「明日(あす)」の許容(おり)へと延命され得ぬ自然(あるじ)の基調を大事に採った。俺の心身(からだ)に真面に対する、机上に積まれた心算(こころ)の内には、夜に見果てぬ幻(ゆめ)の往来(みち)から、明朝(あさ)に迫れる強靭(つよ)い足音(おと)など心算(つもり)に響ける装飾を保(も)ち、俺の温床(ねどこ)を常に設ける古い教習(おしえ)は俺の幻(ゆめ)から真横に零れ、拙い運びに自然(あるじ)の経歴(きおく)が順に外れた暗い文句(ことば)が躍動していた。俺の〝基底(もと)〟から徒労に跳び立つ旧来(むかし)に蔓延る孤独の悪魔は、自分の悪夢を事の序(ついで)に染色して行く夢想(むそう)の躍動(うごき)に闊達した儘、白紙に根蔓(ねび)こる無用の集成(シグマ)にどん底から観た欠伸を取り次ぎ、幻(ゆめ)と幻想(ゆめ)との活路に手習う白銀(しろ)い教義(ドグマ)に魂胆を識(し)る。〝説明不足のやおらの苗〟から、現代人(ひと)に気取れぬ固い迷盲(まよい)が手近に成り立ち、如何(どう)にも翻(かえ)れぬ現代人(ひと)の心身(からだ)の矛盾から成る躍動(うごき)の終止に歪曲が居る。
硝子箱(ガラスケース)の断層から観る無想に分れた光線(せん)の旋律(しらべ)は、波長に伴う人の微動(うごき)に現行(いま)に見取れる〝歪曲〟から立つ無憶(むおく)の活気を充分浮き立て、現行(ここ)で見果てる幻(ゆめ)の盲裏(もうり)に離散して行く個人(ひと)の波動(うごき)に寝耳を付す儘、周辺(あたり)構わず無効の気色に先読みして行く、自分の範囲を自ずと決めた。
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「荻」の質問の時、俺は眼鏡を掛けても掛けなくても何方(どちら)でも文字を見得て良いのだが、そのお陰で美紀の顔をはっきりとは見えない儘で居たので、外して美紀さんを見ると嫌悪も半減し、その上、その問題(しつもん)は他の皆にもされて居たらしく、他の皆が小首を傾げる程にうろちょろして居た時、俺は同様に右往左往、ちょろ、と首を遣っていたが、引け目を感じ得ていたので美紀に「嫌われはしない、」と確信が在ったようで、俺は先を見知り、余裕でいた。とにかく、俺は村田美紀を愛して美紀を独占する形を以て、その形を以て、その体裁の中身の単独を見たかった。美紀はトイレの六〇W程の、黄色い、比較的明るい照明の下で、他の誰か(恐らく男)と居る。
俺の生歴(きおく)に準ずる〝打ち出の小槌〟を自分の身分を端正(きれい)に仕上げる不覚の許容(うち)にて気丈に保(も)ったが、次第に膨れて蟠りを解(と)く男女の気色に鈍く疲れて、独走(はし)り過ぎない、現行(ここ)に浮き出る清閑(しずか)な幻想(ゆめ)を、村田美紀まで届くようにと、小さく願って小首を曲げた。俺の周囲(まわり)に集う輩は常時手にする精神の異常を俺に対して安く突き出し、そうした精神に瞬時(つかのま)見られる現代人(ひと)へ対する確かな擦(ず)れを、小さいながらに確立して行く絶望から成る。噴散(ふんさん)を見た。現代人(げんだいじん)から仄かに蹴上がる正味の行方は、容易く仕上がる精神異常の快楽へと発(た)ち、常時定義に反対して生く玩具(おもちゃ)の内実(なかみ)を露呈した儘、躍起に操(と)られた始動の内実(なかみ)は、Shyに良く似た我執の上気を散布していた。〝上気〟から成る現代人(ひと)の根付ける苗床(ねどこ)の四隅(かべ)には、漫画とゲームの狂った盲図(あいず)が発声(こえ)を荒げて発狂して居り、実体(さんじげん)から無体(にじげん)へと往く無憶(むおく)の自然(あるじ)は現代人(かれら)の正体(からだ)は異(べつ)の空間(すきま)に内在する儘、二度と現行(ここ)へは返らなかった(還らなかった)。
初めから在る既定の〝古巣〟に操(と)られた無為には現代人(ひと)に蹴上がる不朽(ふくつ)の主観(あるじ)が存在して居り、現代人(かれら)に流行(なが)れる経過(とき)の正味が狂って在っても、現代人(かれら)の吐露には無価値が牛耳る低俗(ひく)い既定(しばり)が散生(さんせい)していた。懊悩(なやみ)と妬みと煩悶(なやみ)と労苦が現代人(ひと)の苗床(ねどこ)に再生したまま旧い経歴(きおく)に揺らぎ果て行く〝影響下〟に立つ能力(ちから)の冴えには、活きる上には何も保(も)たずの塒の妄想(まよい)が散行(さんこう)する儘、個人(ひと)に彩(と)られた六〇Wの薄明かりの下、一滴(しずく)にも似た自活の末には、個人(ひと)の様子は斬新(あらた)な心算(つもり)を現(うつつ)に観る儘、自己(おのれ)の無体(からだ)を事上げしたまま棚へ上げ行く〝無味の主義(あるじ)〟に心酔していた。