戦場と補聴器と俺と女歌手…
戦場は、敵との交戦をひたすら待ち、その時がきたら殺し合うというそんなイメージがあると思う。だが、現実は、そうじゃない。
ナチスと自衛隊、アメリカ軍この三者は、地下壕に潜って安全な基地からミサイルをひたすらに撃ち合っている。たまに地上に出て少数の兵士らが斥候へと向かうが、ナチスの音速ミサイルが飛んできたらまず、死んだと思った方が良い。俺はその斥候でたまたまミサイルが近くに着弾。結局仲間の兵士は全員死んで俺だけ運良く、たこ壺の中にいたから、無事だった。けどよぉ~難聴になっちまったんだ
除隊願いも届け出ようと思ったが、俺には自衛隊以外帰る場所がねぇ~と悟ってやめたよ
結局俺はユーラシア大陸の地下基地から、日本の沖縄の基地に移動になった。純日本製の補聴器を付けて訓練や車両の整備など基地内の雑用を毎日こなしてく。難聴になってもメイドインジャパンの補聴器のおかげで、会話に支障はない。ただ日に一度は充電が必要で、必ず休憩の時間にすると決めていた。
そん時は、コミック雑誌を読むか、部屋にずっといた。同じ部屋に住む、同期のジムが慌てた様子で部屋にきたのは、補聴器の充電が三メモリ中、間の二メモリの時だった。何事かと、それを両耳に装着しジムの話を聞く。
「大変だぜユタカ…」
「なんだよ?随分と慌てて…」
「俺らがアイドルのシャンソンがめちゃ上手え~歌姫のさなみが来るんだ。日系アメリカ人の…」
さなみという名はどこかで、聞いた気がした
確か上官の部屋に招かれた際にレコードが、かかっていて、上官に「誰の歌ですか?」
と隣にいた隊員が聞くと、上官は、さなみと答えていた。
俺は、焦るジムを軽く流す…
「ふ~ん慰問ってわけか~。別に触らせてくれるわけじゃねぇ~しな…」
「オイ!お前、彼女の素晴らしい歌声を知らねぇなぁ?もぅべらぼうにスウィーティーで、んで、」
「ジム、お前のお墨付きは、信用出来んよ。」
「さっさとくたばっちぃめぇ!このモンキー!」
温厚な黒人のジムがキレるとは、珍しい…
俺は、奴のご機嫌をとるため、そのさなみとかいう歌手の慰問コンサートの日付を聞いた。
「分かった。来週の土曜なぁ…付いてってやる…」
「フ~」ジムは部屋の戸口に片手をついて深呼吸した。
「2度とさなみを馬鹿にするなぁ…無視もいけねぇ~」
豊はその後、彼女を無視など出来なくなるのだが…
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