第127話 気のせいだよな……?
なにが言いたいかというと『うんそうだよ』という一言が、俺の口からは言えないという事である。
その為俺はあえて答える事はせず、逆に質問を質問で返す。
オリヴィアであれば間違いなく首を縦に振ってくれる事だろう。
しかし、そのオリヴィアはというと、何故か俺の質問に答えようとしないではないか。
ここで答えるだけで、両親もいる為スムーズに婚約破棄へと進む事ができるというのに、何故渋る必要があるのか? 少しだけ考えてみて俺はある事に気付く。
逆に両親の前だからこそ言えないのではなかろうかと。
もし両親が俺の事を家ではべた褒めしており、それこそ『ロベルト様のお陰でこの家は存続する事ができているのだから、オリヴィアも感謝しなさい』などと口癖のように言っていたのだとすれば、両親の前だからこそ言いづらいというのはあり得るのでは?
さて、どうしたものか? 家庭の事情に、一応まだ婚約者と言えども、そして俺の話であったとしても首を突っ込んで良いものかどうなのか。
流石に俺も他人事ではないので首を突っ込んでいいとは思うのだが、それはあくまでも俺の価値観であり前世での価値観でしかない。
そんな事を考え悩んでいると、オリヴィアが口を開く。
「ロベルト様は……何故私の家族の窮地を助けたのでしょうか……?」
「ほう……それは、俺様の気まぐれだという答えではダメか?」
「……気まぐれで助けるには……あまりにも額が大きすぎます。それに、ここ最近ロベルト様の事をよく見ていたのですが、私の前でこそ横柄な態度を取られますがそれだけです。私のいない場所ではむしろ大人しく、それだけではなく男たちに絡まれている平民女性を無償で助けて立ち去る所もこの目で見ました。……それに、あの日私に婚約破棄を提案してきてからは、確かに私への態度は横柄ではあるものの、今までと違ってあくまでも態度のみであり罵詈雑言などは一切聞かなくなりました……」
「……それで?」
……あれ? なんか俺が想像していたような展開とは違う方向へ進んで行っているような気がしないでもないのだが、気のせいだろうか?
俺の第六感が『早くこの小娘の口を黙らせろっ!!』と忠告して来るのだが……。
気のせいだよな……? こ、好感度が上がるようなアイテムを使っていないにも関わらず、好感度が上がるなどあり得るのか……?
そして俺はこないだのスタンピードの時、何故か好感度が上がっていたマリエルとサーシャの事を思い出す……。
あ、普通にあり得たな……。何故その時にオリヴィアの事まで頭が回らなかったのか……っ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます