第7話 監禁生活(?)
ドン!
「あがぁっ!?」
「むにゃむにゃ……」
「こんにゃろー」
「ぐっ!? むにゃ……」
「……よく寝るな……」
この寝癖ぼろくそ女、もとい結愛は寝付きがひどい。
何か抱きしめたままじゃないと、近くにものがあったら必ずしも手があがる。
おまけにこっちから仕返そうとすると急によくなるから厄介だ。
腹いせのつもりでデコピン入れたまではいい。けどそれだけ、そこ止まり。
「ねっむ……」
ついでにトイレ行ってくるか……。
寝室を出てすぐ右回転して真っすぐ進む……だっけ?
寝ぼけ半分で閉じかけた視界は頼りにならない……。
数日前、鎖でつながれていた時の記憶を頼りになんとかトイレにつくことに成功。
「ふー。すっきり~」
用を済ませて手洗いを済ませてベットにドーン。
「寝顔は可愛いんだよなー」
可愛いなりしてるのに中身はクレイジーガール。
世の中、見た目によらずとよく言ったもんだ。
「地雷より数百倍マシだな。うん」
殺されかけたし、なんならトドメ刺されてたまである。
隣でエビみたいなポーズで人体の神秘殿開催まっしぐらの結愛。
隣で美少女が熟睡している。
普通ならときめいてたはずだけどなぁ。
ポーズがえげつなさ過ぎて(と眠気も相まって)それどころじゃない。
待てよ?
「あれから何日経ってるか知らんけど、そろそろログボ貰わないと詰む」
俺も結愛も一応オタクの端くれ。ソシャゲも一応嗜んでいる。
元カノみたく配信のためとかで重課金するほどのめり込んではない。なんなら課金したことが一回か二回くらい。
だからこそログボは命かけて死守するしかない。
「二度寝する前なんて絶好すぎる。さてと」
ゲームアプリを起動するためスマホをオン。
レインの通知と数日留守状態の旨を知らせるゲームの通知やらなにやら。
しかし俺の目を掴んで離さないのは数々の現代の娯楽などではない。
「はぁ!?」
「垢消されてる!? あの地雷女め、逃げやがったか」
「うう……」
「起こしたか?」
「うん……」
「もうちょい寝るか?」
「きょ、でーと……」
「約束してない。それどころじゃない」
「するったらするー! 鎖外したからごほーびー!」
「うぉっ、うぜー!」
左腕に抱き着いて駄々こね始めた。
「ごーほーびー!」
「わかった! わかったから!」
「ぃやったー!」
酔いつぶれたおっさんムーブから解放されたと思いきや、腰にしがみついて再び眠り姫状態に突入した結愛。
あれから三日ほどは鎖繋がれたまま過ごしたけど、人間竿になるとか脅迫されるとかそういうのは一切なかった。
寝て起きたら飯食って、看病を掲げた結愛とゲームするか、美晴さんと趣味の話もするなど。
マンガで見る怯えた生活ではない。夏休みに突入した同棲カップルさながらな生活だった。
拘束もいつの間にか外れていた。
ま、真意なんて後で聞くとするか。
「っふあぁ~!」
夢の中で聞けば、全部説明してくれるか?
なんて、気が付くとログボのことすっかり頭の中から抜けており、まどろみに身を委ねて結愛と美晴さんがいるはずの夢の国へ旅立っていた。
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