Shyに似通(にかよ)る全ての悪味(あくみ)が人の保(も)つべき確かな興味を解体して活き、迷走して行く不変の主義(イズム)に放られ続けて、現代人(ひと)の温味(ぬくみ)は宙(そら)へ散らばる肉塊(にく)の傀儡(どうぐ)を愛して在った。孤独の懊悩(なやみ)が一向止まない男性(おとこ)の実(み)に出た鬼畜の正意(しょうい)は、現代(いま)に蔓延る現代人(ひと)の男性(おとこ)へ身固(みがた)く寄りつつ、稚夢(ゲーム)や幻覚(アニメ)の未熟の純(もと)から何に変らず利益に翔(はば)たく無味の美識(びしき)に悶絶して居り、明日(あす)の宮(みやこ)に一切咲けない幼稚の男性(おとこ)を生誕させ得た。知らず識(し)らずに、明るい日本(くに)には古来に夢見た誠意の痩躯が所々の人間(ひと)の空間(すきま)へ自ず捕えた理想(ゆめ)を保(も)ち得て朗笑(わら)って在ったが、白い鬼質(きしつ)の既成の奇声(さけび)にやがて拡(ひろ)がる情(こころ)が、途絶え、個人(ひと)の孤独に懐いた屍(かばね)を否が応にも棄(す)て去る巨人(あるじ)は、俗世(このよ)に果て無い未熟で稚拙の優れた餓鬼(あるじ)に跡形無いまで喰われて行った。宙(そら)に透れる時計の秒針(はり)が一刻、一刻、生(せい)の主導(あるじ)を指導するべく、無線に仕上がる人間(ひと)の連携(きずな)を仄かに浮ばせ〝何も無いのが自然で在る〟等、法的秩序に則る許容(うち)にて、孤高の幻(ゆめ)には晩春(はる)に花咲く自然(あるじ)の道理(きそく)に従い当てた。
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「春の盗賊」、「労いの浪漫」、「慌てる巨命(きょめい)」、「一番の星」、「苦労の宮(みやこ)」、「銀世界の頂上」、「象った紋章」、「恥じらいの勲章」、「文句(ことば)の綾」、「言葉の綾」、「文句(ことば)の酒宴(うたげ)」、「仮死の慌(あわ)て身(み)」、「重量・心象」、「俄かの御膳」、「真面な傀儡」、「雲観る度(ど)ん底」、「苦労の梯子」、「女性(おんな)の延命(せいめい)」、「明日(あした)の飯事」、「早稲田の魅力」、「早稲田の珍妙」、「早稲田の愚弄」、「賢い郷(さと)」、「浮気の木の実」、「源五郎坂(げんごろうざか)」、「怪人の幻(ゆめ)」、「楽しい晩餐」、「儀式の余韻」、「火照るの肖像」、「確実、確実」、「明日(あした)の挽歌」、「気色の早乙女」、「旧(ふる)びた書斎」、「覚悟の一語」、「両親(おや)の弔い」、「両親(おや)への弔い」、「現行(いま)の手習い」、「未詳(みしょう)の空虚」、「未詳(みしょう)の屈折」、「人間(ひと)への悪言(ことば)」、「人間(ひと)への虚言(ことば)」、「モルグ(morgue)の煉瓦」、「紺(あお)い空訴(くうそ)」、「漆黒(くろ)い産卵」、「漆黒(くろ)い散乱」、「意味付けの梨」、「意味の醜態」、「夜毎の醜怪」、「人間(ひと)への醜怪」、「稀有の奇怪」、「男女の密会(パーティ)」、「男女との壁」、「意味の不連携(アドリブ)」、「両親(おや)の交換」、「不潔への一(いち)」、「不潔の一歩」、「孤独の表明」、「孤独の拍子」、「仕儀と悪魔」、「電子のキャラバン」、「砂漠の源泉(オアシス)」、「萎えた価値観」、「現代人(ひと)の価値観」、「現代人(ひと)の未熟さ」、「人間(ひと)への嫉妬」、「現代人(ひと)の狂暴」、「現代人(ひと)の荘厳」、「現代人(ひと)の自尊(プライド)」、「現代人(ひと)への不審」、「現代人(ひと)への軽蔑」、「現代人(ひと)への不信」、「現代人(ひと)の玩具(おもちゃ)」、…、…、…、…、…、…、…。
頭上(あたま)を横切る二股(ふたつ)の地道に虚無に仕上がる香路(こうろ)を見定め、現行(いま)に利(い)き活(ゆ)く無体(みじゅく)の主観(あるじ)に従い果て行く向きを呈した現代人(げんだいじん)には、慌てふためく異質の集体(シグマ)を自己(じこ)の両眼(まなこ)へ硬く宛がい、幼児(こども)から観る浮世の残橋(はし)にはふいに通せぬ残骸(むくろ)の四肢(てあし)が上手に安置(お)かれて苦労を敏し、初めから無い個人(ひと)の瞳(め)を借る憂いの集成(シグマ)があたふた戦慄き、未然に防げる他(ひと)の夜目には下らなさを見て新芽を摘んで、俺の肢体(からだ)は心身(からだ)から成る情(こころ)を読み取り、明日(あす)に共鳴(かな)でる不思議な途次へと赴いて居た。