第131話 過去の自分を、私自身が許せない
「……すまんな。俺のせいで嫌な気分にさせてしまったようだ。ここからは俺と一緒にいると同じような陰口を言われ続ける事になる。もしそういう声を聞きたくないと言うのであれば俺の事は良いから、俺の側から離れて家族の元へ行けばいい。さすがに親がいる前で聞こえるように陰口を言うような奴は居ないだろうし、俺が側に居ないだけでも大分周囲の視線なども変わって来るだろう」
そして俺は逆にこの陰口を利用させてもらう事にする。
ある意味でアイツ等には心の中で『俺達に聞こえるように陰口を言ってくれてありがとう』と感謝しつつ、オリヴィアへ『このまま俺と一緒にいたら先程のように嫌な気分になる事が多いし変な視線を向けられるだろう。だから俺の下から離れて両親が居る所へ行けばいい』と促す。
流石のオリヴィアも人の悪意というか、バカにしたような悪口や視線はいい気はしないだろう。
しかしながら、だからと言って婚約者でかつ、この話題の中心人物でもある俺に向かって、陰口や視線に耐えられないから離れたいと言える訳も無い所に、その本人である俺から『この場から離れても良い』と言われれば、その言葉に喜々として飛びついて来るだろう。
俺の頭の良さが我ながら恐ろしい。
この頭の回転の速さを利用すれば〇ライピオもそうやすやすと負けはしまい(勝てるとは言っていない)。
「心遣い、ありがとうございます。ですが私はロベルト様の妻となる者。であれば今からロベルト様に向けられた様々な物から逃げていては、妻として務まるものも務まらないでしょう」
「…………え?」
「私は、ロベルト様が思っている程弱い女ではございませんし、守られるだけの者になるつもりもございません」
「いや……その……そこまで思わなくても……」
「いえ、ロベルト様の優しさは嬉しいのですが、婚約を継続すると誓った時から既に覚悟はしておりましたし、今までロベルト様に守られていた事にも気付かずにこの者たちと同じようにロベルト様の事を悪しき者と決めつけていた過去の自分を、私自身が許せないというのに、ここで逃げては過去の私と何が変わると言うのでしょうか?」
そう言いながら俺の事を見つめてくるオリヴィアの目は力強く、その決意は何を言っても曲げる事は無いという事が伝わってくる。
というかオリヴィアこんなキャラクターだっけか? そもそも俺本人がこの場から離れても良いと言っているのに、何故そうまでし俺の側に居たいというのか理解できない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます