第5話目撃した

杉山はじっと部屋にこもりっぱなしだった。

彼女の由香を殺されて、犯人への復讐心しか湧かないのだが、食事さえもままならない。

小原が時折、様子を見に来る。合鍵を渡しているのだ。

小原はいつもの様に夜勤の準備をしていた。

また、小杉と林がハッチだった。

夜中の2時入港なので、小杉と林は1時半会社集合で、小原は居酒屋で一杯飲んでいた。

すると、スマホが鳴る。

「こ、小原さんですか?」

「あぁ、今飲んでるよ。来る?小杉君」

「ハァハァハァ、こ、小原さん。僕、犯人を目撃しました。あ、アイツが犯人です!」

「な、何の事?」


『よ、よせ!待ってくれっ!まだ、お前を犯人だと、だ、誰にも言ってない!』


『ぐぁぁ〜〜』


「もしもし、小杉?どうした?小杉ッ!」


『ツゥーツゥーツゥー』


大変な事になった。もしかしたら、小杉が殺られたかも知れない。

電話を何度もするが繋がらない。

不安なまま、夜勤集合の時間を迎えたが、林しか居ない。

しょうがないと、小原はハッチをしながら書類を作成した。


翌日、小杉は死体で発見された。

小原は黒井川と言う刑事と話し、林は川崎と言う若い刑事と話していた。

しかし、小杉は死ぬ前に犯人をアイツと言っていた。これは、刑事に話さなかった。

事情聴取を受けた夜勤明けの小原と林は疲れ切って帰宅した。

夜勤明け、杉山の家を見に行ったが本人の姿は無かったので、小原はシャワーを浴びて、ベッドに転がった。

インターホンが鳴る。


その音で小原は起きた。夜の8時だった。

杉山が久しぶりに飲みたい。と、言うので2人で居酒屋へ行った。

杉山は、殺された彼女のお墓参りをしていたそうだ。

小原は、犯人は身近な人間であると考えていた。

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