白紙に跨る海馬の眼(め)をする〝打ち出の小槌〟は、何処(どこ)で如何(どう)なる不順(ふじゅん)の主(あるじ)をいとも容易く仰々しく打ち、自分に強張る神秘(ふしぎ)の交響(ひびき)に樞(ひみつ)が空転(ころ)げる浮世の〝呼笛(あいず)〟はいとも容易く撓(しな)んで折れて、渡航に尽きない無宿の檻から翔(は)ばたく人間(かれら)を、俺に彩(と)られる二極(ふたつ)の大躯(たいく)は想像したまま結託して生き、漆黒(くら)い宙(そら)には個人(ひと)の咲けない膨(ひろ)い荒地が憂慮に在った。当面果(さ)きまで限明(かぎり)を報さぬ二極(ふたつ)の男女(あるじ)は、俗世(このよ)へ跨げる膨(おお)きな定規を天秤にして、個人(ひと)が蔓延る憂いの辛苦を伸び伸びした儘懐手にした。〝言葉の巧み〟を努々(つとつと)気にして女性(おんな)の両肢(かいな)へ潜り込んでは、俺の苦力(くりき)に努々(つとつと)観られる透明(まわた)の正味(あじ)など遠(とお)に失(き)え生き、三寒四温に少々翔(は)ばたく未完(みじゅく)の熟女の極めの奥儀(おく)には、身分の上梓が到底適わぬ純心(こころ)の歯止めが端麗(きれい)に咲いた。自分の生(せい)へと〝丈(つよ)い・脆(よわ)い〟を重ねて観る内、自分の居座る規矩の許容(うち)から揚々滴る不出(ふしゅつ)の合図が女性(おんな)の目にした男性(おとこ)の内実(うち)へと無重(むじゅう)に通り、不意を目にする女性(おんな)の〝新芽〟は成長して生く四季(きせつ)の辺りを散策する儘、片目に具えた俺の〝男性(おとこ)〟は〝女性(おんな)〟を問うまま生き永らえた。身寒い春日(かずが)の軟い涼風(かぜ)から余命(いのち)を承け取る。――――
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(此処からは以下は、別の夢として好い。)
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にしきのあきらに似た神戸在住の男が相棒と共に、暴力で俺を襲って来た。短髪の伸びた黒髪で、身長は一七五センチ程あり、紺色から紫色のウィンドブレーカーを着て、相棒と共に、俺の家の二階(俺の部屋)から襲って来る。
始め、俺は、不良の喧嘩を楽しみ、ちんぴらに近い高校生等を相手に隠れたり、急襲させたりと、ゲーム感覚で軽く遊んで居たが、図らずとも、という奴だった。にしきのあきらに似た神戸の男は、二階の俺の部屋に隠れる俺の方を、俺の姿が見得ない筈の屋外の平地(詰り一階と同じ高さの地点)から見上げ、此方から(俺の部屋から)は長年住んで来て準備万端の故に、壁や柱が透けて、外敵(にしきのと相棒は白い服を着た多少喧嘩馴れした奴だった)を偵察出来た。俺はそれまでに、直接、にしきのに悪い事をした覚えは無かったが、他のちんぴら達を血祭りに上げさせたり、物理的に色々と活躍していた為、間接的ににしきのを攻(責)めていたかも知れない事には、気付かないで居た。とにかく、相手がやくざだから身を隠した、そんな内実を以て、俺は自宅(俺の室内)に待機し、二人が完全に通り過ぎるのを待っていた。二人は丁度、最寄りの小学校が在る方向から樟葉駅が在る方向へ向かって、俺の直ぐ前(俺の部屋から見下して一番目に隣接している三メーター道路)を、何か後ろをゆっくりちょこっと振り返りながら、身辺の見回りでちょっと遅れた相棒は次第に追い付きつつ。
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表情(かお)を隠せぬ拙い初出(いろは)は出来の冴えない不断の労費を暴力(ちから)に萎えない不朽の覚悟へ委託した儘、「にしきのあきら」と命名され得た未完(みじゅく)の壮輩(やから)を頭ごなしに悪党だと決め、彼の身元へふいと寄り添う不慣れな手腕の小さな悪には、悶絶出来ない純心(こころ)の脚色(いろ)から幻滅色(げんめついろ)へと褐色していた。日々の〝表情(かお)〟から堂々巡りの明暗だけ見て、肉の霊には諸刃(やいば)を突き付け、自分から鳴る暗歩(あんぽ)の意図には漆黒(くらやみ)さえ無い鈍(にぶ)い晴嵐(あらし)が驟雨を巡らせ、発音(おと)の咲かない無根の華には人間(ひと)に操(と)られる〝浮世〟の優美(ゆうび)が正味(あじ)を報さずことこと浮いて、俺の独歩(ある)ける真白(しろ)い固さの道理(みち)の上では、初めに活きずのlion(レオン)のの日差しが黄金色(きいろ)に煌(かが)やき上等に在る。