第100話 百年以上生きてもガキはガキ



「人間どもを見くびるからそうなるんだよ、マリア。まったく貴女という人は肝心なところで手を抜く癖はいつになったらぬけるんだろうかねぇ?」


 折角百年かけた計画が無駄になっていまい苛立っている私に向かって濃い紫色のローヴを被っている鷲鼻の老婆であるニルバナがおちょくってくるではないか。


 喧嘩を売っているのならば買いたいところではあるものの今の私ではこの老婆に太刀打ちできないのでグッと堪える事しかできない。


 恐らくニルバナもそれが分かっていておちょくってくるのだろう。


「覚えておきなさいよ。次会った時は貴女を私の可愛いペットの餌にしてあげるわ」

「おぉ。それは怖いですねぇ。老い先短い老婆に対してもう少し優しくしようとは思わないのかい?」

「良く言うよ。まだ数百年は死なない上に帝国の宮廷魔術師を束ねる魔術省のトップと同等の力を持っていながらその見た目も相まって弱者のフリをする……。私には何が楽しいのか分からないわね」

「フン。そんな老婆と会話している内にいつもの冷静さを取り戻したのではないのかい?」


 ニルバナは私に向かってそう話す。


 確かに未だあの謎の男には腸が煮えくり返るくらいには腹が立つし絶対に許しはしないと思える程怒っているのだが、悔しいけれど先ほどのように我を忘れて怒り狂ってしまうという程でも無くなっている事に気付く。


「その様子だと図星だったみたいだねぇ。百年以上生きてもガキはガキさね」

「…………はぁ、今回だけは貴女のその態度を許してあげるけど次は無いからね」

「おぉ、怖い怖い。おいぼれは殺される前に撤退するとしますかのう」


 そしてニルバナは私が冷静さを取り戻した事を確認すると、そそくさとどこかへ消えて行くではないか。


 まったく、食えない老婆だ。


 しかし、ニルバナのお陰で冷静さを取り戻した私は、私の可愛いペットを殺しまくったあの男をどうやって倒すべきか考え始めるのであった。



◆ガーランド・オーガスside



「ギルドマスター……っ!! もう持ちませんっ!!」

「くそ、ここまでなのか……っ!」


 殺しても殺してもどこからともなく沸いてきては襲ってくる魔獣たちを殺しながら俺はその魔獣に飲み込まれそうになっている部下を見て悪態を吐く。


 せめて娘が逃げる事ができるだけの時間だけは稼がなければと思うのだが、魔獣たちは俺の想像以上に強く、どうやらこれ以上この魔獣たちを抑え込む事は無理そうである。


 魔剣を使用しすぎて魔力も枯渇していれば体力的にも最早限界に近い俺にはここから巻き返す方法が何も思いつきそうにない。




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 祝!! 100話!! (∩´∀`)∩


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