全ては第一声に答えがある
私の母は心理学者をしている。勿論それによって、人に対する免疫はついたが、悲しいこともある。
つくろっている人が誰よりも明確にわかり切ってしまうということである。
私自身、嘘が嫌いなのも相まって、少しでもその匂いがしたら近づくのをためらってしまう。特に自分自身に嘘をついている人は苦手意識を感じて距離を取る。
それは周りから非常に評判が良い人でも、優れていると言われる人であってもその表皮の裏に隠された本当の意思の方をトレースしてしまい、落ち込んでしまったり、人が怖くなったりする。
面白い実験がある。
実験対象は誰でも良い。親でも恋人でも友達でも。
その人が楽しみしていることを、「体調悪くなったからいけない」
と断ってみよう。
この時文字ではだめだ。文字は自分がゆっくりと考える時間が存在するためである。
対面でその人と会った時にこの実験をするのがみそである。
咄嗟の時の表情とまず、初めに何を言うかがその人の本質を表す。
もしそれを話したとき、相手の方を見るとおそらくその人は驚いた表情をするだろう。それか少し顔がゆがむかもしれない。
そして二つの感情が混ざり合うだろう。私は行きたいのに、でも相手は具合が悪いと言っている。そのとき
「えーー、私行きたかったのに。え、でも大丈夫?」
というiが主語の自分発信のメッセージが先に来る人は、自己本位な人である。
どれだけ、普段相手のことを考えているように思えても、最後はきっと自分と言う我が抑えられず、そちらの意思が勝つということである。
そのあとどれだけ心配して世話したとしても本質そのものは咄嗟の時にしかわからない。そのとき人はどう対応するかに全て現れる。
逆にあなたを心配する言葉が初めにかけられる人は、信じても良い人だ。
「大丈夫?キャンセルしとくね。行きたかったから残念だけど」
どれだけそのあとあなたを責め立てたとしても(このような人がすることはほぼないだろうが)、本質そのものは変わらない。きっと、どんな辛い状況でも自分ではなくあなたを優先してくれるだろう。
母から常々言われたのは咄嗟の時に人は自身の本性を出す。ということである。
私は、どれだけ良い人を繕っていたとしても、嘘のにおいはすごく敏感というのは、この様な教えを享受していたからである。
もう時効だから話すが、私の友達にはもちろん嘘くさい人はいないが(昔はいたがそれはすべて切った)誰かの彼女や友達の彼氏などそういう類の人ではこのような人と仲良くする機会がある。
表面上素敵なように見えるので「素敵な人だね。良い人だね」とホワイライを並べることは可能だが、ああ、この人自分がどう良い人に可愛く見えるかしか考えていないんだなとか、本当は自分のことのみを考えて相手の視点ないなとかを思って気持ち悪くなってしまう事が多々ある。
そして何より相手は気が付いていないことが大概なのでいつも考えあぐねてその言葉は飲み込んでしまい、自分のストレスになる。
私はよく人の良いところに気が付く。しかし人の良いところに気が付くということは悪いところにも気が付くということでもある。
ただ、今までは見えるのにどうしたら良いか今までわからなかった。
そんなに人に良く見せたいのか。自分のことばかりでしょうもない人と思うだけだった。
しかし、今ならどうすればそのような人にならなくて済むのかが分かる。
もし自分自身がそのような人ならどうすれば変わることが出来るのか。
気が付いたのは相手がどうしたら心地よく過ごせるかに着目することである。どう自分を可愛くかっこよく見せるかも勿論初対面では大切だが、それは長続きはしない。いつかはその人は自分が一番だという事実に気が付き嫌になり、離れたくなる。
友達はいないが彼氏/彼女はいるはこのパターンであると私は思う。
長い間人と付き合うことが困難になるのだ。
しかし、自己本位な人は、搾取するのが上手である。
私はそのような人間が苦手だが、今の社会においてそのような搾取される人が苦しみ、搾取する人が言ったものがちみたいな風潮になっている。
搾取する人はそのにおいに敏感なので、搾取できそうな人を選び、くっつく。
そんなことがまかり通る世界は残酷すぎやしないだろうか。
しかし、ある程度自己本位でいたほうが、幸せになるのかもしれない。
それでも、私はそういう人にはなりたくないし、周りにもそういう人はいて欲しくない。
それだけなのかもしれない。
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