過去に滅びた一重(ひとえ)の呼吸(いき)には俺に纏わる孤独を表す垂れ幕が在り、非道(ひど)いtale(はなり)の連携体には過去に逆行(もど)らぬ旧い延命(いのち)が燦々湧き出し、他(ひと)の怜悧が余程に冷たく冴える頃には、俺の純(もと)へと仕上がる生(せい)には〝分身〟し得ない自由の辛苦が開放された。他(ひと)から仕上がる真広(まびろ)の発声(こえ)から日出(あかつき)が落ち、大海(うみ)の果てへと清閑(しずか)な余韻(あまり)を発する人間(ひと)には、以前(むかし)の生歴(きおく)に俺が肖る苦労の在り処が寸徹(すんてつ)違わず至難を儲け、朝な夕なに真昼に仕上がる欲の牙城(とりで)は俺の足元(もと)へと空転(ころ)がっても来る。俺が見果てた現代人(げんだいじん)から、他(ひと)の温味(ぬくみ)が上がらぬのを観て、現代人(ひと)の生気(オーラ)に興味の挙がれぬ自然(あるじ)の道理(せつり)を否が応でも識(し)らされ続け、煩悶して行く俺の孤独は「個人」を呈して真昼に咲いた。それから暫く女性(おんな)の目下(ふもと)を何時(いつ)とは知られず、何処(どこ)か見知らぬ沼の遊離に闊歩を着重(きがさ)ね、暑い日も無く寒い日も無い豊穣(ゆたか)な英知にこの実(み)を認(したた)め、自然(あるじ)の発声(こえ)まで好く好く従う従順(すなお)な可決に自分を識(し)った。俺の目前(まえ)には俺に解(と)けない宙(そら)から噴(ふ)き出た独気(オーラ)が居座る。他(ひと)の独気(オーラ)に在る。拙い話題(テイル)に暫しも留めぬ幻(ゆめ)の温身(ぬくみ)を味わう間も無く、他(ひと)の男女はふらふら消え去り、自分に象(と)られた空間(すきま)に生き行く無音の言葉を口から吐き出し、俺の人影(すがた)が前方(そこ)に在るのに全く見取れぬ振りを続けて「自分」を宛がう主義(イズム)の強靭(つよ)さを表していた。現代人(ひと)の〝主義(イズム)〟は各自の主観(あるじ)に煙たい眼(まなこ)で構成されつつ、自己(おのれ)独りが生き続けて行く独房(おり)の強靭味(つよみ)を充分擡げて、現行(いま)に活き行く旧い疾走(はしり)を顔を紅潮(あから)め未完に置いた。硝子程度の脆弱(よわ)い気質を自分の体内(うち)へと吸引した儘、現代人(ひと)の世迷(まよい)の生気の返りは俺に対して凄まじさを保(も)つ。朗(あか)るい調子に二弦の愉(おか)しい気質を保(も)つ故、旧(ふる)びた態度は過去に返れども、現代人(ひと)に根付ける本能(ちから)の虚勢(うつろ)は余計に消え行く陽光仕立ての儚さに在る。幻(ゆめ)の集積(シグマ)が何故強張り、孤高の種火を我が身を通して返り見るのか、暗い火の手は他(ひと)に識(し)られぬ無想(おもい)の正味に保憶(ほおく)したまま他(ひと)の哀れは無断を重ねる〝向きの羞恥〟に合体している。何も観得ずの他(ひと)の精神(こころ)を囲う白壁(かべ)からちょこんと浮き出た素人仕立ての酸味が仕上がり、俺に蔓延る七つの煩悩(あくま)は正義を忘れて暴徊(ぼうかい)して生き、野平(のっぺ)り立てない古い故縁(えにし)に〝行方〟を報せぬ供養の律儀が散漫に在る。〝正義〟の規律(おきて)を示し得たのは俺の身元を確定していた古い宮(みやこ)の理性に在った。
俺の心身(からだ)は他(ひと)に居座る暴力(ちから)の正味(あじ)から努々(つとつと)逃げ活き、宙(そら)に割かない小さな生歴(きおく)をつんと睨んで、暴力(ちから)で対して暴力(ちから)で仕舞える二人の男性(おとこ)の行方を追い駆け、気付いた時には俺の部屋から白壁(かべ)を透して彼等を観ていた。二人の意識は空気(もぬけ)の体(てい)して滔々と活き、部屋の内でも柱を透して観られる程にて、悪魔の虚無からふらりと出て来た表面に在り、何分(なにぶん)生気を宙(そら)に仕向ける脆(よわ)い規律(ルール)に生きていたから、俺の両目は彼等の前方(まえ)から無駄を仕上げぬ温身(ぬくみ)を吟味(あじ)わい新しくもある。俺が辿れた〝部屋〟の明暗(ようす)は不断に観て来た自室であって、男の分身(かわり)は代わる代(が)わるに〝向き〟を換えつつ想像(おもい)を従え、在る事無い事、事実の有無から妄想(まよい)を突き立て、初めから無い温味(ぬくみ)の生気(オーラ)を俺に隠して一服していた。俺の精神(こころ)は白壁(かべ)に隠れて昼夜を彷徨い、暴力(ちから)を射止める二身(にしん)の人影(かげ)には一色(いっしき)保(も)たない他(ひと)の主観(あるじ)が散行(さんこう)して居り、俺に見取れる幻(ゆめ)の初出(いろは)の不純の奥儀(おく)には、始めに咲かない紺(あお)い果実が肢体(からだ)を畝(くね)らせ傾げて在った。
