第11話 豚野郎が女の子を連れて歩いてる!? 事件だ!!



「ご主人様、朝にございます」


 美人メイドからモーニングコール、フカフカの布団に包まれての目覚め。

 気持ちのいい朝です。

 体中が筋肉痛でなければ完璧でしたね。

 ちょっと動かそうとするだけでも結構痛いな、これ。

 筋肉の損傷ってことだし、回復ブッパで治らんか。

 とりま体に『大回復』をかけると痛みが消えた。

 魔法でマジで便利ですね。


 さて全快になったことですし、今日は学校なので身支度整えたらゴーするか。


 上級貴族専用の男子寮から出ると、昨日のモブ娘と遭遇した。


「スラン様、おはようございます」


 豚野郎の元に訪れる女生徒など存在しないので、登校する生徒たちがギョッとした顔で見ている。

 基本的に豚野郎は逆にヒロインとか女生徒を追っかけて、主人公とか本人にふっかけるのが常だからな。


「おはよう。こんなところに来るとお前まで白い目で見られるぞ。用があるなら人目がつかない時にしろ」


「別に用があるから来たわけじゃありません。お慕いしているから来たんです」


 俺のところにわざわざ来るとは何か頼むためだと思いかけらほどの良心から注意するとキッパリとモブ娘が訂正してきた。

 モブ娘は言葉だけじゃなくて本当に義理堅かったようだ。

 ただのモブなので機械的に感謝してますと言っているだけだと思ったがそうでもないらしい。

 前の世界の人間よりもよっぽどしっかりしてるな。


「私を慕うか。私などに付いてきたとしても碌なことはないぞ。それでもいいというなら勝手にしろ」


 覚悟はあるようだが一応最後通牒だけはしておく。

 後で酷い目にあったわ、許さんぞ豚野郎されても嫌だしな。


「ではお供させていただきたいと思います」


 モブ娘が後ろから付いて来る。

 奇妙なことになったな。

 まあ気にしてもしょうがないし、ささっと登校するか。

 さすがのモブ娘も教室に乗り込んでくることはないだろうし、周りの奴らも教室に行かなきゃならんから散るしな。


「何をやってるんだ!」


 校門に辿り着き後少しと思うと王道をゆく主人公ボイスが聞こえた。

 ゲームでは声がなかったがなんとなく声の主が誰か察した。

 おそらく主人公のイクスだろう。

 見るとやはりエロゲ主人公にありがちな赤髪に、細マッチョ、そして美少女たちに囲まれた男がいた。

 やはりイクスである。

 こちらを睨んでおり、敵意剥き出しだ。

 豚野郎はちゃんとイクスにもちょっかいを出して噛ませとしての役割を全うしていたらしい。


「女の子に無理矢理自分の言うことを聞かせて連れ歩くなんて一体どんな卑劣な手を使ったんだスラン!」


 完全に何か弱みを握って無理矢理従わせていると思っているようで、事情を聞く前からもはや確定有罪状態だ。

 豚野郎はクソだからしょうがないとはいえこれはひどいですよ。


「何を言ってるんだ! 私はスラン様と自分の意思で共にいるだけだ!」


「スランにそう言えと言われたんだろう。わかっている」


 モブ娘が弁解するが豚野郎の行いの積み重ねが不信を呼びまったく信じられていない。


「黙れ! 勝手に納得するな!」


「もういいって言ってるだろ。安心してくれ」


「貴様!」


 聞く耳を持っていないイクスにモブ娘が鬼の形相になり始めた。

 お前はこっちを睨んでないでモブ娘の方をよく見ろ。

 もう殴る一歩手前だよ。


「ちょっとなんだか様子が違うみたいだし、話聞いたほうがいいんじゃない」


「話? 聞くまでもない! こいつが悪い! それが全てだ!」


 流石に違和感を感じたのかヒロインの一人であるお姉さん系のエーデがそう促すとイクスがブチギレ散らかして否定した。

 何があったが知らんがキレすぎだろ。

 エーデの提案を頭ごなしに否定した上に勢いを増してキレ散らかすので周りのヒロインたちも流石に引いた目で見ている。

 まずいですよ。

 好感度マイナスってますよ。

 バッドエンドになったら俺も巻き添えで終わるんだから勘弁してくださいよ。


「何事です」


 俺が危機感を募らせると人垣を掻き分けて、聖女ローゼリンデが現れた。


「理由は分かりませんが人の往来を妨げてまでするようなことではないはずです。早く散ってください」


 前は勧誘するのに必死であれだったが、今日は人の目があることで完全に聖女モードのようで場を収めるために簡潔に指示を飛ばす。


「このままこいつを逃してもまた同じことを繰り返すだけだ! 今日ここでしっかりと決着をつける必要がある! だからまだどけない!」


「そこまでしっかりと決着をつけたいのなら決闘でもしてください。これ以上あなた方二人のことに周りを巻き込むわけにはいきません」


「決闘……」


 ローゼリンデの指示にイクスが食い下がろうとするが聖女から決闘を持ち出され言い淀む。

 決闘はこの国に古くからある事前に勝者の願いを遵守する契約を結んで戦いを行うハイリスクハイリターンの戦いだ。

 最悪これで敗者は死ぬという契約を結ばれれば普通に死ぬのでおいそれとイクスと言えど返事できないのだろう。

 というかこんな小競り合いでやるもんではない。


「スラン、お前に決闘を申し込む!」


 流石のイクスも冷静になって下がるだろと思っているとそのままゴーしてきた。

 なんでやねん。

 今の下がる流れやったろうがい。

 仲間が殺し殺された時とかにお互いに仇になったからとかで止むに止まれぬ事情ができた時にやる奴だぞ。

 怒りのパラメータブチ切ってるだろこれ。

 豚野郎何をしでかしたんだよマジで。

 

  ────


続きを書くモチベになるので、是非とも星⭐︎⭐︎⭐︎、フォローお願いします!


 







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る