第2話 不気味な前兆

「さて、皆さん。今回は、村上一郎が桜庭館の茶会で体験した恐ろしい出来事の続きをお話ししましょう。前回、一郎は古い掛け軸に血のようなシミを発見し、不吉な予感を抱えながらも茶会の準備を進めるしかありませんでした。では、その後に起こる不気味な前兆についてご案内しましょう。」


茶会が始まると、一郎と桜庭仁一は静かに座り、茶を点てる準備をしました。静寂の中で、茶碗に湯を注ぐ音が「シュー」と響き、茶室には独特の緊張感が漂いました。窓の外には、風が竹林を揺らす「サワサワ」という音が聞こえてきました。


しかし、その静寂を破るように、突然「カタン」と何かが倒れる音がしました。一郎は驚いて音の方向を見ましたが、何も異常は見当たりませんでした。仁一もその音に気づいたようで、微かに眉をひそめましたが、何事もなかったかのように茶会を続けました。


「一郎さん、その時、どのように感じましたか?」


「音がした瞬間、背筋がゾクゾクっとしました。まるで、何か見えない力が働いているかのような感覚でした。」


茶会が進む中、一郎は何度も視線を感じるようになりました。ふと目を上げると、茶室の障子越しに人影が見えました。「サッ」と一瞬で消えたその影に、一郎は心臓がドクンと大きく跳ね上がりました。


「その影を見た瞬間、全身が凍りついたような気持ちでした。誰かがそこに立っていたことは確かですが、次の瞬間には消えていました。」


次に、一郎が茶道具を手に取ろうとした時、急に手が冷たくなり始めました。「ひやり」とした感触が手に伝わり、まるで冷気が体の中に入り込んでくるようでした。その冷たさは次第に体全体に広がり、一郎は思わず体を震わせました。


「その時、何かが私を見ている、そんな感覚がました。それは、人間ではない何か、とても強い存在感を持ったものが、すぐ近くにいるように感じました。」


桜庭仁一は、一郎の異変に気づいたようでした。彼の顔には、一瞬だけ不安の影がよぎりましたが、すぐに冷静さを取り戻しました。


「村上さん、大丈夫ですか?何か気になることでも?」と、仁一は穏やかに声をかけました。


「いえ、少し寒気がしただけです。」と、一郎は答えましたが、その言葉の裏には明らかな恐怖が隠れていました。


茶会の終盤、一郎が最後のお茶を点てるために立ち上がった時、突然障子が「バタン」と開きました。一郎は驚いて後ずさりしましたが、誰もいないことを確認してから、恐る恐る障子を閉めました。


「その瞬間、心臓が飛び出しそうでした。何も見えないのに、確かに何かが障子を開けたのです。」


こうして、一郎は不気味な前兆に翻弄されながらも、何とか茶会を終えることができました。しかし、この夜の恐怖はこれで終わりではありませんでした。次回は、一郎が桜庭館でさらに恐ろしい体験をするシーンをご紹介しましょう。それでは、またお会いしましょう。

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