2-9
俺はギルド長室のさっきのソファに座ったりギルド長に聞いた。
「それで?何を思い出したんです?」
「あぁ、昔読んだ東の国の本のことじゃ。その物語の主人公の名前はカイ。」
なにか引っ掛かった。なんだ?
そうだ、前に母さんから聞いたっけ。
俺の名前の由来。
『ねぇ、母さん。どうして僕の名前はカイなの?なんかみんなと少し違うけど…』
『昔ね、お父さんと旅してたころに東の国で1冊の本と出会ったの。その本の主人公はとても優しくて自分の心を曲げない強い意志の持ち主だったの。何よりね、自分の有益なんて考えずに人を助けてしまう行動力がすごく素敵だったの。その主人公の名前が』
「カイ…」
「あぁ、ヒーローとやらも人が困ってたら手を差し伸べてしまうんじゃろ?この主人公にそっくりじゃ。」
「母さんに来たことあるんです。俺の名前の由来。たぶんその物語の主人公からとってるんです。その本!今ありますか!?」
「すまんが本は無いんじゃ。なんせ東の国の本は貴重でな。なかなか出まわっとらん。東の国に行けば手に入るかもしれんがそう簡単に行けるとこでもない。冒険してていつか行ってみるとええ。あそこは世界が全然違うからの。」
東の国か…旅の目的が増えた。
「おまえさんは面白い存在じゃの。異世界転生者でもあり、東の国の主人公と同じ名前でもあり。今後のおぬしの活躍が楽しみじゃ。」
「ありがとうございます。わざわざ教えて下さり。」
「なに、わしのほうこそ時間を取らせて悪かったの。」
いつか東の国に行こう。
そして俺もその本が読みたい。
母さんが好きな本、父さんと母さんが俺につけてくれた名前の由来の本。
旅の楽しみが一つ増えた。
***
「さてと、あとは…」
俺はギルド長との話が終わり買い物に来ていた。
凄く広い街なので迷子になってしまいそうだ。
「兄ちゃん!旅人かい?保存食どうだい?旅に役立つぜ!」
保存食、現世では栄養保存食とかあったがこっちに来てから初めて聞いた。
どんなものかと覗いてみると乾燥させた肉。、ビーフジャーキーみたいなものだった。
たしかに冒険中食べるものがなくなってしまえば大変だ。
少しくらい持っててもいいかもしれない。
「一袋いくらだ?」
「一袋300キンだよ。今なら二袋で500キンにしておくよ。」
キン、こっちのお金の単位で現世の円と同等だ。
現世が日本だったのでこれはすごく助かる。
500キンだから500円ってことか。
「なら二袋もらおうか。」
「まいど!」
「大将、聞きたいことがある。ここ最近この街付近でおかしなこととか起きなかったか?」
「おかしなこと?は特にないな。…ただ風の噂だが魔法を強制的に強くする薬が出回ってるとか。つかったら頭が割れるほど痛くなって暴れるとかは聞いたぜ。」
似ている…アグルとミノンの症状と。
「まぁ、噂だからよ。真に受けに方がいいぜ。」
「ありがとう、助かったよ。」
噂か…
だが、火のない所に煙は立たないというし。
その薬について少し調べてもいいかもしれない。
何かが起こる前に。
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