第4話

「先生にバレたらやばいから、静かにね!」


夏香もなんだかんだ乗り気で、サッと階段の陰に隠れて近づく足音を聞き続けた。


「ランファン探しに必要なのは、友達と校舎だろ」


紬達はまず、特別活動室に向かった。


「絶対にここは使われてない。こんなところ、劇の練習にしか使ったことないんだから」


特別活動室は、演劇の授業だけに使用されている。少し広くて、小さなステージがある。


体育館の下位互換みたいな、そんな教室。


夏香は電気をつけようとスイッチへ向かおうとしたが、紬はそれを引き止めた。


「ランファン探しに、光は必要ない」


「ふふ、かっこいいね。ランファン探し、ね」


二人でステージに上がると、奥の壁を見つめた。


「……」

「……」


「ここであってる?」


夏香が沈黙を破り、壁を見つめたまま言う。


「……いや、多分。なんか違う」

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