第89話 悪役はやっぱりカッコイイ


 因みにこの言葉は某モンスターをボールで捕まえて旅をするRPGに出てくる悪役、またはライバルが仲間のモンスターに対して良く使う言葉なのだが、その言葉とは裏腹にパーティーはほとんど変わっていなかったり懐かないと進化しないモンスターを進化させていたり、美しさを高めないと進化しないモンスターを進化させていたりと、しっかりと愛情を込めている事が伝わってくるからこそ、その言葉に深みが増し『こういう悪役はやっぱりカッコイイ』と思える瞬間でもあった。


「何とでも言えばいいさ。それに道具として扱われるのが嫌だというのであれば、マリエルもサーシャも俺の元から離れれば良いさ。どうする?」

「あぁ、道具というのであればもっと雑に扱ってくださいっ!!」

「離れる訳がないだろう。むしろ女だからと言って無意識に『男から守られるべき存在である』と見下しているプレヴォの方が、私は腹が立つね」

「お、お前達……正気かっ!? 道具だと言われたんだぞっ!! ……くっ、やはりロベルト……お前はオリヴィアを含めた彼女たちに対して何らかの方法で洗脳しやがったな……っ!!」


 とりあえずマリエルとサーシャにも確認すると、道具として言われる事に関しては問題ないようなのだが、それを確認したプレヴォは何を勘違いしたのか俺がマリエルとサーシャを洗脳したのだと言い始めるではないか。


「……自分の予想と違う結果になった時に、そうやって都合良い答えに縋りつくのは止めた方が良いぞ? まぁ、それを言ったところで聞きやしないだろうから洗脳というのであれば好きなだけ解いてみれば良いさ」

「あぁ、そうさせて貰うつもりだし、その為に洗脳解除の魔術が組み込まれた魔杖も持ってきたんだからな」


 プレヴォはどうやらマリエルとサーシャは俺が洗脳していると予め予想していたのか、わざわざ洗脳解除の魔術が組み込まれている杖を持ってきているようである。


 もしそれをこの時の為に購入したのであれば無駄な出費だろうが、これも勉強代として受け入れるしかないだろう……受け入れられるとは思えないのが若干の不安ではあるが、それを選ぶのはプレヴォ自身なので俺が横からどうこう言うのも違うだろう。


「それで、お前の言う洗脳とやらは解けたのか?」


 そして、先程から何度も杖を振って魔術を行使しているプレヴォへ効果がない事を知りつつも、マリエルとサーシャの洗脳が解けたのか聞いてみる。


「う、うるさいっ!! くそっ!! 何で何度も解術しているのに洗脳が解ける気配が無いんだっ!! まさか、偽物を掴まされたのかっ!?」


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