第5話

私は数秒目を閉じて再び瞼を上げる。視界は白い女神の間から、ゴツゴツした岩肌と鉄格子に包まれた空間に変わった。


「ね、姉ちゃん……よかった、生きてた……」


どうやら私はエドラと同じ地下牢に放り込まれたらしい。私の横ではエドラが涙目でこちらを見ている。


「エドラこそ……無事、ではないかもしれんが、生きて会えて良かった……」


私が気を失っている間に彼の命を奪われたりすることがなかったとわかり、安堵する。現在の状況を確認する。私もエドラも先ほどの行為のまま放り込まれたこともあり全裸な上に泥と体液に塗れている。しかし、エドラと違い私は手足を縛られることなく収監されたようで、手足の自由が利く。ひとまずエドラの縄を解きながら、小声でここから脱出するための作戦会議をする。


「さて、どうやってここから脱出するかな」

「ここの牢から出て、オレの武器さえ回収できれば……」


勇者は旅に出る際、王から装備を支給される。昔は少しの硬貨と木刀のような棒だったらしいが、近年はしっかりとした剣に変わっているそうだ。彼の剣がそうなら、私の剣と違って、ゴブリンたちをきちんと倒すことができるだろう。


「……では、その作戦で行こう」

「わかった。でも姉ちゃん……気をつけてね」


酒場で出会った時はただ性欲に正直なだけの少年かと思っていたが、さすがは勇者だ。獄中とはいえお互い全裸のこの状況に発情するでもなく、真面目に作戦に取り組もうとしているその姿を見て、少し見直した。作戦の確認が終わると、私は牢の入口からできるだけ離れ、エドラは入口付近の岩に身体を預けるように狸寝入りをする。


「あ、あぁ〜ん。ゴブリンのお、おち……おちんちんが欲しいなぁ!」


作戦のためとはいえ死ぬほど恥ずかしい。自分なりに精一杯、色気のある声を出そうと試みたがここに「きようさ」のステータスは作用しなかったようだ。視界の端でエドラが震えている。無事に助かったら覚えていろよ。

格子の向こうには見張り役のゴブリンが2体、怪訝な顔でこちらを見ている。


ーーサナさん、もうひと押しですよ。カラダでも訴えかけましょう!ーー


ロエスの声が頭に響く。女神の間での冷静さや優しさはどこへやら。むしろ便乗して彼女も楽しんでいるのではないかと思ったが、他に方法がないので仕方ない。ゴブリンの劣情を煽るべく、私は自身の股間に手を伸ばしてゆっくりと秘所を撫でつつ、もう片方の手で乳房を揉みしだく。


「……っ!! ……んッ!!」

「ギヒヒッ! オマエ ナニシテル?」

「オレタチノ タネガ ホシイノカ?」


2体のゴブリンは下卑た笑いを隠そうともせず、牢の鍵を開けて中に入ってきた。私は2体が十分に近づいてきたところで、エドラに目で合図を送る。エドラは目線を合わせたあと、音を立てないように地下牢を脱出した。あとは彼が自分の装備を回収してここに戻ってくるまでの時間稼ぎができれば良い。私は目の前にいるゴブリンたちに向き合う。


「ギヒヒッ! オマエ オレタチノタネ ウケトレ!」

「オレタチ オマエノカラダデ キモチヨクナル!!」


2体のゴブリンは私を組み敷こうと迫りくる。先ほどゴブリンたちにされた行為を思い出し、下腹部の異物感と違和感が蘇る。出来ることなら2度目は避けたいところだ。


「まっまずは……よく、触らせてくれないか!?」


私はゴブリンたちの性器を触るべく、手を伸ばす。2体のゴブリンは私の意図を察し、性器を触らせてくれる。


「ギヒヒッ! オマエ、オレタチノ コレ スキダナ!」

「イイゾ! モット オレタチノ タネ ホシガレッ!!」


私は両手でそれぞれの性器を扱き始める。ゴブリンたちの性器は、私の手のひらに収まりきらないほどの大きさで、ゴツゴツした表面や浮き出た血管が、この生物の生殖能力の高さを窺わせる。


「ギヒヒッ! オマエノ テ キモチイイ!」


ここは「きようさ」に助けられているのか、2体のゴブリンは私の手淫に興奮しているようだ。性器の先端から先走り汁が溢れてくる。私はそれを潤滑油に、さらに激しく手を動かす。


「ギヒヒッ! オレタチ、モウ イク!」

「オマエノ テ キモチイイッ!!」


2体のゴブリンはほぼ同時に射精した。私の手に生暖かい精液が吐き出される。


「ギヒヒィ! ハァ……ハァ……」


2体のゴブリンは満足そうな顔をしている。ちょうどその時だった。


「姉ちゃん! 大丈夫!?」

「グギィ!? オマエ ナゼ ソトカラ!?」


装備を一式取り戻したエドラがこちらに戻ってきてくれた。不意をつかれたゴブリンたちは抵抗する間もなくエドラに討ち倒される。


「エドラ、ありがとう」

「ううん。それより、オレが遅かったせいで姉ちゃんまた汚れちゃったね……ごめんね」


そう言ってエドラは私の手についたゴブリンの精液を手で拭ってくれた。


「これくらい大丈夫だ。おかげでゴブリンたちを油断させることができたのだから……」


その後私はエドラが回収してきてくれた自分の装備を身に着けて、2人で地下牢を脱出した。きた道を戻って私たちは先ほどの高台がある広間に到着する。出口までの通過点なのでいずれにせよ通る必要があるが、ここでゴブリンクイーンを打ち倒せると魔王討伐が一歩近づくとエドラに聞いた。なんでも、魔王城の四方を囲む拠点のボスを倒すことで、魔王城を守る結界が解けるそうなのだ。東方を守るのがここのボス、ゴブリンクイーンだと言うのだ。


