1-8

「では早速結界についてですが、」


あの話の後早速カリアさんに特訓場に来てもらい結界についての説明をしてもらっている。


結界は近づけたくない人や魔物を寄せ付けないことができる。


今回はノーバク家とカリアさん以外の人、魔物が対象となる。


そして結界は魔力量により張れる範囲が変わってくるらしい。


俺が張りたいのは特訓場所の周りの林周辺、だいたい直径50mくらいだ。


しかも結界魔法は永続魔法で一度唱えると壊されるまで効果がずっと続くらしい。


すごく高難易度の魔法だ。


ふと疑問が頭をよぎった。


「でもどうしてキラーキャットたちは結界が張ったある町の中にいたんですか?」


「結界が何者かによって壊されました。壊された瞬間キラーキャットが入ってきたという感じですね。結界が壊されて瞬間に避難警告を出したのですが…」


なるほど、町の人たちの非難が早かったのはカリアさんのおかげだったのか。


「そうだったんですね…でもそのおかげで非難がすごく早かったですよ!」


「ありがとう。じゃあ、早速結界張っても大丈夫かしら?」


「はい!お願いします!」


するとカリアさんは魔法を使った。


「これで終わりよ。」


「え?これでですか?なにもかわってないようですが?」


「結界なんてそんなものよ。町だってそうでしょ?」


確かに言われてみれば町にも同じ結界が張ってあるがなにも感じないし…


「じゃあ、私はこれで帰るわね。カイ君、町を救ってくれて本当にありがとう。」


「僕のほうこそわがままを聞いてくださりありがとうございました!」


***


家に帰るとイグールが帰ってきていた。


勇者ノインさんに手紙を渡してくれたのだろう。


「父さん!ノインさんからの返事はある!?」


「あぁ、ノインがこっちに向かってきてくれているらしい。一か月くらいでこちらに着くって。」


ノインさんかぁ、魔王を封印した父さんと母さんの元パーティーのリーダー。


会うのがとても楽しみだった。


「それで?結界のほうはうまくいったのか?」


「うん、カリアさんが張ってくれてすぐ帰っていったよ。」


「そうか…」


町が襲撃に合ったあの日から父さんの元気がないような気がする。


一緒に訓練して終わったときなんか特にだ。


「父さん、最近元気ないよね?どうしたの?」


「…いや、なんでもないよ。」


そういって父さんは外に出ていった。


「母さん、父さんが元気ない原因ってわかる?」


「そうね…きっとカイが強いことがうれしいような寂しいような感じじゃないかしら?」


なるほど、確かにずっと訓練をつけていた息子が本当は異世界転生者でスキルもいろいろ持ってますとなると複雑なのかもしれない。


父さんに申し訳ないな…


「母さんもそう感じる?」


「ん?私はカイが元気に大きく育ってくれたらそれでいいの。」


母さんがそう言ってくれて少し安心した。


あの日以降ここにいていいのだろうかと考えることが多くなっていた。


でもこんなにも優しい母さんがいて、強くて俺の修行に付き合ってくれる父。


最近ではキラーキャットの家族がいる。


俺はこの居場所が好きだ。


でも俺を新しい道へ進む出会いがもうすぐ待っていた。




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