第5話
次は視聴覚室だった。
「視聴覚室もさ、図工で作ったものの展示とかにしか、使われてないよね」
夏香が視聴覚室の扉を開く。その奥には、カラフルなライトばかり。
「これ、何?」
「二年生でしょ。ペットボトルにカラーテープ貼って、ライト当てるやつ」
覚えてないの?と夏香は作品をひとつ、手に取った。
「こんなゴミみたいなの、作って何が楽しいんだか」
紬は、夏香の真似をするみたいに、ペットボトルをつまみ上げてそう笑う。
「あんただって楽しんでたくせに。カラーテープ重ねすぎて、色が真っ黒になって拗ねてたでしょ」
視聴覚室にも同じように小さなステージが設置されている。
でも、いつもは暗幕がかかっていて誰も使わない。
「とにかく、さ。こういう静かなところを探し続けてたら見つかるよ」
紬は暗幕を開き、また同じようにステージに立った。
夏香は今度はステージに上がらず、紬と向き合うように立ち尽くしている。
「……なに?」
痺れを切らした紬が、ステージから降りようとする。
「待って。……この前の劇、やってよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます