残穢と思わしき

 新薬が強過ぎたせいだろうか、今日はいつまで経っても目が覚めず、鈍色の明晰夢のような一日を過ごした。

 べったりと呪いでも張り付いたかのように身体が重たい。唇と喉が異様に乾く。手の先が時計回りに勝手に回る。五感が二つずつくらいしか機能しない。ランプがやけに明るい。

 普通に歩いているはずだが、他人からはゾンビのようにみえただろう。脚、特にヒザが思った軌道を描かず、オノマトペをつけるなら、のしのし、カクカクといったところだろうか。きっと酷い。


 良薬口に苦しというけれど、苦味が後からくるとは思わなんだ。ふう、また薬をどうにかしなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る