第99話 細かいところでの意思疎通



 幸せそうにそう語るマリとルイなのだが……とても聞き逃せない単語を耳にしたんだが……。


「……なぁ、二人とも、少し良いか?」

「主様であれば何でも言ってください、なんだったら、少しエッチな命令であっても……ごにょごにょ」

「はい、何でしょうか? 主様」



 とりあえず疑問に思った事を『後日聞けば良いや』と流してしまうと大変な事になりかねないというか、やはりこういう細かいところでの意思疎通というか認識の擦り合わせは長期的に見てもかなり重要な事である為、後に回さずに今聞くべきであると判断した俺は早速マリとルイに確認する事にするのだが……マリがむっつりスケベというギャップの方が気になてしまい俺の意識がそちら側に流されてしまいそうになるのをグッと堪える。


「いや、先ほど隷属という言葉を聞いたのだが……本当に俺たちは隷属できたのか?」

「あぁ、主様も知っての通り我らダークエルフはマナ……所謂本当の名前を呼ばれた相手と主従関係になるというものがあるのだが……本当に俺達姉妹は主様と隷属関係を結ぶことができたようだ……その……今まで感じた事が無いくらいに今幸せな気持ちに包まれているんだ……っ」

「えぇ……私達姉妹はまさにこの日の為に産まれたのだと思える程には、物凄い幸福感に包まれております……っ」


 ……え? そんな話は聞いてなかったんだが……。というか『主様も知っての通り』って、知らねぇよ。というかダークエルフの常識を俺達ヒューマンが知っている体で物事を薦められても困ると言うか……細かいところを擦り合わせていく大切さを今まさに身をもって分からされているんだが……。


 どうしてこうなった……。


 はぁ、なってしまったものは仕方がない……。

 

  所詮は部下か奴隷かの違いだろう、俺の下で仕えるという点では似たようなものではないか……結構大きな違いな気がするのだがきっと気のせいだろう。


「フン、俺様の奴隷となったからにはそれ相応の働きを見せてもらうぞ?」

「「はいっ!!」」


 そして俺はこの憂さ晴らしをるす為にスタンピードを潰しに行くのであった。



◆とある組織の女性side



 なんだアイツはっ!? 私の作戦は完ぺきだったはずだっ!!


 にも関わらず私が役百年に渡って集め、育てて来た魔獣たちがたった一日で物言わぬ肉の塊にされていくではないかっ!!


 しかもあの野郎……この私が監視している事に気付いて挑発までしてきやがってっ!!


「かなり苛立ってますなぁ」

「ちっ、いくら繁殖力の高い魔獣を集めて育ててきたと言っても、それでも百年はかかったのよ。 その努力を無駄にされて怒らない人がいるのならば連れてきて欲しいくらいだよ、まったく」

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