第15話 謝罪される豚野郎
この娘たちにとって極悪非道のど畜生の豚野郎に謝罪するとは何事だろうか。
まさか先ほどの爆弾のことでも謝罪しているとでも言うのか。
流石に汚ねえ花火にしようとするのは謝っても許せるレベルを遥かに超えてますよ。
まだ振り切れてるぶん「ハハハw爆発したところキレイでしたよw」て言われた方が腹が立たんまである。
まあタイミング的にはそれっぽいが残念ながらこいつらはルート攻略しているから白確定だとわかっているからな。
これは別だろう。
「私たち誤解して突っかかってみたいだね。今日のスラン君見て今更だけど気づいて。ほんとごめんね」
思えば君たちが発端だったな。
俺は君らの倍は生きてるから無論若人の失敗は許しますよ。
言っても大元を辿れば豚野郎が不信を積み重ねるような行為をしてたのが悪いからな。
疑わしい状況で今まで散々悪事を働いた常習犯が一切悪事を働いてないなど信じられるわけがない。
もう捜査なしで犯人確定である。
それがこうしてわざとボコされて、自分に仕掛けられた爆弾を人気の無い場所で処理した程度で嫌疑が消える方が異常だろう。
この娘たちの性格が極めて優良ということなんだろうが。
「別に構わん。貴様らの立場で私を信じろという方が無理がある。こちらこそ今までの数々の非礼、すまなかった」
こちらからも謝罪しておく。
ヘイトが溜まりすぎてさっき爆殺されそうになったばかりだからな。
精神の安定を保つためにも少しでもヘイトが軽減できることはしておきたい。
「スラン君、本当に心を入れ替えたんだね。何だか目頭が熱くなってきちゃった」
エーデは鼻の根元を指で摘むと俯く。
君、泣くの初めて見るけど泣き方渋いね。
五十代以上のおじさんの泣き方だよそれ。
居酒屋で見かける壮年リーマンでしかこの泣き方は見たことがない。
まあ心を入れ替えたって実際心──中の人が違うからな。
行動とか思考回路を変わったかもしれんが、心は豚野郎と変わらないクズマインドだからな。
こんな俺のために女の子が泣いてくれると思うと粒子一粒分にも満たない良心が痛みますね。
「あたしもありがとね。君のおかげで賭けボロ勝ちだし、懐が温かいよ」
心がチクチクすると勘に引っかかりまくってる女ことロロナが掛け券を握りしめながら感謝を言ってくる。
いや普通に原作通りのキャラだし、発言からも不審な点は見られないが、勘が疼くせいですごく胡散臭く感じるな。
無理矢理にでも証拠をでっちあげて、始末せねばという使命感に駆られる。
まるでドラマに出てくる頑張りすぎて暴走する若手刑事の気分だ。
よく“仕掛けたらやっぱり尻尾を出しました! あいつが犯人に違いません! あれがあいつの本性なんです先輩!“とか言うステレオタイプの。
「ふん。調子に乗らないことね豚。イクスに変な契約を結んでいたら許さないんだから! ブヒブヒ言わされることを覚悟しなさい!」
俺に一人づつ何かを言わねばならないルールでもあるのか、若者同士の連帯の結果なのかはわからないが、ロロナの次は通称チワワことルリアが言葉を投げかけてきた。
悪しきおじさんなので、大の男が恥も外聞もなく全力でブヒブヒと鳴き声をあげる様を見せて怯えさせたい気持ちになりますね。
流石にヘイトどころか変質者として騎士たちに身柄を拘束されそうなのでやらないが。
「素晴らしい戦いぶりだった。特に君の鎧の操作は一級品だ。是非とも君に私の家に就職してもらってデータを取りたいものだ」
魔が差し掛けると鎧マニアのヒビキが勧誘してくる。
頭のネジが五、六本抜けた女なので就職するわけがない。
俺は選択肢を間違えて、脳みそだけの生体ユニットにされたことは忘れてないぞど畜生。
家も日本の闇を凝縮したようなブラック企業なのでヒビキ抜きでも罷り間違っても就職することはない。
「スラン! 何を考えているんだ! お前ら騙されたらダメだ! それは全部そいつの演技だ!」
ヒロインたちに言葉の一斉放火を受けているとイクスが乱入してきた。
何だこいつめちゃくちゃ鋭いな。
俺のヘイト回避のためにヘイコラしているのを見抜くとは。
もしかして俺を爆破したのは君かね?
どういうふうに奴隷化するかは知らないが、一応シアに犯人か尋ねてくれるように頼んでおくか。
どのルートでも鎧で正面からファイトするのが基本なので爆弾なんて絡め手を使ってくるとは可能性は低くはあるが。
「ああ、ごめんね。決闘した後でちょっと熱くなってるから。じゃあね」
ヒロインたちはまた揉めてもしょうがないと思ったのかイクスを回収して去っていく。
ヒロインたちも大変だな。
この世界のイクスはあまり周りを気にしないみたいだし。
まあ俺には関係ないのでどうでもいいが。
俺にとって大事なことは俺にとって世界で一番大事な命を脅かす爆弾魔の始末だけだ。
ただいまより処すルーレットローラー作戦を開始します。
────
続きを書くモチベになるので、是非とも星⭐︎⭐︎⭐︎、フォローお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます