1ー1

俺は…


そうだ。


子どもをかばって刺されて、それから…


「ここはどこだ!?」


死んでない?


体も痛くないし、刺されたところもふさがっている。


どうなっているんだ?


「目が覚めたか、ヒーローよ。」


後ろから声がして俺はすぐに振り向いた。


そこにはいかにも専任といった感じの見た目をしたおじいさんがそこに立っていた。


「おじいさん、誰ですか?ここは?」


「わしは、神…」


「神?おじいさんが?」


「…だったものじゃ。」


「…」


「ま、まぁ、待て。神の世代交代がついこの間あって変わったばかりなんじゃ。」


はぁ、転生的なあれだろうか?


だが、世代交代したって言っていたし、普通は新しい神のほうに送られんじゃね?


「で、俺はなんで旧の神様のあなたの所へ送られたんですか?」


「旧の神様って、君…。まぁ、いい。それには理由があってじゃの。」


ほぉ、理由。


「君は小さいころからヒーロー憧れとったじゃろ?」


「まぁ、そっすね。」


「君が子どものころにヒーローになれるか聞いたヒーローがいるのを覚えとるかな?」


そのことは今でも鮮明に覚えている。


おれがヒーローに、ローカルヒーローをやるきっかけだったから。


「その中に入っていた人がの、君にそう言った後子どもを交通事故から助けて亡くなったんじゃよ。そしてわしのとこへ来た。」


「え…、」


あの日、あのヒーローの中の人が亡くなっていた?


しかも同じような境遇でここに?


「わしは君がヒーローになりたいかと聞かれているところをここで見ておったんじゃ。それで君が若くしてここに来るもんじゃから、わしが君に会いに来たんじゃ。」


「…」


「どうじゃ?まだヒーローになる夢、諦めてないか?」


「…あぁ、俺はヒーローになりたいんだ。みんなを守れて誰もが笑っていられる世を作りたい!」


「よくぞ言った!では君を異世界に転生させるぞ!」


「あ、ちょっと待って、旧神さま。」


「ふむ、え!?旧神ってなに!?確かに次の世代に譲ったけども!」


いきなり転生とか言われても…


ラノベの主人公ってすごいのな。


いきなり言われてすんなり受け入れてるもんな。


「え?嫌になったとか言わないでほしいぞい…いろんなスキルてんこ盛りにしたのに…」


「旧神さまってあれか?俺つえー的な物語好きでしょ。」


「べ、べつにそんなことないぞい!俺だけ~とかな物語とかドはまりなんてしてないぞい!」


あ、好きなんすね。


まぁ、めんどくさくなりそうだから聞かないけど。


「で、転生ってどこに転生なんですか?」


パァ!


あからさまに旧神様の顔が笑顔になった。


異世界転生させるの大好きだろこの人。


むしろ誰でも彼でも異世界転生させたから神様の地位を下ろされたとか?


「よくぞ聞いてくれた!転生先はラキア!地球とよく似た環境の星じゃ!」


「なるほど。で、俺はそこでまたヒーローを目指せると?」


「そうじゃ。まぁ、じゃからの。生まれ変わりじゃから赤ん坊からじゃが。おぬしの好きなことをやるといいぞい!」


なるほど。まさに第二の人生ってわけね。


まぁ、やるしかないようだ。


「わかったよ。そのラキアとかいうとこへ送ってくれ。」


「おぉ!やってくれる気になったんじゃの!では転生させる前にいろいろ説明するからの!」


「あー、はいはい。」


なぜか子どもを助けて異世界でまたヒーローを目指すことになった。


さてさて、俺の第二の人生はどんな人生になるのか…

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