歪なものほど、さらに自らが歪にしたものほど愛おしく大切に感じる。

 しかし偶に私は忘れてしまう——人間は"もの"では無いということを。そしてそれを忘れたまま思考をくるくると回していくものだから、自身が傷付けば傷付くほど、心が歪めば歪むほど自分を愛せると、勘違いしたまま進んでいくことになる。

 そうしてある時、ふと鏡が目に入り、改めてぐずぐずに、一部は溶け落ち、一部は錆び剥がれた自分自身を視認することになる。そこへ着いて、やっと、涙を溢し顔を覆って膝をつく——“後悔“するのだ。

 不細工に接合され、荒く膨れた心に棒が二本、脚という名でくっ付いて。ガラガラと音を立てて歩く。

 いつかは滑らかで白い陶器のような心になってみたいものだ。きっと釉薬をかけて焼けば、多少の粗は見えなくなるだろう。過去に陶工がそうしたように。雪がスラムを覆ってしまうように。

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