1-7
「せい!や!はっ!」
今日は朝からいつもの場所で特訓していた。
ただいつもと違うのは父さんと組み手をしていること。
やはり父さんは有名な格闘家だ。
ひとつひとつの動きに無駄がない。
一方、俺はお客さんにかっこよく見せる練習をしていたため戦いとしては無駄な動きが多い。
それをカバーするために身体強化の魔法を使って戦っていたのだが…
「カイ、きつそうだな。身体強化魔法使うか?」
「使ったら練習にならないよっと。」
俺はスキを突き渾身の一撃を胸にはなったがいとも簡単に受け止められてしまいおでこにデコピンをくらわされた。
「格闘技術に関してはまだまだだな。」
「さすが父さん、元勇者パーティーの格闘家は伊達じゃないね。」
組み手が終わると子どもキラーキャットが寄ってきて足元で首を擦り付けてきた。
「キル?なんだ?構ってほしいのか?」
ずっといるうちにペットみたいになってきたので子どもをキル、父親をアグル、母親をミノンと名付けた。
名前があるほうが分かりやすいしキラーキャットたちも気に入ってくれてるのか呼ぶと反応をしてくれる。
「カイ、そろそろ行こう。今日は結界張りの人に話を聞きに行くぞ。」
「うん、キルごめんね。また明日来るから。」
「キューン…」
寂しそうな声を出されたが今日は本当にすまないと思いながら特訓場を出た。
***
父さんと母さんと3人で町に来たのはあの日以来だった。
町の人たちは
「ノバーク一家が来られたぞ!」
「アレクさん、ミレアさん!あの日はありがとう!」
「カイくんもありがとね!」
町に入るとすごく歓迎された。
俺の名前も呼ばれたのにはびっくりした。
父さんと母さんは慣れているのか町の人たちに笑顔で手を振っていた。
役所につき少し緊張する俺。
母さんが俺の背中に手をあててくれた。
「大丈夫よ、きっとわかってくれるわ。」
役所の中に入るとみんなバタバタしていた。
どうやら町の復興はだいぶ進んできてるらしいがこういう中の仕事はたくさん残っているようだ。
「すみません、アレク・ノバークですがこの町の結界を張っている方にお話を聞きたいのですが…」
「わかりました。少々お待ちください。」
父さんが役所の人に声をかけてくれていた。
「どうぞこちらへ。」
俺たちは奥の応接間に通された。
ドアを開けるとそこに黒髪ロングの女性が立っていた。
「お待ちしておりました、ノバーク様。私はこの町の結界張士のカリアです。」
「どうも、初めましてアレク・ノバークです。こっちが妻のミレアと、息子のカイです。」
「「はじめまして。」」
「それで?どういったご用件でしょうか?」
「今回、町を襲った魔物キラーキャットについてです。」
「あぁ、麻酔で眠らせその後ノバークさんたちに任せたというあの…」
「父さん、ここからは俺が。」
父さんはうなずき俺に任せてくれた。
「そのキラーキャットですが子どもがいてあの二匹はほんとうはおとなしい魔物なんです。今は僕が修行として使っている人が来ない場所に住み着いています。
そこに結界を張りたいのですが可能ですか?」
「…可能です。ですがその前にあなたは町を襲った魔物をかくまっているということですか?」
やはりそう来るよね。
でも本当にその通りだ。
俺は町を襲った魔物をかくまっている。
どうこたえるのが正解か…
「はい、そういうことになりますね。」
おれは正直に答えた。
こう
「…わかりました、協力しましょう。」
「え!?いいんですか!?」
てっきり断られる流れかと思っていたのに…
「ノバークさん一家のおかげで町の多くの方が救われました。みんなあなたたちに感謝してるんですよ。そう、私もね。」
なんていい人なんだ!カイくん感激で涙が出そうですよ。
こうしてキラーキャット一家のためにあの場所に結界をはあれることが決まった。
いろんなことがいい感じに進みだした。
でも何かが引っ掛かる。
とりあえず今は一つずつことを進めていこう。
俺にできることを一つずつ。
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