教育における能力主義
生きていれば何かしら勝ち負けは存在する。
しかし、すべては物質的なものからしか測れないと私は思う。
例えば、筋肉であったり、学業の結果であったり、入っている会社名であったりであったり、容姿であったりする。
概念的なもので負けた!と思うことはないのではないだろうか。
数値化して、比較できるように可視化した時、初めてそれが姿をもって浮かび上がるのではないだろうか。つまり可視化できないものについては、そもそも図るに値しないというかわからないという結論になるのではないだろうか。
私の高校はそれが顕著であり、ランキング表や順位が常に張り出されていた。
大学に入ると、いかに環境がいびつだったのかを思い知らされたのと同時に、自己と言うものを指し示すものが何なのかにぶち当たった。
今考えると周りがすごい人が多かったからかもしれない。
全国一位の人いる前で私も得意ですと言ってよいのか?と言う疑問に対して教師側が誰も「そのままのあなたが素敵だよ」と言ってくれる人はいなかったからだ。
これは、偏差値至上主義の悪い教育の見本例ともいえるのではないだろうか。
成績が良くて勿論性格も良い人もいれば悪い人もいる。その逆もまたいえる。
しかし、評価基準がそれしかないのなら、成績が良いならすべてオッケーとなってしまう。古い体制だと批判を受けるかもしれないが、実際まだ続いていることは確かである。
やはり、高校の時の友達と大学の時の友達では、なんというか「できる」ということに対するハードルが違うように思える。つまり、できていても「はい、私ならできます、任せてください!」と言うように言う人の割合は低いような気がする。
なぜなら、教師が出来ない人をあまりにもけなしたが故に「私のレベルでできると言っていいのだろうか、それとも何か言われるのか」と思うことである。
私は自分が何もないかもなあと思っていたが、よくよく考えると結構よいことを経験させてもらっている。
演劇の大会にも出た、陸上の大会にも出て賞をもらった、エレクトーンで予選通過した、全国クイズ大会で近畿で55位という微妙だが、悪くない順位をもらった。海外にも10か国は行かせてもらった。体操の大会で3位になった。勉強もそこそこ得意だ。フランス語検定も中国語検定も取った。大学も別に悪くない。
なんというか、一位しか認められずその過程を無視する教育のために自分の個性がただ、性格の偏屈さぐらいか?というようなイメージになり、何もできないように感じていたような気がする。
これを含めて私であったのであり、その一つ一つの個性は勿論一点に絞れば、負けたというのかもしれないが、この点が線になれば、誰にもまねできない唯一無二のものである。
好きなものもすっかり忘れている。私は、本を読んで想像するのが好きだし、知らないものを知るのが好きで色々アイデアを出すのが得意だ。言語を聞くのが好きで心地よい耳障りの良い声で話されるのが好きだ。魔女物が好きで、自然医学も自分の体のことから沢山学んだ。哲学も好きだが、翻訳してただそれを述べるのは面白いと思わない。研究的に考えるのが好きで考察をたくさん書いたりするのが好きだ。綺麗なものが好きで水や透明感や揺らぎがあるところが好きだ。空港で飛行機を眺めるのも好きでわくわくする。クイズで培った雑学を実践に活かすのも好きである。アートの背景を考えるのが好きだが、絵などの平面のものが好きで、物質でできたアートは苦手だ。日本画は素敵だと思うが、西洋画の方がより好きだ。植物も好きでハーブを家で育てている。音楽は、パイプオルガンが好きでエレクトーンでその曲を自分で演奏する。私の先生はピアノ科出身だったからクラシックばかり教えていただいたが、本当はノリだけで終わらせる曲も好きだ。
ヴァイオリンも歌も苦しい中出している高い音が好きで、逆にスピーカーのように音がはっきりしない声はすごく苦手である。耳だけはよくて遠くの音まで聞こえるので、普段は耳栓をしないと煩い。だから音にはこだわりがある。後音痴だったのだが、歌のレッスンも受けさせられ(笑)、出し方を知った。
美味しいご飯が好きで、色々な店でご飯を食べた。それでバイト代を使い果たしたほどである。
しかし、それらを全て忘れて、このように思うのはだめな思考だと思うくらい、教育と言うものは私を歪ませてしまったのである。
精神的に病むくらいには。
それくらい、この時代の経験は自己に影響を与えると思う。
だからこそ、私は教育をフーコーの言うパノプティコン的なものに陥らないように改革を進めていく必要があり、そもそも岸田政権は教育費にもっと税金を回してほしい。労働時間の改善より、教師の賃金を上げることから初めて欲しい。そしてから初めて改革であると思うのだが、間違っているだろうか。
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