第2話

音楽室からは「ありがとうの花」を歌う声が漏れだして、五年二組の教室までは余裕で届く。


つむぐ夏香なつかは、音楽室の扉の前で立ち尽くしていた。


「つむぐ、もうあたし、嫌」


夏香なつかはもう飽きたのか、扉を開けようと少し押してみる。


「なら帰れば、教室。そもそも、俺らが悪いんだろ。宿題を放って遊ぶから」


「だからって。音楽に図工、理科だって。みんなが楽しくしてる間にあたし達だけ宿題なんて……」


「教室、ジメジメしてるし、暗いし。俺は嫌い」


紬は音楽室の扉の鍵をカチャカチャと鳴らして、教室へ向かった。


夏香もそれに連れていかれるように、後について行く。


「宿題が終わればすぐに授業受けられるよね。あたしが算数やるからさ、国語やってよ」


紬の算数ドリルを手に取って、自分の国語の問題集を差し出した。


「ナイス。協力してやるのが一番早いから」


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