第4話猟奇殺人
杉山が目覚めた時、天井が白かった。蛍光灯が眩しい。起き上がり、キョロキョロとするとそこが病院である事に気づいた。
「杉山さん。目を覚まされましたか?」
と、言われると、中年オッサンと若い男が立っていた。
そうだ、杉山は彼女の由香が亡くなった事を知らされたのだ。
やはり、夢では無かったのだ。
「杉山さん、あなたは昨日の夜9時頃どちらにいらっしゃいましたか?」
と中年オッサンが尋ねた。
「小原と言う友達と、お酒を飲んでいました」
「……分かりました」
中年オッサンは若い男にコソコソと話し、若い男は病室から出て言った。
「け、刑事さん」
「黒井川で結構です」
「黒井川さん。由香は確かに死んだのですか?事故ですか?」
「……何者かに殺害されました」
「由香は苦しんだのでしょうか?」
「頭部を鈍器で一撃です。苦しんだとは思えません」
「犯人は……」
「……犯人はまだ、判明していません。亡くなった彼女さんと長いのですか?」
「えぇ。付き合って5年です」
杉山は何故か刑事の話しを淡々と語る自分に嫌気が差した。
刑事と話してから、杉山は病院を出て帰宅した。
「黒井川さん」
公園のベンチに座りタバコを吸っている黒井川の元へ川崎が走ってきた。
「どうだった?」
「やはり、杉山は小原と酒を飲んでいました」
「そう」
川崎はコンビニの袋からコーヒーと魚肉ソーセージを出した。
黒井川は魚肉ソーセージのビニールを破り、食べ始めた。
「黒井川さん、ソーセージって美味いんスか?」
「何、言ってんの?ソーセージは魚肉に限るよ」
「しかし、あれですね。膵臓と肝臓を持ち去るって」
「ね?普通の人間の仕業じゃないね」
「これも、一連の殺人事件と関係ありますか?」
黒井川はコーヒーを一口飲み、
「この連続猟奇殺人の犯人は同一人物だよ」
「日本でも、こんな殺人事件があるとは……」
「次の犠牲者が出ないうちに、犯人を見つけてやる」
杉山は独りぼっちで、部屋にいた。悲しみが襲ってきた。悲しみはじわじわと襲ってくるのだ。
翌日から、由香の衣類を整理した。そして、引っ越す事にした。会社は1ヶ月間休む事にした。会社も理解してくてれ、傷心の杉山をおもんぱかった。
小原が顔を出してくれた。小原は荷作りを手伝い、新居は小原のマンションにした。単身用マンションだ。
引っ越しの前夜、小原のお礼も兼ねて居酒屋で一杯飲んだ。
杉山ははらはらと涙を流した。
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