殻衣(からごろも)に在る不明の他(ひと)への並記の羅列は、旧来(むかしから)見る言(こと)の温床(ねどこ)の厚味(あつみ)を従え、〝火種〟に仕掛けた〝淡い暴露〟の〝一生瓶(いっしょうびん)〟には、朗(あから)さまにて逆行(もどり)を呈する幻(ゆめ)の幻話(げんな)が咲き乱れている。漆黒(くろ)い水泡(あぶく)が経歴(きおく)を逆行(のぼ)って自明を得る頃、褥を巻き生く旧い幻話(げんな)は無法に暮れ生く滑稽(ふしぎ)な煩悩(あくま)を体頂(いただき)に保(も)ち、幻(ゆめ)を遮る悪魔の尻尾を〝分身(かわり)〟を射止めた小さな暴力(ちから)に不断に巻き付け、怨みを抱(だ)けない無音を呈する俺の巨矩(きょく)には、明然(はっき)りし得ずの無味の曖昧(ゆるさ)が相対している。孤高の妙味を他の体重(からだ)に膨(おお)きく巻き付け、絡め尽せる身元に担いだ八多利(きょうみ)の由味(ゆみ)には、果てる事無い〝意味の手数〟が目数(めかず)を増やして膨(おお)きく居座り他(ひと)の身元を不動に固める事変(こと)の神秘に共鳴している。初めから得ぬ未知の淡味(あわみ)に他(ひと)の実(み)は落ち、俺の過去には過去に咲き得ぬ以前(むかし)の軌跡が充分浮き立ち、汗を流さぬ他(ひと)へ対する冥利の発声(こえ)には、現行(いま)に感付く滑稽(ふしぎ)の初出(いろは)が散行(さんこう)して居た。
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にしきのは俺の部屋の中を、外から手を突っ込み、中の物を弄(まさぐ)る。その時、俺の家は布みたいだった。柔らかい物だと思わされて、仮設住宅の青いビニールシート、俺のベッドの頭側に敷いて在るどてら(青い
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無駄に気配を居殺し続けた俺の黒目は辺りを見廻し、「明日の為に…」と自分に宛がう本能(ちから)の源(もと)から純(うぶ)を講じる歌味(かみ)を拾って、向きを示さず矛盾を呈さぬ斬新(あらた)の位置へと自分を追い抜く滑稽(おかし)な挙動(うごき)に操られていた。時間の経過(ながれ)を無駄に自分に吝嗇講じる俺の言動(うごき)は、自分に流動(なが)れる〝古巣〟の人影(かげ)から純白(しろ)い眼(め)をした見慣れぬ小さな家計を知らずに取り上げ、自分の意識に保(も)ち生く生命(いのち)に微塵とも似る〝正義〟の呼笛(あいず)が、沸々煮え立つ脆(よわ)い〝火の手〟を今にも噴(ふ)き出す真実(こと)のの蒙昧(あわさ)を知られてあった。漆黒(くろ)い郷里を逆手に象(と)り挙げ、知らず識(し)らずに順行して生く人間(ひと)の〝正義〟を俺へと向き立て、脆差(よわさ)を湿らす古い行儀は糠に漬け得ぬ天然(もと)の共鳴(さけび)を無断に講じる力差(りきさ)に託(あず)ける。しどろもどろの脆(よわ)い〝正義〟は人影(ひと)の実元(みもと)の律儀に興覚めふらりと跳び立つ淡い夜宙(よぞら)に大声(こえ)を喝(かっ)して渡航を重ね、白く彩(と)られた家禽の餌食の傀儡達には、自分の温床(ねどこ)の安まる場所さえ経過(ながれ)へ乗じる現行(いま)の目下(ふもと)で慌てふためき得られなかった。自然(あるじ)の目下(ふもと)に優雅に寝そべる白と黒との明暗(あかり)の差異には、人間(ひと)の黒目(ひとみ)に初めから立つ神秘(ふしぎ)の景観(けしき)が真っ向から在り、行方識(し)れずの人間(ひと)の温床(ねどこ)の安きを観るのは、俺の身元(みもと)に乏しく懐ける不意の音叉にしな垂れていた。何時(いつ)まで経っても姿勢(すがた)を立てない一張羅を着る無帽の紳士は、黒綿帽(シルクハット)に気安く触れる俺の真摯に興味を募らせ、途次(みち)の上から徒歩(ある)いて活き得る未熟に絶えない夜目(よめ)の主義(あるじ)は、事変(こと)の住まいを〝無益〟に着かせる滑稽(ふしぎ)な行為を繰り返していた。
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階下には、俺の母親が居た。片麻痺はしているのだろうが、姿を現さず、気配だけを忙しそうに部屋内から少し外までを独歩(ある)かせている。
遂に、にしきのとその相棒が、俺の家の二階(恐らく俺の部屋)から階段をとんとんとんとんと下りて来、白刃の矢を本気で俺に向けて立て始めたようだった。「何でこうなったか分るな」とでも言わんべくに俺の目前へと独歩し接近して来て、俺の直ぐ目前にストップして、俺は彼を見上げるようにして固まっていた。相棒の姿は、居るんだろうが、見えなかった。その神戸男(こうべおとこ)は、かなり危険且つ凶暴な奴で、それまでに人を何人か殺していた。それを知るだけに、俺の躰は震え、殺されても可笑しくない、とも思い始めていた。
