第11話

「ねえ」


夏香は夏の朝、紬を学校裏へと誘った。


「なに、なんかあった?」


紬は連れてこられるや否や、すぐに花壇をいじり始め、紬がモテない理由が伺える。


「ヘンゼルとグレーテル、さ。教えてよ」


詰まりながらそういう夏家に、紬は顔を顰めた。


「やだ。だってお前、絶対できねえもん。俺さ、お前の演技ずっと聞いてると、頭痛くなってくる」


そこで夏香は、録音ボタンを押した。


「なんて?聞こえない」


「だーかーら。いやだ!

お前、全部棒読みでさ。役に入りきるというよりも全部お前じゃん。


魔女じゃない、ただのお前。


なんか、普通に聞いてると体調悪くなるから。もうやめたら?


集会委員会でも演技やろうとしてるみたいだけど、まじで誰も興味無いからな」


ピコン。

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