第6話

ゴブリンクイーンを討伐してシガヒの町でエドラと別れた私は、北方の森に潜む魔王軍幹部を倒すべくスーノ村に来ていた。この村にも当然のごとく、旅人の酒場が開かれていて、セントラルの酒場のマスターとよく似たご姉妹が切り盛りしていた。


「マスター。ここに勇者は来ているだろうか?」

「あぁ、勇者様ならこの村に2人来てるよ」


勇者はたしか3人旅に出ていると聞いた。エドラとは別の方角を目指してきたのでパペルともう一人、まだ会ったことのない勇者がいるのだろう。


「おっ、噂をすれば……1人はホラ、あそこにいる子だよ」


マスターに示された方を見ると、ちょうど視線の先にいた子と目が合う。向こうもこちらを認識してか、歩み寄ってきた。


「あ……あなたがサナさんですか!?」

「あ、あぁ。いかにも私がサナだが……」

「うわぁ、本物だ! パペル君や酒場のウワサであなたのことは聞いてたんです! 遊び人だけど魔王を倒すために旅をしている女性がいるって……」


勇者間でも情報交換をするのか、と驚いたが元々は王都にいて同時に10歳を迎えるということは幼馴染。偶然でも町などで会えば話したりはするかと勝手に納得する。それにしても、私のことをパペルが話してくれていたとわかり少し嬉しくなる。


「そ、そうか……。お恥ずかしいかぎりだ」

「そんなことないですよ! パペル君もカッコよくてステキだって言ってましたし、今日お会いして私もそう思いました!! ……あっ、申し遅れました。私の名前はティヘルって言います! パペル君と同じで、魔王討伐を目指す勇者です!」


ティヘルは今年旅立った中で唯一の女勇者だった。なかなか酒場には女性冒険者や女戦士がいないため風の噂で聞く程度でも、私のような魔王討伐を目指している女性の話は心の支えになっていたそうだ。


「じゃ、じゃあ……サナさん! 私と一緒に北のボスを倒しに行きませんか!?」


ティヘルは緊張からか、頬を薄く染めながら握手を求める。前回も一時的とはいえ勇者と行動を共にしているし、私個人としても断る理由は特にない。


「ああ。私でよければこちらこそお願いするよ」

「ホントですか!? やったー!」


握手に応じると彼女は両手で私の手を握り直しピョンピョンとその場で飛び跳ねる。年相応な可愛らしさに私の頬まで緩んでしまう。


「じゃあ明日、一緒に北の森に行きましょう!」

「わかった。集合場所はここでいいな?」

「はい、ではまた明日!!」


明日の打ち合わせを済ませると彼女は酒場を出ていった。私はもう少し、情報収集を続ける。


「たびたびすまないマスター。勇者のパペル君もこの町にいるか?」

「あぁ。彼なら恐らく、もう宿屋に戻ってるんじゃないかな」

「そうか、ありがとう」


マスターに礼を告げ、村の宿屋に向かう。このとき私の心の中では、二つの気持ちが闘っていた。


宿屋の2階、真ん中の扉を私はノックする。


「こちらにパペル君はいるだろうか? 私だ、サナだ。」


名乗った瞬間、ドタドタという足音が部屋の中から近づき、ドアが開かれる。


「さ、サナさん!? 本当にサナさんだ!! ど、どうしてここに!?」

「あぁ、酒場でこの村にいると聞いてな。少し会いたくなってマスターに教えてもらったんだ……プライベートなところをすまない。」

「謝らないでください! ボクもまたお会いできて嬉しいです! どうぞ、中へ!」


パペルは私を部屋に通してくれる。どちらから言うでもなく2人で並んでベッドに腰かけた。お互い沈黙が続く。


「……パペル君」


先に口を開いたのは私だった。パペルは優しい眼差しで私を見る。その目に、私の心で燻っていたものが激しく燃え上がる。初日に助けてくれたパペルへの愛しさが、その後ゴブリンに嬲られたことへの悔しさや嫌悪感が。


「私は……汚されてしまった。こんなことならあの日、私から……」

「さ、サナさん……?」


私はパペルの肩を抱き、そのままベッドに倒れこむ。彼は驚きこそすれ抵抗することはなく、変わらず私の目をまっすぐ見つめる。もう、我慢できない。彼に抱かれたい。燃え上がった想いはそう一つに渦巻き始める。


「パペル君。私を……抱いてくれないか? 私の記憶を、上書きしてほしい」


その想いを口にしてしまった。今までは強くあれと自分に課して、興味こそあれど求めることはなかったがもう、我慢できそうもない。


「……わかりました。サナさん、ボクでよければ……」


私の想いに応えるかのように、パペルは私を抱きしめる。暖かい……その体温と鼓動を感じながら私は、彼の唇に自分の唇を重ねた。そしてパペルの首に腕を回し、息継ぎをするのも忘れて激しく口づける。彼の口の中にある舌に自分の舌を絡みつかせると、彼は一瞬ビクッとした。しかしすぐに私を受け入れてくれた。私はその事実が嬉しくて、一層強く抱きしめる。


「ぷはっ……サナさん……」

「はぁ……パペル君……」


2人の間に銀色の橋がかかる。私はそれを気にも留めず再び彼の唇を奪いにかかる。今度は彼も積極的に私の舌と絡ませる。2人だけの空間に、唾液の絡まる水音だけが響く。まだキスだけなのに、ここまでで経てきた性的経験のどれよりも気持ちが良い。


