第39話 シャロが思い出に浸っているその頃、メンバーは
「なぁ観測者よお、こいつは効いてんのか? ゾウに針で攻撃しているようなもんだぜ」
「針の種類によるだろ。麻酔や毒針ならゾウでも倒せる」
アカネはふくれっ面のまま、観測者のいうことも一理あると思ったのか、そのまま目標に向けた射撃を続けた。
ミジュを連れ去られ、シャロも離脱した今、月のフクロウは観測者の指示で巨大なグールの捕縛作戦を決行していた。
輸送機で砂漠地帯に連れてこられ、建造物かと見紛うような巨大なグールを見つけると、死なない程度にダメージを与えろと観測者は月のフクロウのメンバーに告げた。
「あのう、この魔弾は毒入りでしょうか?」
「毒以外にも麻酔、麻痺、防御魔法破壊、結界無効も入っている」
あっさりと観測者の口から既にあらゆる手を尽くしていると伝えられると、サオリは無言で魔導武器、長距離用ライフルを構えた。
「観測者さーん、あとどれくらいであの神殿おばけの因子を捉えられますかー?」
アニマは椅子に座って地面に固定された長距離用ライフルの引き金を引く作業をもう四時間は続けていた。背後には魔弾の入った木箱が山のように積み上げられている。
「そうだな、同じ作業をあと半日ほど続ければ俺が奴の因子を捕え完全に支配下に置ける」
「うえええええ! 半日もおお!!」
アニマが表現したように目標のグールは一見すると神殿のように見える。
おそらく擬態化の能力が使えるのだろう。今は神殿のふりをしてピクリとも動かない。
「こいつを捕縛したらすぐに輸送機に乗って次のグールのところへ向かう。寝る暇はないと思え」
「ちょ、鬼過ぎない? うちらの部隊以外に応援はいないわけ?」
スズメの言いたいこともわかる。施設には主力部隊を筆頭に数多くの部隊が存在している。
「部隊が無数あろうと因子を操れる観測者は俺一人しかいない」
今回の目的は出来るだけ巨大なグールを数体捕獲すること。
「大体、任務自体は簡単なものだろう。グールは巨大になるほど知能が低い。特に野放しにされたグールは自分の存在意義すら見い出せず、攻撃されてもこうして単に嵐が過ぎ去るのを待つものが大半だ」
「しかし、さすがに保有魔力が四分の一まで減れば我々に攻撃してくるのではないだろうか?」
「…………っち」
「今舌打ちをしなかったか!? 観測者よ!?」
グールの保有魔力が四分の一まで減らないと因子を捕えることが難しい。
そしてレイナの正しすぎる指摘には舌打ちで応える。
「まぁまぁみなさん、きっと攻撃されてもわたくしたちなら問題ないと観測者さんは信頼してくださっているんですわ」
今回は姫騎士のサオリも長距離用ライフルで魔弾を撃ち込んでいる。
全員、射程距離ギリギリの七百メートル後方から射撃をしていた。
しかし、観測者にはわかっていた。目の前の神殿っぽいグールの体長は百二十メートルはある。擬態化できるなら手足だけを極端に伸ばし、月のフクロウの美しい女性メンバーの足を根こそぎ掴むだろうと。
「きゃあああああ!」
「うわあああああ!」
「いやあああああ!」
「な、なんだこの不埒者め!!」
「か、観測者さあああん!」
予定より早い時間で彼女たちが逆さ吊りにされたのは僥倖であろう。
言うなれば予定より早くグールの保有魔力が三分の一まで減ったということだ。
悠々とライフルを構え、空へ飛んだ観測者は魔弾を撃ち込みながら呟く。
「待ってろミジュ……!」
シリアスにズドンチュドンと魔弾を撃っている下方では女子たちの地獄が展開されていた。
「やめろおお! あたいの胸はてめぇなんかにもまれるためにあるんじゃねぇんだよお!!」
「びえええええん! アニマのパンツ取られましたああああ!!」
「っく、この! ひゃあああああん!」
下着をことごとくはぎとられる女子たち。
「やだやだ! そんなとこ入らないってば!!」
「ふむぅうう!? んぐ!? おぐぅ!!」
穴があれば入り込む触手に翻弄される女子。
観測者は知っていた。グールは巨大になり知能が低くなるほど、触手もち。
サオリの見解はある意味あっていた。
つまり、こういう事態になっても月のフクロウであれば大丈夫。
観測者はただひたすら魔弾をグールに撃ち込んでいく。
脳死状態で作業をこなす観測者の耳に彼女たちの淫らな嬌声は一切入ってこなかった。
☆☆☆
ふとしたとき、エロがここぞと入って来る☆
そして……
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