第14話
(たい空気は、何時まで続くんだろう?)
そんな質問に正確に答えられる人なんていないって分かっているのに、思わずそう聞きたくなってしまう。
気まずい雰囲気なのは何時ものことなのだが、今日は一段と気まずい。母は黙々と夜ご飯を食べているが、真央は何を発言すれば良いのか一生懸命頭を捻っていた。
昨日、玲央と喧嘩してからこの調子。真央は玲央に謝罪を促したけれど、「謝罪なんかしない」の一点張り。
「アンタが、、、」
重たい雰囲気に耐え兼ねたのは、どうやら母の方だったみたいだ。
「アンタが弱かったから、玲央は死んでしまったのよ!?少しは玲央に謝罪とかないの!?」
(え、、、)
戸惑う真央に構わず、酷い言葉を母は並べていく。
「アンタなんか、生まれてこなけ、、、ヒッ」だが、最後まで言えずに母は小さな悲鳴を上げた。母の喉には正確にフォークが当てられる。少しでも力を入れれば突きそうな距離。
「良いか。今度同じような、真央の存在を否定するようなことを言ってみろ、氷漬けにするぞ」
玲央の言葉は氷より冷たかった。
母は何か言い返そうとしたが、鋭く向けられたフォークと、冷たい圧力を受けて黙ってしまう。
フォークを机に置き、玲央は自室へ向かった。
母だけになったリビングに残るのは母と、金属が床に落ちるカランという音だけだった。
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