吉子ちゃんは祟り神か守護神か。(恩恵を受けるも災厄が降りかかるも信仰次第)

猫野 尻尾

第1話:浜辺での出会い。

お試し投稿〜♪


今年の夏もまた祟り神たたりがみを鎮魂する祭り荘司町御霊会しょうじちょうごりょうえが開催された。


祟り神って言うのは、荒御霊であり畏怖いふされ忌避きひされるものだけど手厚く祀り

あげることで強力な守護神となると信仰される神様なんだそうだ。


だから恩恵をうけるも災厄がふりかかるも信仰次第と言うことになる。

すなわち御霊信仰なんだって。

その性質から信仰は手厚く大きなものとなる傾向があるところから御霊会ごりょうえが開催

されるんだそうだ。


さてそんな荘司町御霊会しょうじちょうごりょうえの祀りごとに便乗して、神霊の国からひとりの祟り神が

やって来た。

その祟り神の名を「藤原 吉子ふじわら きちこ」って言う、年の頃なら15歳のそれは可愛い少女。


荘司町は海が近くにある町で、市が管理してるマリンパークって海水浴場がある。

久しぶりに荘司町に来た吉子きちこちゃん、海なんかに来るのは久しぶりだった。


だからちょっと海に入って、ちょっとだけ泳いで帰ろっかな〜なんて思っていた。


ところ変わって、こちらは地元の高校に通う、17歳の男子「菅原 道彦すがわら みちひこ


まあ、あまり御霊会ごりょうえに興味がない道彦は、キャンプに行く方が大事だった。

ぼっちキャンプが道彦の趣味、でもってバイクも道彦の趣味。

だからバイトを頑張って稼いだ金で、どこでも行けるハンターカブを買った。

こいつに荷物を積み込んでキャンプに行く・・・キャンプも楽しいバイクも楽しい。

それが道彦の至福の時間だった。


今回は道彦んちから近くの市が管理してるマリンパークって海水浴場にキャンプに

行くことにした。

そこは設備も行き届いていて水もトイレも自由に使ってよかった。

まあ、バイクも買ったばかりで慣らしが終わってないからって理由で長距離は

やめることにした。


で、午前中ハンターカブに荷物を積んで段取りつけて、昼いちでマリンパーク

に意気揚々と出かけて行った。

道彦の気分はウキウキだった・・・好きなことがふたつもあって。


マリンパークへ向かう途中手前で祭りの山車や行列とすれ違った。

たぶん行列はマリンパークにある神社にお参りに行ってたんだろうと道彦は思った。


北側に砂浜が見える海水浴場、小道を挟んで南側にキャンプ場がある。

今日は地方祭と言うこともあってキャンプに来てる人達も心なしか少ない気がした。


道彦は空いてる場所を探してそこに陣取ってタープを張ることにした。

今日は日帰り・・・寝泊りするわけじゃないのでテントは張らない。


道彦はタープを張る前に東棟の管理所にキャンプ料金を払うため、歩いて行く

途中ふと海の方を、海水浴場のほうを見た。


そしたら、今まさに砂浜から海の中に入って行こうとする人?・・・もしくは

女の子?の姿を発見した。


道彦はただならぬ気配をその子から感じた。

あれヤバくねえ?って思った。

道彦は海に入って行こうとしてる人物はたぶん入水自殺するつもりなんじゃ

ないかってすぐに思った。


だから管理所に行くのは後回しにして、すぐに女の子のところまで走った。

砂浜に足を取られながら、大声で叫んだ。


「お〜い・・・はやまるな〜」

「戻ってこ〜い・・・死んじゃだけだ〜」


海に泳ぎに入ろうとしていた吉子きちこちゃん・・・後ろから誰か叫んでるな〜と思って振り返ってみたら、ひとりの男子がこっちに向かって走って来ていた。


その男子は波打ち際まで来ると息も絶え絶えで、砂の上にヘタレこんだ。

それでも男子はまた叫んだ。


「そこのひと〜・・・はやまらないで、こっちへ戻ってきてください」


「はあ?・・・なに言ってるの?あの人」


その男子があまりに必死だから何事かと吉子ちゃんは砂浜まで戻ってきた。


「あなた、そんなに息切らしてなにしてるんですか?」


道彦のところまで来た女の子、道彦はその子を見て自分より歳下かと思った。

しかもなによりその子は可愛かった・・・めちゃ可愛かったのだ。

お決まりのように可愛いかった・・・定番だった。


そしてなぜか、その子からは神秘的なオーラが漂っているのを感じた。

霊感なんかない道彦にそんなもの見えるはずもないのに、その時はその子にまとう

綺麗なオーラが見えた。


「え〜自殺しようとしてるのかと思って俺、止めに来たんです」


「自殺?・・・なんで私が自殺なんか?」


「違うんですか?」


「違います・・・久しぶりの海だから泳ごうと思って・・・」


「水着も着てないのに?」


「別にいいでしょどんな格好で泳ごうと・・・」


「なんだよ・・・もう心配させないでくださいよ・・・まじ自殺かと思った

じゃないですか?」


「あなたが勝手に勘違いしただけでしょ」


「まあ・・・そうですね、すいません・・・俺の早とちりで・・・」


「私はね、今日の荘司町御霊会しょうじちょうごりょうえの祀りごとに便乗してここに来たんです」


「そうなんだ、なんだ祭見物の観光客か・・・しょうもな〜慌てて損した」


「ねえ、あなた名前なんて言うの?」


「俺は菅原 道彦すがわらみちひこ」です。


「そう・・・私は藤原 吉子ふじわら きちこ


「これも巡り合わせかもですね・・・出会いって言うか・・・そう思いません?」

「こんな場所でね」


そんな訳で道彦は、これも何かの縁と自分が陣取った場所に吉子ちゃんを

ご招待した。

「ちょうど遅めの昼飯だったんです」


で、スーパーで買ってきた食材をガスバーナーで沸かしたお湯の中で温めた。


「はい、レトルトカレーですけど・・・よかったらどうぞ、吉子きちこさん」


それが祟り神「藤原 吉子ふじわら きちこ」と人間の男子「管原 道夫すわわら みちひこ」との運命の出会いだった。


とりあえず、ほとぼりが冷めたら続き書きます。

似たキャラが出てきて申し訳ない、好きなもんで僕がこういうキャラが。(⌒-⌒; )


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吉子ちゃんは祟り神か守護神か。(恩恵を受けるも災厄が降りかかるも信仰次第) 猫野 尻尾 @amanotenshi

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