第8話

「篤宏マジでどこ行ったんだろうな」

 優が独り言のようにつぶやく。

 あれから、3日経っても篤宏は戻ってこなかった。警察には篤宏の親が捜索願を出した。だが状況は芳しくないようだ。

 4人はゼミの教授に呼び出され、何か知っていることはないかと話をした。その後みんなでファミレスに集まっていた。

「俺、もう一回あの廃神社に行ってくるわ」

 何かを覚悟した顔で真壁が言う。

「絶対あの神社に何か手がかりがあると思うんだ。お前らがなんと言おうと俺は絶対にあの神社にお前らと篤宏と一緒に行った記憶がある」

 みんなが黙り込む。真壁にどんな言葉をかけるべきか迷っているようだった。樹がおもむろに口を開く。

「真壁が嘘ついてるとは言わないけどさ、正直、篤宏が一緒に行った記憶が無いんだよ」 

「俺も」

「俺も」

優と裕太も追随する。

「そもそもさ、あの神社を探すったってどこを探すんだ?なんか心当たりでもあんの?」

樹の言葉に真壁は応える。

「本殿だ。俺が篤宏を最後に見た場所。あの中に確かに篤宏は入っていった」

「わかった。俺も一緒行くわ。とりあえず一回家に帰って緊急用の道具の中から何か役に立ちそうな物取ってくるわ。2時間後くらいに集合しねぇ?」

「俺、今からバイトだから行けねぇけど、終わったら連絡するわ。見つけてきてくれよ」

 そう言うと優はアルバイトへ向かった。

「俺は二人と一緒に行くわ。とりあえず飲み物とか簡単な食べ物買ってくるわ。篤宏腹空かせてたら可哀想だし」

「ありがとな。とりあえず準備して2時間後に大学横のコンビニでいい?」

 そう真壁が言うと、二人は同意しそれぞれ家へと帰って行った。

 真壁も自分のアパートへ着き、水を飲み一息つく。それから服を着替えることにした。肝試しの時は何事もなく済んだが、廃神社はいつ壁が崩れたりしてもおかしくないくらいぼろぼろだったし、転べば瓦礫などにぶつかり怪我をするかもしれない。安全を期すために、長袖長ズボンに履き替える。

 その時、インターホンが鳴る。裕太が飯買ってそのまま家に来たのか、そう思ってドアを開ける。そこに立っていたのは、今

まさに探しに行こうとしていた友人だった。



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