若人と隔靴掻痒
今日は喫茶店で八百円のアイスコーヒーを頼んだが、都合上十分ほどしかいられなかった。もったいない、と後輩に笑われてしまった。
自分より若い者に物事の芯を伝えるのは難しい。
やれ「自分に投資を」だの「若いうちに多くの挑戦を」だの若人向けの自己啓発本に書いてあるが、何が「自分への投資」や「挑戦」に当たるのかを説明してくれるものは少ない。
そしてついに先日、私はこの芯なるものを問われることになり、答えを練っていく必要があった。
自分への投資とは。
多くは、切り札や後ろ盾となるようなもの(資格取得など)へお金をかけることかと思われがちだが、勉強自体にお金のかかるようなものは、所詮はボンボンのお遊びとして遇らわれるのが運命だろう。また美容、つまり外側をこねくりまわすのも長く身になるものではなさそうだ。人は、老いるからして。
もう意識が数歩先に置かれつつあるため、挑戦うんぬんに関しては書けそうにない、投資にだけ文を投げておこう。
自分への投資とは、読書時間を確保するために金を使うことである。
人生において、穏やかに暮らすためには、阿保でないことが大切である。実際に阿保かそうでないかは深く関係を持つことでしかわからない。
日々における関係の構築は、トランプのゲームのように駆け引きや予測を楽しむことに似ている——つまり、相手とゲームをする(ここでは「話す」と言い換えた方がいいだろう)上で大事なのは、予測に伴って出し得る手札ではないか。この手札は経験や伝聞によって増えていくが、ともかく早いのが読書である。
映画などもいいが、広辞苑が映画化されていないのを見るに、本の方が手札を得るには向いていそうだ。
明日は何の映画を見ようか。prime Videoで「talk to me 」のレンタルが始まっていた気がする。ホラー好きの私としてはぜひ見てみたい。読みかけの本は明日、いや明後日にでも読むとしよう。
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