33.里の子供達と最初の情報

 と、色々心配していたけれど、俺の周りはいつも通りの1日が過ぎていき。ミルバーンが出ていったのと、シャイン達が何処かへ行った時はバタバタしていたけれど。それから少し経てば、レイナさんの鼻歌と、まったりの時間が過ぎていった。


 ただ、まったりしているのは俺だけで、他のみんなは今頃、忙しく動きているかもしれない。それだけミルバーンを呼びに来たエリノアさんの声な緊張していたし。シャイン達もちょっと慌てていたからな。


 動けない俺、そしてシャイン達がいないおかげで、レイナさんとも話しができなくて、全然情報が得られない。一体何が起きたのか。


 なんて考えていたら、お昼頃になってある人達が俺の家にやって来た。人達っていうか、たくさんのエルフの子供達が来たんだよ。


「レイナさん、こんにちは!!」


「「「こんにちは!!」」」


「はい、こんにちは」


「お母さん達が順番を決めたんだけど、レイナさんは赤ちゃんで忙しいから、順番には入れないって。それから時々ご飯を届けに来ますって」


「そう、ありがとう。お母さんに分かりましたって伝えてくれるかしら」


「はい!!」


「ねぇねぇ、レイナさん。赤ちゃんはぁ?」


「さっきお昼寝から起きて、今は向こうの部屋でゴロゴロしているわ」


「僕達会っても良いですか?」


「ええ、良いわよ。でもまだ生まれたばかりの赤ちゃんで、とっても弱い存在だから、触るのは私が良いって言った時だけにしてね。少しのことでもすぐに怪我をしてしまうの」


「赤ちゃん、弱い?」


「もう少し体がしっかりしてくれば、まだ大丈夫なのだけれど、今はね。さぁ、じゃあ赤ちゃんに会う前に、みんな手を洗って」


 バタバタと台所へ行く音がして、それからキャッキャと騒ぐ声と水の音が。たぶん手を洗っているんだろう。エルフの子供達か。ここへ来て移動した時に、少しだけ子供を見たっけ。

 その後は外にもあんまり出ていないし、出たとしても周りにエルフはいなかったしな。隣の家まで離れているから、余計見かけなかったのかもしれないけど。


 と、水の音が止まって、こちらへ歩いてくる音が。ちょっとドキドキして待つ俺。今俺はソファーじゃなくて、床の上でゴロゴロしていた。レイナさんがずっと籠の中じゃ窮屈でしょうって。


 そうして何とか目でドアの所を見ていると、レイナさんの後に、人影が5人分見えて。とっても小さい子から、そこそこ大きい子までが部屋の中に入って来た。5歳くらいから10歳くらいだろうか。

 

 レイナさんは俺を抱き上げると、みんなが見えやすいようにその場に座る。


「さぁ、みんなも座って」


「「「は~い!!」」」


 みんなが俺を囲んで座り、俺をじっと見てくる。


「みんな座ったわね。この子がティニーよ。とっても小さいでしょう?」


「赤ちゃん!! 可愛い!!」


「本当に小さいねぇ」


「ぼくよりちいさい」


「当たり前だよ、赤ちゃんだもん」


「全部が小さいねぇ」


 俺を見て、それぞれ感想を言うみんな。最初の子、君は分かってるね。うん、俺可愛いだろう? なんてな。良いじゃないか、可愛いって言われて喜んだって。地球じゃこんなモテ期はなかったんだよ。今は俺に会う人のほとんどが可愛いって言ってくれるんだから。


「レイナさん、触ってもいい?」


「良いわよ。でも本当にそっとよ。頭をそっと撫でてあげて。それから手なら、ちょんと触っても良いわ」


 最初に話した子から順番に俺の頭を撫でていく。そして1番最後に、1番小さい子が撫でてきたんだけど。その子は1番大きな子が一緒に撫でてくれた。どうやら兄弟のようで、お兄ちゃんはしっかりと弟の世話をしていたよ。


 頭を撫でるのが終わると。次はみんなで手を触ってきて。俺はサービスをすることに。みんな人差し指で、そっとツンとしてきたんだけど。みんなの指を握ってあげたんだ。赤ちゃんの体だから、力の加減が難しくて、でも握り過ぎないように何とか握ったよ。


 そうしたらこれが大好評で、かなりみんな喜んでくれた。大騒ぎするほどに。それでもう1回だけ手を触りたいと。あんまり喜んでくれたからか、レイナさんが後1回だけよと言って。

 だから俺ももう1回握ってあげて、それだけで俺は体力の半分以上使ってしまった。まぁ、みんなが喜んでくれたから良いけど。


 そんなことをしていると、外から声が。みんなを迎えにきたんだ。


「ほら、いつまでお邪魔しているの? 帰るわよ。今お母さん達忙しいんだから」


「「「は~い!!」」」


 みんなが俺にバイバイをして部屋から出て行った。そして聞こえてきた声は。。


「レイナはこのままティニーの世話を」


「ありがとう。でも、もしもの時は頼むわね。私も出ないといけなくなるかもしれないから」


「そうならないのが1番良いんだけどねぇ。久しぶりだねぇ、こんな騒ぎは。それに奴らも久しぶりか」


「こんなに一気に来たのはね」


「それに今回は、他の魔物達も集まっているみたいだし」


「そうなのよね。いつもと違う行動をとっているから、それが少しね」


「まぁ、今回は戦力になるみんなが、里にいてくれて良かったよ。なにしろオークジェネラルだからね」


 は? 今なんて言った? オークジェネラルって言わなかったか?


「前みたいに、被害が大きくならないと良いけど」


「そうね」


「さぁ、準備に戻ろうかしら。もし出ることがあればティニーは任せて!」


 そこで会話が終わり、家の中は途端に静かになった。戻ってきたレイナさんは俺を抱き上げるとリビングの方へ。そしてミルクを用意してくれて、それをいつも通り俺に飲ませてくれたんだけど。


「これからの事が決まって、この子もここでの生活に慣れようとしているのに、どうして今なのかしら。別に今じゃなければ良いってことでもないけれど。オークジェネラルなんて面倒な。……本当、このまま何処かへ行ってくれないかしらね」

 

 やっぱりオークジェネラルって言ったよな? オークジェネラルってあの? 小説に出てくるとやつと同じやつか? え? それがどうしたって?

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