第27話 エピローグ
ここは施設の部隊室。月のフクロウのメンバーが集まる初級部隊の部隊室だ。
「うええええええ! ミジュさんと付き合っているんですか!?」
「そうよぉ、あたしの彼氏なんだから、あんたたちは指をくわえていることねぇキャハハハ」
ミジュは観測者とデートをするために施設へ遊びに来ていた。
「わたしは第二夫人で構わないぞ」
「じゃあ、わたくしは第三夫人でよろしくお願いします」
「あたいは第四だな」
「……第五」
「私は第六でも愛人でもいいぞ」
「はいはい! アニマは第七夫人がいいです!」
彼氏がどんな反応をするのか、興味深そうにミジュは観測者の様子を見ていたが、観測者の方は端末を見ていた。
「今週の課題は慈善活動のレポート提出だ。レイナはいつも主観が入りすぎているので、もっと多角的な視点でレポートを仕上げるように」
「はい、すみません……」
「スズメ、レポートは密書じゃないんだ。暗号で書くな」
「……情報漏洩には気を配るべき、でも直します。すみません」
「シャロ、保護対象を物体と表記するな。旧世代は人類だ。イリスレインは妖精だ」
「どれも実験材料になるときは物質よ。もちろん、直すわ。すみません」
「サオリは常に満点だ。そこで頼みがある。アカネに語彙力を与えてほしい」
「ありがとうございます。アカネさん、頑張りましょうね」
「あたいは勉強なんて向いてねぇんだよおおお!」
「アニマはこれから絵本を読みながら読み書きのお勉強だ」
「はあああああい♪ アニマ絵本持ってくるうううう!」
清々しいほど、ツッコまない。月のフクロウのメンバーから大量に飛んでくるラブ光線を観測者はすべて無かったことにしていた。
「悪くない対処だけどぉ、押し倒されたらどうするのよぉ?」
「強制的に眠らせるから問題ない。ミジュは浮気の心配なんてしなくていいよ」
「あぁら、あたしが浮気、しちゃうかもよぉ? あっはははは」
「…………」
「本気で落ち込まないでよ! するわけないでしょ! ばか!」
じとーと月のフクロウメンバーの冷たい視線がミジュに突き刺さった。
「狂咲ミジュ、君はどれほど自分が恵まれているかわかっていないようだな」
「なによぉ、類まれな戦闘センスは天賦の才よぉ、嫉まないでよねぇ最弱ちゃんあはは!」
ピキピキとこめかみに青筋を浮かばせるレイナは吠えた。
「観測者! 貴方の恋人の悪口など言いたくないが、狂咲ミジュは少々性格が悪いと思うぞ!」
「可愛いだろう。俺がお仕置きする材料を毎日せっせと積み上げているんだから」
「ひぃ!」
ミジュは何かを思い出したようでガタガタと震え出した。
「そういえば、あんたさぁ、教会に残るってマジなの?」
シャロが聞くとミジュは頭を両手で押さえたまま返事をする。
「マジよぉ。ドゼが許してもあたしは国連を許さないわぁ、絶対中身ぐちゃぐちゃになるまで殺し尽くしてやるんだからぁ。まぁでもそれは教会も同じだけどねぇキャハハハハハ」
「……狂咲ミジュはスパイで復讐者ってこと?」
スズメの言葉にミジュはそうよぉ、と答えた。
「でも結局おめぇが一番ラスボスっぽいよな」
アカネの言葉には月のフクロウの他のメンバーもうんうんと頷く。
「いいじゃなぁい、あたしが最後の敵ならぁ、最後の敵だけ倒せない世界で弱者は幸せに生きなさいよぉ、あっはははははは」
「不安の残る世界になりそうですわねぇ」
サオリは考え込むように、深い息を吐く。
絵本を持って戻って来たアニマまで観測者を見てからため息をついた。
「観測者さん、物語の結末は、お姫様にキスか、悪を倒すんですよ!」
「じゃあ、ミジュにキスするよ。何度でも」
「アニマがお姫様になってあげてもいいですよお!」
「悪いが幼女に手を出すと倫理が黙っていないんだ」
さすがに観測者のこの言葉には部隊室にいた全員が叫んだ。
「「「「あんたがそれを言うな!!!」」」」
☆☆☆
ここまで読んでくださりありがとうございます。
第一部終了になります。
ですが、みなさまの応援のおかげでモチベもやる気もアップしたので現在鋭意第二部を執筆中であります!
今月中には第二部の連載を開始いたしますので、みなさまには楽しみにお待ちいただけると幸いです。
執筆の進捗状況については近況ノートで報告させていただきます!
まだまだこれからも月のフクロウメンバーとボスキャラカップルを応援してくださるという方は♡や☆で応援していただけると嬉しいです!
それではまた第二部でお会いできることを楽しみにしております(*´ω`*)
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