第2話
家に帰り着き、インターホンを鳴らすと、鍵の空く音がして、母親が出迎えてくれる。
「おかえり、悠」
「お母さん、ただいま。鞄おいたらひなこちゃんと優兄ちゃんの所に遊びに行ってくる」
そう言うと母は、
「あまり長谷部さんに迷惑かけちゃダメよ。暗くなる前には帰ってきなさいね。あと、貰い物のお菓子があるから長谷部さんに持っていきなさい」
と言った。
「はあい」
と、悠は間延びした声で返事をし、荷物を置き、お菓子を袋に入れて腕にかけて出かけていった。
優兄ちゃんの家へ着くと、既にひなちゃんが先に着いてテレビゲームを楽しんでいた。
「優兄ちゃん、不用心だよ。玄関の鍵開いてたよ」
そう言いながら家の中へ入ってきた悠は、玄関の鍵をかけ、靴を脱ぎ家へ上がる。
「お、サンキュ」
「あとこれ、お母さんが手土産だって」
そう言いながら悠は優兄ちゃんの手土産を渡す。
「そんなのいいのに、悪いな。おばさんにもありがとうって伝えてな」
「お母さん、パート中に僕が鍵を忘れて外に閉め出された時優兄ちゃんが面倒見てくれたこと、いっつも本当にありがたかったって言ってるから、優兄ちゃんに喜んでくれると嬉しいと思う」
優兄ちゃんは
「そっか、じゃあ、遠慮なく。みんなで食べよう」
と言いながらお菓子の袋を開ける。
それからしばらくお菓子をつまみつつ3人でテレビゲームを楽しんでいたが、ふいにひなちゃんが今日先生から聞いた奇妙な注意を話題に出した。
「優兄ちゃん、櫓形川って知ってる?」
「ああ、知ってるぜ。ここから少し先にある川だろ?バーベキュー場キャンプ場が併設されてる所」
その答えを聞いて、ひなこが続ける。 「じゃあ、その川、8月10日に行っちゃダメだって知ってた?」
「前にここらへんが地元の大学の友達から聞いたな。理由は忘れたけど。ひなこちゃんは何でか知ってるの?」
その言葉を受けて、ひなこは得意げに先ほど悠から聞いた話を披露した。
「ふーん。なんか慰霊祭とかやんのかな?それなら確かにその日は楽しむどころじゃないな。その日は川には行かないように気をつけるわ。ありがとうな」
それからしばらく3人でゲームをしているうちに日が暮れてきたため、2人はそれぞれ帰路についた。
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