にしきののその「何でこうなったか分かるな」の問いに対する回答のように俺は、「いや、恍けるとか遣り過ごすとか、本当に何の事か分らないんですよぅ。」等と何度か口早く言うが、良く在るやくざ映画の中でのシーンや、最近ユーチューブやネットで見て知っていたやくざや変質者に依る殺人事件(例・豊田商事社長殺害事件、神戸連続殺傷事件)が甦って来て、俺はこういう時、こういう場面で、何を言っても殺されるな、と半ば悲しく孤独な覚悟をした。にしきのは尚も「お前、外で遣り過ごした事が無いやろう。なぁ。」と、まるで嵐の直前の落ち着いた体裁と口調とを以て、俺の躯(からだ)を問い詰めて行く様(よう)だった。
俺は覚悟から、仕方なく、(夢から覚めながら呟いた言葉だが)「やっぱりかよ…やっぱりお前らみたいなんが俺を殺しに来やがるのか。じゃあ俺に殺される覚悟もお前はしてるわけやな。」と言い放ち、自棄になってにしきのに向かおうとしている俺が居た。そこで目が覚めた。
*
下降して行く暴力(ちから)に対する脇目の許容(うち)から、俺に仕上がる他(ひと)の熱尾(ねつび)は異様に容易く表情(かお)を現し、俺の真摯を全て無視して器用に独歩(ある)ける苛つく身形(みなり)を新参させた。〝現代人(ひと)と付き合うのにうんざりしていた〟俺は他(ひと)の男性(おとこ)の脚力(ちから)を根こそぎ、男性(おとこ)の脚力(ちから)の全ての挙動(うごき)を力一つで仕留めて居ながら、未だ還らぬ暴漢(おとこ)の居所(いどこ)を自室に捜して途方に暮れた。現代人(ひと)の〝正義〟は自己(おのれ)の主観(あるじ)の脚力(ちから)任せに他人の行方を決定させて、「自分の自然(あるじ)は悪に操(と)られた覚えは無い」等、破局して行く試算を噛んでは無為に溺れる脆弱を見た。過去の〝古巣〟に自分の白衣(ころも)が吊るされ在るのを、純(うぶ)の黒目(ひとみ)に眺めて居ながら、結局果て無い無頼の独歩を現行(いま)の荒野に進めて在った。明日(あす)の虚無から久しく逃れた真摯の様子は不意を憶えた俺の生歴(きおく)に新しくはなく、以前(むかし)に咲かせた覇気の独創(こどく)に珍事を識(し)りつつ、自分の寝室(へや)から一向発(た)たない虚無の意識に逡巡して居る。何方付かずの俺の実力(ちから)は空虚に成り立つ経過(ながれ)を操り、男二人を幻(ゆめ)に失(け)し行く帳の萎えから奇妙を識(し)った。寄声を発した孤里(こり)の海馬(うみ)から余程の覚醒(めざめ)が固陋に立ち込め、現代人(ひと)の両刃(やいば)は情(じょう)を語って、情(こころ)を宿せる呼笛(あいず)を成した。俺の身元(もと)から端正(きれい)に片付く現代人(ひと)の温身(ぬくみ)は宙(そら)へ消え失せ、漆黒(そら)に散らばる星々(ほし)の態(てい)して俺に対する怜悧を灯して純粋を着る。漆黒(くろ)い黒目(ひとみ)に充分輝く鋭い〝灯(あか)り〟の星々(ほしぼし)達には各自が宛がう相手の温味(ぬくみ)を求めていながら、奇怪に華咲く晴嵐(あらし)の行方は現代人(ひと)の成果を吟味(あじ)わう事無く、両手両足、全て揃えた傀儡(ひと)の肢体(からだ)に晦まされた儘、何方(どちら)付けずの宙(そら)の自然(あるじ)は〝髑髏〟を掌(て)に保(も)ち平常(いつも)の姿勢(すがた)で、俺の行く先落ち着く果(さ)きへと、先廻りをして朗笑している。幻(ゆめ)の扉を奇妙(へん)な調子に叩いた人間(ひと)には、自分の周辺(あたり)を見廻し始める斬新(あらた)な孤独に相対する儘、現代人(ひと)に蹴上がる熱情(あつさ)の内(なか)では、過去を巡らす〝死観遊戯(しかんゆうぎ)〟に単色(モノクロ)が在る。モノクロリズムとインディビジュアルは俺の夜目(よめ)にさえ気取られ続けて、「明日(あす)」の乖離が今日から始まる幻(ゆめ)の〝正義〟を集成して活(ゆ)く。現代人(ひと)の〝正義〟は正義に無い儘、俺の虚無にも正義は無い儘、他(ひと)に彩(と)られるアフォリズムに観る滑稽(おかし)な文句(ことば)の羅列の程度は、果てを識(し)らない人間(ひと)の生命(いのち)に最果てを観た。…
