第88話 最高の相棒である



「フン、予めエリクサーを大量に生成しておいて正解だったな」

「流石ロベルト様。初めは何でこんなにも大量にエリクサーという伝説の回復薬がいるのかと思っていたのですが、全てお見通しであったという事ですね」

「あったりまえだろうっ!? 何せ将来私と結婚するロベルト様だからなっ!! 将来の私の旦那様になる男であればそれくらい予測して当たり前であろうっ!!」

「……ロベルト様の予測は当たっていましたが、サーシャの『将来の旦那様になる男』という予期は外れていると断言いたしましょう。まぁ、良くて妾くらいにはなれるかとは思いますのでせいぜい頑張ってください」


 とりあえず、予めエリクサーを大量に作っておいて良かった思い、思わず口にしただけなのに何故かそのせいでマリエルとサーシャが喧嘩をし始めるではないか。


 もしこの一言が無ければ二人が喧嘩をし始める事も無いだろうと予測できていれば黙っていたのに……。


「おいロベルトッ!! 何でこんな危険なところにマリエルとサーシャを連れてきているんだっ!! 女学生は別の場所に配属の筈だろうっ!?」


 ただでさえうるさいと思っていたところにプレヴォが俺を見つけるや否や突っかかってくるではないか。


 フラグ回収イベントである以上プレヴォがここで俺に突っかかって来るのは知っていたのだが、それでも鬱陶しいものは鬱陶しいと感じるものである。


「それの何が悪い?」

「悪いに決まっているだろうっ!! ここは前線の次に危険な場所なんだぞっ!!

「だから何だというのだ? 俺様がこいつらをここへ連れて来て何が問題だ? こいつらは俺の道具だ。道具をどこへ持って行きどう使おうが俺様の勝手であろう」

「……クズが……っ!! 人を道具としてしか見ていないお前はやはりここで潰しておかなければならないゴミクズだったという事がはっきりしたっ!!」


 俺がサーシャとマリエルの事を道具と発言すると目に見えてプレヴォの表情が憤怒の表情へと染まっていくのが分かる。


 そんなプレヴォの表情を見て俺は『あぁ、俺は今最高に悪役をしているっ!!』と一人勝手にゾクゾクし始める。


 昔から言ってみたかった言葉ランキングの中でもかなりの上位である『仲間の事を道具だと発言する』ことを言えたので、長年の夢がプレヴォのお陰で叶い感無量である。


 まさかこの言葉を、最高のシチュエーションで言える日が来るとは思っていなかったのでプレヴォに関しては感謝しかない。


 俺にとって最高の相棒であると言っても良いかもしれない。


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近況ノート(限定)にて96話(ストック分)まで更新いたしました。

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