2-2
俺はカリアさんに挨拶する為に町へ来ていた。
「おぉ、カイ!今日はアレクさんと一緒じゃねーのか。」
声をかけてくれたのはいつもお肉を買っている肉屋のおっちゃん。
小さいころからここで買ってるので顔なじみだ。
「うん、俺、旅に出るからみんなに挨拶しに来たんだ。」
「え!そうなのかい!?ちょっと待ってなよ!」
そういっておっちゃんは店の奥に入っていった。
「これ!持っていきな!」
「これは?肉を裁く時のナイフだよ!きっと役に立つぜ!」
「いいの!?こんな高価そうなナイフ貰っても!?」
「あぁ!町の危機を救ってくれたノバーク一家には頭が上がらねぇぜ!それからこの肉も持っていきな!ミレアさんに美味しいご飯作ってもらって旅に出ろよ!」
「おっちゃん、ありがとう。よってくとこあるから帰りに貰ってもいいかな?」
「おう!みんなにしっかり伝えて来いよ!」
***
俺は役所に到着しカリアさんを待っていた。
「久しぶりね、カイ君。ずいぶん大きくなったわね。」
「お久しぶりです。カリアさん。」
「で?今回はどんな要件?」
「実は俺、旅に出るんです。それで挨拶をしに。」
「なるほどね、それで最近アレクさんが元気なかったのね。まぁ、あの二人の息子だものね、旅に出るって言っても不思議じゃないわ。」
「それで俺が出てもあの場所の結界をお願いしたいんです。」
「えぇ、それは構わないわ。あ、ちょっと待ってて。」
そしてカリアさんは机の引き出しを開けて何かを取り出した。
「これ、あげるわ。」
「これは?」
「魔物を言うこと聞かせれる魔法が付与された笛よ。魔物使役笛といったところかしら。きっとキルはあなたについていきたいはずよ。いざという時に使いなさい。」
カリアさんは休みの日ときどきキルたちの所へきて遊んでくれる。
出会った最初のころはお堅い人かと思っていたがそうではなくどうも緊張していただけだったらしい。
キルたちもノバーク一家とカリアさんには甘えてくる。
とくにキルは人懐っこくてベタベタくっついてきて甘えたがる。
「いいんですか?それにカリアさんキルをすごくかわいがってくれてますけど…」
「キルが一番心を許してるのはあなたよ。旅を楽しんできてね。」
「はい!ありがとうございます!」
***
「カイ!戻ってきたか!…ってなんだその大量の荷物は?」
「町の人がいっぱいくれたんだ。」
カリアさんに挨拶した後、いつも仲良くさせてもらってる人やいつも買いに行ってるお店の人に挨拶に行くとみんな大量にくれた。
多すぎて大きな袋までもらってしまった。
おっちゃんは俺をみて苦笑いしていた。
「すまないなぁ、さらにこれが増えるんだからよ。」
「いやいや、ほんとありがたいよ。旅に出るって言ったらこんなにも渡してくれるんだもん。みんな優しくてほんと…」
ほんとにうに嬉しい。
この町のみんなが俺のためにこんなにも渡してくれて…
「カイ、大きくなったな。またいつでも戻って来いよ!」
「はい!ありがとうございます!」
俺はこの町の多くの人に感謝して町を出た。
父さんと母さんの元に生まれたからこの町の人たちに出会えたんだし、本当に父さんと母さんに感謝せねば。
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