2-8

俺たちはギルドから出て宿を探し始めていた。


「さっきはすみません。パッと思いついたのが俺と旅に出るっていう嘘で…」


「べつに気にしてないわ。…本当に一緒についていってもいいかしら?」


「え?俺のたびに?それは構わないけど…」


「この街も知らないし、あなたといる方が飽きること無さそうだし、ついていくことにするわ!改めてよろしくね、カイ!」


「うん、よろしく!リンさん!」


「あ、私のことリンさんて呼ぶのやめて。なんか変な感じするから。あと敬語も禁止ね。」


おっと、一緒に旅に出ると決まった瞬間なんだか勇ましくなったぞ。

まぁ、冒険するんだからこれくらい勇ましい人の方がうれしいが。


「わかったよ、リン。早速だけど宿を探そう。昨日ろくに寝れてないだろ?」


とりあえず宿を探すことになった。

ちょっと歩くとすぐに見つかった。

さすが大きな町だ。

冒険者も多いからか宿が沢山ある。


「いらっしゃい!」


「すみません、2人と一匹お願いしたいんですけど。」


「あー…部屋が一つしか相手無くてね…それでもかまわないかい?」


さすがにリンと同じ部屋というわけにはいかないだろう…

断ろうとしたその瞬間。


「かまわないわ。用意してちょうだい。」


「え、リン…」


「いいのよ、べつに気にしないわ。」


いやいやいや、俺が気にしちゃうんですけど!

だってこんなきれいな亜人のお姉さんですよ!?


「ではこちら鍵になります。ごゆっくり。」


「さぁ、行くぞ。カイ。」


リンは鍵を受け取り部屋へ向かう。

俺の子の気持ちは完全無視ですか!?

いや、まぁ、ヒーローなのでそんなこと全然考えてないですよ!?

とりあえず俺も部屋へ向かった。

ドアを開けるとリンは速攻でベットに倒れこんでいた。


「まぁ、追いかけまわされて街に来てとバタバタしてたしね。疲れてて当然だよな。」


さて、俺はもう一度ギルドに戻りギルドカードを取りに行こう。

それから街の見学をして買い物して戻ってこよう。


***


「すいませーん、ギルドカードもらうの忘れてたんですけど…」


「カイ様!お待ちしておりました!突然いなくなられたのでびっくりしましたよ。」


「いやぁ、すみません。リンが体調を崩してしまって…」


「そうだったんですね!それは気づけず申し訳ございませんでした。こちらカイ様とリン様のギルドカードになります。」


「ありがとうございます!」


「ギルドカードがあれば他の街へ入国手続きが簡単になり各ギルドでクエストを受けることができたり魔物の素材を売ることができます。」


「どうもありがとうございます。」


俺はギルドを出ようとしたその時、大男が俺に声をかけてきた。


「あんちゃん、いいステータスだったな。俺たちと一緒にパーティーを組まないか?」


「悪いね、俺は旅に出るんだ。二人でな。」


「一緒にいた嬢ちゃんだろ?嬢ちゃんも一緒にさ。嬢ちゃんと一緒らいいだろ?」


俺を最初に誘っておきながらリン狙いだろ。

見え見えだな。


「悪いな、パーティーを組む予定はない。この街に滞在するのも明後日くらいまでだ。」


「ふん、つれねーやつだな。だったら力づくであの嬢ちゃんを譲ってもらうまでだ!」


「まてい!ギルドで騒ぎを起こしたらわしが許さんぞ。」


大男が俺に攻撃を仕掛けようとしたとき、ギルド長が現れ止めてくれた。


「っち、いいとこだったのによ。」


大男は去っていった。

ギルド長は少し怒った顔をしていたがすぐにさっきの優しい顔に戻った。


「どうも、助かりました。」


「なに、かまわん。それよりカイ、少し話さんか?思い出したことがあるんじゃ。」


「構いませんよ、時間はたっぷりありますから。」


俺はまたギルド長室へ向かって歩き出した。

いろんなやつにリンが誘われてリンがつかれる前にこの目地を出たほうがいいかもしれない。

さっきのような乱暴者に捕まる前に。

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