第98話 赤と緑の兄弟
「そうか、分かった。君がここまで言うのであればそうなのだろう」
「……そ、そうだっ」
なんか少しだけ寂しそうで残念そうな表情をしながら姉が答えるのだが、こればかりは仕方がない。
俺も死にたくはないので死亡フラグの可能性が増えるような行為は出来ればしたくない。
なのでここは姉が、本当はロマンチストであるという事はその反応から見れば分かるし、なんとなく俺に対して少なからず好意を抱いているというのも伝わってくるのをスルーして、姉の照れ隠しに全力で乗る事にする。
「それで、配下にするのは良いのだが、俺様はまだお前たちの名前を知らないのだが?」
「あ、主様……っ!!」
「ま、まさかそこまでのお覚悟を……っ!!」
「? ……いや、良く分からないのだが、俺様の配下になるからには名前を知らないと色々とこれから不便であろう?」
とりあえず話を夜の営みから逸らす為にも話題を変える事にするのだが、何か話題は無いかと考えたてみれば、そう言えばこの姉妹の名前を知らなかったなという事を思い出した俺は早速名前を確認する。
すると姉妹は何故か感極まったような表情になったかと思うと、二人ともぼろぼろと泣き始めるではないか?
え? 俺何かヤバい事を聞いた? ただ名前を聞いただけなんだが、それがどうしてこんな状況になってしまっているのだろうか?
しかしいくら考えても名前を聞いただけで泣かれる原因が分かる筈もなく、俺一人だけこの状況についていけないんだが……?
まぁ、名前を聞くだけだし何も無いだろう。
「で、では自己紹介をさせていただきます。私はルイ・シ・シシルカでございます」
「お、俺はマリ・シ・シシルカだ……っ」
「なるほど……姉がマリ・シ・シシルカで妹がルイ・シ・シシルカだな。ではこれからはマリとルイで呼ばせてもらおう」
そして二人から名前を確認するのだが、何となく赤と緑の兄弟が脳裏に過ってしまいそうになる名前に、少しばかり親近感が沸いてきてしまう。
「あ……あぁっ!?」
「ん……っ、あっ、温かい……っ!!」
そんな二人の名前を口にした瞬間、何故か二人は顔を赤らめて悶え始めるではないか。
一体何が起きているのか分からず、ただオロオロとするだけの存在となりかけるのだが、ここでオロオロしていてはカッコいい悪役ではないと、ぐっと堪え、さもこうなる事が当たり前であるかのように堂々と突っ立て二人を眺める。
「はぁはぁ……我らがダークエルフは
「くっ、まさか心を許した者と隷属関係になる事がこれほどまでに心地よいと思ってしまうとは……っ!!」
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