言葉限りの滑稽(おかし)な虚無から起立して生(ゆ)く人間(ひと)の規矩には、堂々巡りに波紋を拡げる〝自然(あるじ)〟に操(と)られた生粋が立ち、夢想の奈落へ追随して生く漆黒(くろ)い手先の〝宙(そら)〟の目下(ふもと)は、俺と他(ひと)へと乖離し果てる幻想(ゆめ)の延命(いのち)に共鳴(さけび)を遣った。人間(ひと)の知識で説明付くのは人間(ひと)に操(と)られた範囲に活き得る「新しさ」に依り、歯止めが利かない自然(あるじ)の規矩には人間(ひと)に識(し)れない確かな神秘(ひみつ)が変らず落ち着き、人間(ひと)に為される中途半端な行為の範囲(うち)には、初めから無い〝列〟を決め得る無為の〝晴嵐(あらし)〟が歴然とある。現代(ここ)に生き得る適した体(てい)にて、俺の前方(まえ)から消え行く生命(いのち)は、宙(そら)に掲げた星々(ほしぼし)達より遥かに遠くて気配を知れない。人間(ひと)の形成(かたち)に自然(しぜん)を垣間見、自然の許容(うち)には人間(ひと)を垣間見、連続して在る〝経過〟の許容(うち)にて人間(ひと)の温身(ぬくみ)は怜悧を知り抜き、俺の目前(まえ)から姿勢(すがた)を失(け)し生く自然(あるじ)の規矩(おきて)に従い続ける。俺に象(と)られた野望の孤独は自然(しぜん)の随所に揚々降(お)り生く固(たし)かな幻想(ゆめ)から脱却して活き、言葉も文句(ことば)も宙(そら)の流動(ながれ)へ〝経過〟を沿わせて、端正(きれい)に仕上がる曖昧(ゆる)い螺旋(みち)へとその実(み)を遣った。過去(むかし)の境界(かぎり)は境界(かぎり)を倣わず限界(はどめ)を掛けて、余命(いのち)を掲げて宙(そら)へ生き行く無間(むかん)の幻(ゆめ)から憐れみを観た。人間(ひと)の目下(ふもと)に空転(ころ)がり続ける不毛の自然(あるじ)の逸脱からでは、幻(ゆめ)に打ち生く独創(こごと)の樞(ベール)は破局に落ちず、他(ひと)の余命(いのち)は人間(ひと)を観ながら個人(ひと)の規矩へと従い続ける。見知らぬ歌人が俺の元へと彷徨いながら、俺の前方(まえ)へと体裁揺らしてどんより羽打(はた)めき、何時(いつ)も講じた自活の小路(みち)には、俺の目前(まえ)から奇麗に仕上がる他(ひと)の恐怖が充満していた。俺の両脚(あし)には誰も寄らない自活の痩躯の原力(ちから)が漲り、初春(はる)の小川に小さく小波(さざ)めく余韻(おと)の清閑(しずか)に真向きに逆らう人間(ひと)の定めがおんおん咽び、滔々流れる晩秋(あき)への道理(みち)には、端正(きれい)に懐ける経過(とき)の欠伸が幻想(ゆめ)に寄り添い憤慨している。自ず見果てる人間(ひと)の眼(め)に見た徒労の規矩には、俺の原力(ちから)へ定めと流行(なが)れる身重の結果が粛々漏れ落ち、一人切りにて働き続ける純白(しろ)い眼(め)をした思惑(こころ)の主観(あるじ)は俗世(このよ)の金(おきて)を棚上げしたまま焦る早朝(あさ)には白痴を吟味(あじ)わい、人間(ひと)が流行(なが)れる三度の〝旧巣(ふるす)〟を面影失くして逡巡して在る。色々、ぼろぼろ、崩れ落ち行く人間(ひと)の教癖(ドグマ)は一向経っても発音されずに、他(ひと)の寝付ける温床(ねどこ)を求めて遠い行程(ノルマ)へ徒歩(ある)いて行った。俺の身元を清閑(しずか)に離れた二足(にそく)の草鞋は体裁(かたち)を整え懐味(なつかしみ)を保(も)ち、両親(おや)の容姿(すがた)を巧く透して、黒曜石にも少々似て行く漆黒(くろ)い気色を宙(そら)へ掲げて俺まで誘う。小さい幻(ゆめ)から二色に分れる陽(あか)るい両眼(まなこ)に他人を誘い、淋しさ等から少々覗ける純白(しろ)い気色の旧巣(ふるす)の麓(もと)では、陰(くら)い歌暦(かれき)が自体(からだ)を侍らす脆(よわ)い旋律(ちょうし)を掲げて在った。
女性(おんな)の源力(あるじ)が俗世(このよ)に居座る二局(ふたつ)の主観(あるじ)に操られる内、個人(ひと)の威を借り、如何(どう)でも構えた無垢の〝呼笛(あいず)〟に自分を気取らす滑稽味を保(も)ち、誰の人影(かげ)にも這入り切らない脆(よわ)い自力(ちから)の性(せい)を誘(さそ)って、明日(あした)の麓で初めから無い人間(ひと)の〝確か〟を見聞している。女性(おんな)の芳香(におい)に男性(おとこ)の脆味(よわみ)の鼻先(さき)から折れ、俺に見取れた男性(おとこ)の〝旧巣(ふるす)〟は女性(おんな)の活きない清閑(しずか)な土地へと〝自分〟を求めて巣立って入(い)った。〝牙〟を保(も)てない性(せい)に操(と)られた屍(かばね)の告白(ざんげ)は純白(しろ)い用紙に未知の文句をしっかり書き付け、通り縋りの女性(おんな)の身元を荒れた畑へ放って置いた。棄(な)げた女性(おんな)の腐りを識(し)らない純(うぶ)の質(もと)から、虚無(うそ)を吐(つ)けない無言(ことば)の無音(おと)など消極を識(し)り、男女の棲(す)み家(か)が俗世(このよ)の死地から蹴上がり始める宙(そら)の厚さの虚構(ドラマ)を描き、「明日(あす)」の身元を計り知れない滑稽(おかし)な調子をいつもの仕手から頂戴する儘、合せ鏡に幸せさえ見る〝女性(おんな)の本能(ちから)〟は男女(ひと)の懊悩(なやみ)を根こそぎ創れる脚力(ちから)の通りを美しくした。