2-3
ついに俺の旅立ちの日が来た。
「キル、俺は冒険に出るけどどうする?」
「ウグ?」
わかんないよね、いきなり言われても…
それにキルはここで家族で過ごすのがいいかもしれない。
俺の旅に無理やり付き合わせるなんて。
「キル、アグル、ミノン、俺は旅に出るからさ、しばらくお別れだよ。」
アグル、ミノンには意味が伝わったのか俺のそばに寄ってきて頭を擦り付けてきた。
キルは首をかしげていた。
やっぱりわかってないよね。
「じゃあね、みんな…」
俺はみんなに背を向けて家へ向かった。
***
「父さん、母さん、ありがとう。こんなにもいろいろ用意してくれて…」
「カイ、気を付けていくんだよ。」
「いつでも帰ってきていいからね。」
「うん!じゃあ、行ってくるね!」
俺は今から旅に出る。
一人での旅だ。
寂しくなるなぁ…
「ガウー!」
ほら、寂しくなってきてキルの吠え声が…
「ガウー!」
おかしいな、さっきよりはっきりと聞こえる。
後ろを振り返った。
するとキルが走ってきていた。
「ちょちょちょい待って!キル!そのスピードできたらぶつかるー!」
ドン!
「いってー!」
俺とキルはぶつかり吹っ飛んだ。
「キル…どうしたんだよ。さっきまで何もわかってないような顔してたんじゃないか…一緒に来るか?」
キルは何も言わずにただ俺のそばにいるだけだった。
でもそれが答えなのかもしれない。
一人の息子と一匹が旅立つ。
これが俺の旅の始まりだった。
***
「さて、最初に向かうのが…」
最初に向かう場所はアリジャスという街だ。
ここはギルドがあり、冒険者登録ができる。
お金も無限にあるわけじゃないし、旅をしながら冒険者としてお金をためていこうと思っている。
故郷をでて半日くらい歩いただろうか。
だいぶ日が沈み暗くなりかけていた。
「キル、今夜はここらへんで野宿しよう。」
「ガウ!」
俺は肉屋のおっちゃんがくれた肉を少し出した。
今日の分はいいけど保存がきかないからこれからは先に調達しないといけないもんな…
火をおこし、野宿の準備をしているとキルがよってきて何かを口にくわえていた。
「キル?何をくわえて…うわ!」
キルがくわえていたのはポークノス。
ポークノスは人間も魔物もよく食べる魔物だ。
冒険者たちはよく丸焼きにすると聞く。
「これ、焼くか?」
とりあえず聞いてみるとキルはうなずき近くに持ってきた。
初めて肉になる前のポークノスをみた。
今にも動き出しそうだが、キルがのど元を噛んで息の根を完全に止めていた、
「できた!」
俺はシチューとパン、キルはポークノスを丸々一頭食べて寝る準備をしていた。
「さて、寝る前に…」
探知×2
時間リミット×2
この魔法は周りに人や魔物の気配がないかを調べる魔法。
それに時間リミット魔法はその前に使った魔法をしばらくの間、永続的に効果が続く魔法だ。
今回は3時間×2なので6時間の探知魔法を使っているのと同じことになる。
「おやすみ、キル。」
キルは俺のテントの横でもう寝てしまっていた。
俺もテントに入り横になり寝ようとした。
その時だった!
探知魔法に異常あり!
誰かが近くに来た!
数は先に来るのが1、そのあとから3来ていた。
これは…追いかけられてる!?
「キル!起きろ!様子が変だ!」
俺は急いでその現場に向かい始めた。
キルも目を覚まし走って追いつき俺の横に並んだ。
キルは乗れと言わんばかりにこっちを見てそのあとすぐ背中を見てを繰り返した。
「頼むぜ、相棒!」
俺はキルに乗り、急いで違和感を感じる現場へ向かった。
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