「……ぷはっ。サナさん、服は……」

「自分で脱げるさ……んっ」


2人とも口づけをやめることなく服を脱ぎ始める。私はボディスーツを脱ぎ、パペルはズボンとパンツだけになると、彼は唇を離して私の首筋に吸い付いた。そしてそのまま舌も這わせていく。首筋から鎖骨へ、鎖骨から胸元へ。そして私の乳房にたどり着く。


「パペル君……そんなに大きくはないんだが……」

「そんなことないですよ」


そう言って彼は私の胸を揉み始める。その手つきは優しく、しかし確実に快楽を与えるものだった。私は思わず声を漏らす。


「んっ……」

「サナさん、可愛いです……」


そのまま彼は私の胸に吸い付き、舌で乳首を転がす。その刺激に私はまたも声を漏らしてしまう。彼の愛撫は止まらない。胸からお腹、下腹部へとその手はゆっくり下りていく。そしてついに彼の右手が私のパンストをずらして秘所に触れた。


「サナさん……もうこんなに濡れてる……」

「……恥ずかしいから言わないでくれ」


私は顔を手で覆う。しかしパペルはそれを許さない。彼は左手で私の手を払いのけてしまうとそのまま唇を重ねる。その隙に彼の右手は私の中へ侵入する。


「んっ……!」

「サナさんの中……すごく熱いです……」


2本の指が私の膣内をかき乱す。普段自分でもしないし当然ゴブリンにされたときとは全く違う甘美な刺激に、私は既に達しそうだった。


「パペル君……もう……」

「はい、いいですよ」


彼の指が私の膣内を一層激しく刺激する。そしてついにその時が来た。


「んっ……!」


私は体をのけぞらせながら絶頂を迎える。今までで感じたことがないほどの快楽が私を襲った。しかしそれでも彼は手を止めない。それどころかさらに強く指を動かす。私はたまらず彼にしがみつく。


「あっ! ああぁっ!」


もう声を抑えることができない。私はそのまま二度目の絶頂を迎えた。


「はぁ……はぁ……」

「ふぅ……サナさん、大丈夫ですか?」

「あ、あぁ……大丈夫だが……意外と……意地悪なんだな」

「ふふ、サナさんが可愛くって。つい……」


彼ははにかんで見せる。その表情を見ると、霧散しかかっていた欲と感情が爆発してしまう。


「パペル君……」


私は彼を押し倒し、今度は私が愛撫を始める。先ほど彼が私にしてくれたように首筋から乳首までねっとりと舌を這わす。そのまま下腹部に下りて彼のパンツを下ろすと、そこには可愛らしい彼の男根があった。私はそれに顔を近づけ、先端に軽く口づけをしてから口内で包み、舌を絡めて刺激していく。


「ん……サナさん、気持ちいい……」

私は口の中でさらに膨張していく彼の男根をただただ愛おしく思う。しばらく彼のモノを味わって、私は顔を上げて彼に跨った。


「パペル君……君のが欲しいんだ……」

「……はい」


彼は恥ずかしそうにしながらも私の望みを聞き入れてくれた。私は彼の男根に手を添えて自分の秘所にあてがう。そのまま腰をゆっくり落としていくと、彼のモノが私の中に入ってくるのがわかる。


「んっ……!」

「サナさん……!」


ついに彼と一つになった。その事実に私の心は幸福感でいっぱいになる。しかしまだ足りない。もっと彼を感じたい。私は腰を上下左右に動かす。

「サナさん……ボクも動きます……!」

彼はそう言って私の腰の動きに合わせて自分の腰を動かす。先ほどよりも強い刺激に私はまた声を漏らす。しかしそれは彼も同じだったようで、彼の口からも声が漏れるのを感じる。それが嬉しくて、私はさらに激しく動く。そしてついにその時が来た。


「あっ……! パペル君! もう……!!」

「サナさん!」


2人同時に果ててしまった。膣内で彼の精液が注ぎ込まれるのを感じる。私はそのまま彼に倒れこんだ。


「サナさん、その……ありがとうございました」

「こちらこそだ。パペル君のおかげで、嫌な記憶が上書きされた気がするよ……」


私たちは再び口づけをする。そしてしばらく抱き合ったまま横になっていた。



一方その頃、パペルの隣の部屋ではティヘラがベッド上に座って壁に耳を当てていた、


「うっそ……!? パペル君とサナさん!?」


部屋に戻った時点から隣室から微かな嬌声が漏れ聞こえていたが、時おり聞き取れる単語に馴染みがあったため何か予感はしていた。結局、興味に負けてしまい聞き耳を立てることにしてしまったのだがその結果、どうやら壁の向こうで交わっているのは幼馴染と憧れの女性のようだとわかってしまった。


「あぁ、サナさん……。酒場ではあんなにキリッとした話し方をされてたのに……こんな可愛らしい声も……パペル君も、オトナなんだぁ……」


これ以上聞いてはダメだと分かっていても、10歳の少女には刺激が強く、ティヘラの判断能力はとうに落ちていた。彼女の脳内には、幼馴染と乱れる憧れの女性の淫靡な姿しか浮かんでいない。


「サナさん……はぁ、はぁ……パペル君……」


気が付くとティヘラの右手は、自分の秘部に伸びていた。まだ穢れを知らないはずの彼女のそこからは少し白く濁った愛液が滴り、ベッドに染みを作る。彼女は無意識に敏感な部分に刺激を与え続ける。


「んっ……!!」


ティヘラは体を大きくのけぞらせながら絶頂を迎えた。それと同時に頭が真っ白になるほどの快楽が脳髄を駆け巡る。彼女はそのままベッドに倒れ込むと、荒い呼吸を繰り返しながら呟いた。


「私も……サナさんや、パペル君みたいに……してみたい……」


そのまま彼女は夢の中へと微睡んでいった。

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