白い悪魔に絆され始めた女性(おんな)の煩悶(なげき)は男性(おとこ)の根性(しつ)から脚力(ちから)を失くさせ、形付かずに空転(からまわ)りをする男性(おとこ)の律儀を告白する儘、女性(おんな)の健気は女芯(にょしん)を呈(あらわ)す〝初めから在る悪(あく)〟の厚味を復刻させ活き、現代人(げんだいじん)から抽出され生く嫉妬と羨望(うらみ)の二局(ふたつ)の疾走(はしり)は、黄泉の郷(くに)から埋葬されつつ挙がった記憶を大事に採りつつ表情(かお)を紅(あか)らめ、未熟を灯せる生命(いのち)の幻(ゆめ)には、男も女も形(かた)無く仕舞える無力の様子が明るみへと出た。現代人(ひと)に沸き立つ欲の芽を見た腕(かいな)の尽力(ちから)は、凄まじい程見果てぬ矢先を〝獲物〟を追い駆け影従(えいじゅう)して居り、怒涛の内へと流行して生く〝現代人(ひと)〟を束ねる随感(ずいかん)等には、現代人(ひと)の体裁(すがた)が揚々羽ばたく現行(いま)の熱気が手先を狂わせ、仮死と成り行く男女の姿勢(すがた)は俺の目前(まえ)から端正(きれい)に折れた。拭い去られる現代人(ひと)の目欲(めよく)は気狂い始めて、障(さわ)りの無いまま無駄の無い儘、商魂癒せる不治の労苦を逆手に採る儘、夢遊に気付ける人間(ひと)の厚味は塒を捜し、説明付け行く二局(ふたつ)の主観(あるじ)へ追従(ついしょう)して居た。潔白(しろ)い白紙(かみ)には男女(だんじょ)の行方が行方を報さず、脆(よわ)い両眼(まなこ)に子母(しぼ)が働く父の心境(こころ)が逆差(さかさ)に成る儘、現代人(ひと)の宮(みやこ)は女性(おんな)の子宮(もと)から払拭され活き、闊達には無い薄い〝描写〟が現代人(ひと)の総理の絵面を描(か)いた。全く曇れる現代人(ひと)の界(かい)から女性(おんな)が蹴上がり、それを追い駆け、白い悪魔に正味を識(し)りつつ、人間(ひと)の美味(うまみ)を官能するまま内出(うちで)に認(したた)め、〝いざ〟と言うとき本気を出せない人間(ひと)の基盤を上々拵え、初秋(あき)の半ばに人間(ひと)を葬る滑稽(おかし)な景色を夜長に描(か)いた。戯れ始めて気長に居座る男女の群れから結婚して行く脆(よわ)い小作が重々現れ、光沢(つや)を保(も)たない女身(にょしん)の老いには男性(おとこ)の孤独が瞬間癒され、暴れ始める煩悩(よく)の火蓋は女性(おんな)の陰にて重々生育(そだ)ち、掴み損ねた手綱の果(さ)きには〝暴れ馬〟に観る〝女性(おんな)〟の身重が近付いていた。言葉の果(さ)きから追憶して生く男性(おとこ)と女性(おんな)の談合が成り、重ね重ねの〝話し合い〟には男・女(ふたつ)が産れた宙(そら)を仰げる出来レースが立ち、試算を始める女性(おんな)の色香(いろか)の矛盾の果てには、男性(おとこ)の〝結局(さいご)〟を結局安めぬ覚悟の破れた愚行の実(み)が在る。
〝からから蜻蛉(とんぼ)〟が純白(しろ)い箱庭(にわ)から身軽を気取って悠々跳び立つ初秋(あき)の琥珀を瞬時に見付け、何処(どこ)まで入(い)っても〝吟味(あじ)〟の詠めない身薄(みはく)の音(ね)を保(も)つ翼(はね)を安めた。宙(そら)の透りは何にも問えない〝譬え〟の成らない未完(みじゅく)が窺え、潔白(しろ)い上手に懸念が沸き立つ延命(いのち)の成就を果(さ)きに象り、俺の躰の重味(おもみ)を担げる四方(よも)の周知へ垂直跳びする。宙(そら)の麓を遊々(ゆうゆう)流行(なが)れる希薄の軽さを〝絵〟に着た白雲(くも)の向きには、人間(ひと)の〝奈落〟を払拭して生く蒸気の重さが憤怒(いかり)を忘れ、途方にも向く滑稽(おかし)なmorgue(モルグ)を蜻蛉の果(さ)きへと用意する儘、感覚(いしき)を省ける黄泉の郷(くに)へと自体(からだ)を射止めた乙女が在った。〝恋する乙女〟は現代人(ひと)の世に無い無造の象徴(かたち)を手軽く着納(きおさ)め、俗世(このよ)に活き得る女性(おんな)には無い無垢の聖者を気取る内にて、夜毎(よごと)に埋葬され行く孤高の静夜(せいや)を独歩(ある)いて在った。
~成り納め~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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