第10話

母親のスマートフォンを放り投げ、夏香は床に寝転んだ。


まるで、視聴覚室にいた時みたいに。


「ねえ、……ランファンって知ってる?」

「あんたが言ったんでしょ、あたしは知らない!」


…………


「ねえあなた、このままでは家族四人、共倒れですよ……」


「そうだろうなあ、でも、仕方がない……」


「ねえ、ここは思いきって、子供を……手放してみたらどう?子供たちの運命は、……天の、神様に!神様に任せてさ」


「なんだって!」


夏香はそのセリフを何回も唱えた。自分の魔女が消えちゃうくらい。


自分の愚かさなんて忘れられるくらい。

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