「多分、アイツはまだ姉ちゃんがここに忍び込んでることを知らないと思うから……今度はオレが囮になって気を引くね。はい、この剣ならアイツも斬れるはずだよ」

「ほ、本当にこの作戦で大丈夫なのか? 無理はするなよ?」

「大丈夫! じゃ、行ってくるね」


そう言ってエドラはゴブリンクイーンに向かっていった。私は隙を見つけるべく、物陰に隠れながら彼の戦いを見守ることにする。


「キヒヒッ! オマエ、またヤられにきたのか?」

「今度は負けないぜ! くらえ!」


エドラは剣を振り下ろす。しかし、ゴブリンクイーンは素早い身のこなしでそれを躱した。その後も果敢に攻撃を繰り出すが、一向に当たる気配はない。


「どうした? そんな攻撃じゃわらわには当たらないぞ?」

「クソッ! なんでだ……!?」

「キヒヒッ!」


ゴブリンクイーンはエドラの剣を弾き飛ばし、彼にのしかかった。そのまま馬乗りになり、彼の股間を弄り始める。


「くっ!! やめっ!!」

「キヒヒッ! 2度目の子作りでもするか?」


ゴブリンクイーンは手慣れた手つきでエドラの性器を刺激する。エドラは必死に抵抗するが、性器を弄られれば身体は正直に反応してしまう。


「や、やめろ! お前なんかに……あっ!」

「キヒヒッ! もうこんなになっておるぞ?」


ゴブリンクイーンは手で彼の性器を上下に扱く。エドラも必死で抵抗しているが、それも徐々に弱まっていく。そしてついにゴブリンクイーンの手が射精したそうに震えているエドラの性器に触れたときだった。


「もう今しかない!! 光よ!!」

「ナイスだ、エドラ!」


エドラが光を放つ魔法を使うと同時に私は岩陰から飛び出す。エドラ自身は近接戦闘に比べて魔法が苦手だと言っていたが、目の前の敵の目眩しには充分な魔法だった。


「キヒィ!? 何だっ、だれだ!?」

「エドラと私が受けた辱め……これで返させてもらおう」


エドラに借りた鋼の剣で、ゴブリンクイーンを袈裟斬りにする。


「グギャァア!!」


ゴブリンクイーンは断末魔の悲鳴を上げて倒れた。


「やった! 姉ちゃん、やったよ!」

「やったな、エドラ! ……君のおかげだ」


私は喜びのあまり抱きついてきたエドラを抱擁し、頭を優しく撫でる。私たちはしばらく抱き合いながらお互いの健闘を称え合った。


「……そうだ! 姉ちゃん、1つだけお願いがあるんだけど……」


エドラは少し恥ずかしそうにもじもじしながら言う。


「何だ? 言ってみろ」

「あの……オレのコレ、……姉ちゃんになんとかしてほしいんだ」


エドラは顔を赤らめて言う。彼の股間はゴブリンクイーンによる刺激が残っているのか、いまだ大きく膨らんでいた。彼がゴブリンクイーンからの陵辱をどのように捉えているのかはわからないが、私自身はゴブリンたちから受けた辱めはすぐにでも忘れたいと思うし、おそらく彼も忘れるなり上書きするなりしたいのだろう。


ーーキャー! サナさん! ついにショt……勇者さまとーー


「……分かった。今回は特別だぞ?」


ーーえぇ〜っ!? どうしちゃったんですかサナさん!?ーー


私は頭に響くロエスの声を振り払いながらエドラを岩陰に連れて行き、彼の性器を露出させる。そして、手で優しく扱いたあと、口に咥えて舐め始めた。


「あぁ……! 姉ちゃんの口の中、あったかい……」


エドラは気持ち良さそうに声を漏らす。やがて彼の性器が口の中で大きさと硬さを増してくる。私は頭を前後に動かして刺激を与えつつ、舌で先端を刺激する。エドラも気持ちいいのか私の頭を掴み、腰を振ってくる。私は口内で暴れる異物に耐えながら口淫を続けた。


「あっ! もう出る……ッ!!」


エドラの腰がひときわ大きく震える。私の口内に大量の精液が吐き出された。私はそれを全て受け止め、少しずつ飲み下す。


「うぇっ、ゲホッ! エドラ、射精のときは一言声をかけろ……」

「ごめん姉ちゃん。でも、ありがとう」


私は少し咽せながらもなんとか全てを飲み込んだ。エドラは申し訳なさそうに謝りながらも、どこか嬉しそうだ。私は口内に残る苦味以上にエドラの表情に心を打たれ、もう一度彼の頭を撫でてやった。


「さて、早くシガヒの町に戻るとしよう」

「うん!オレももうクタクタだよ」


私とエドラは身なりを整え、出口に向かって歩を進めた。



【今回のステータス変動】

・サナ

レベル:21 HP:15 MP:0 ちから:16→30 まもり:15→17

はやさ:20→30 きようさ:20→30 みりょく:28→30

※最後にエドラから受けた精液(5mL)は「ちから」に4ポイント、「まもり」に1ポイント振り分けた。


・エドラ

レベル:10→15 HP:12→16 MP:8→10 ちから:12→18 まもり:10→12

はやさ:12→16 きようさ:8→10 みりょく:8→10


ーー魔王はおそらく、全項目100程度はあるでしょうね。まだまだこれからですよーー

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