第85話 きっと俺の言葉は届かないだろう
しかしながらプレヴォはそんな私の気持ちに気付いてくれずに尚も強い口調で私の事をコントロールしようとしてくるので、私は今感じている気持ちをちゃんとプレヴォに伝える事にする。流石にここまで言えばプレヴォも納得してくれるだろう。
「そ、そんな……っ」
「だから、私はプレヴォの事をこれ以上嫌いになりたくないから、一旦落ち着くまで距離を置きましょう……」
「……何で、こんな事に……っ」
私から言われた言葉にプレヴォはかなりショックを受けていたようで、項垂れる。
そんなプレヴォに掛ける言葉が見つからずに、ただ見る事しか出来ない無言の時間が流れるのだが、先に口を開いたのはプレヴォであった。
「そうか……分かった。そういう事か……」
プレヴォのその言葉を聞いて私の思いはプレヴォに届いたのだと安心したのだが、そうではなかった。
「おかしいと思っていたんだよ。マリエルに続きサーシャまでロベルトの事を褒めたたえるようになるとかどう考えてもおかしかったんだ。そもそも二人ともロベルトの事を心の底から嫌っていたにも拘らず、短時間で好きになんてなる訳がないと、当たり前の事ではないか。そしてオリヴィア、君もどうやらロベルトの毒牙にかかってしまったようだ。恐らく精神操作系の魔術か何かを行使したんだろう。もしかしたら相手に対する感情を反転させる魔道具か何かかもしれない。どちらにせよ今のオリヴィアは通常の判断がロベルトのせいでできないという事なのだろう」
プレヴォは何かに気付いたかのような表情をしていたので、一体どんな事に気付いたのだろうか? とプレヴォの話に耳を傾けていたのだけれども、プレヴォの話すその内容を私は理解することができなかった。
ただ分かる事は『プレヴォは今現在起きている事を認めたくない』という事だけである。
「ロベルトの野郎……どこまでクズなんだ。女の子に対してこんな非道な事をしておいて許されると思っていたら大間違いだという事を教えてやらなければならないようだ……っ!!」
そしてプレヴォは勘違いをしたまま何かを決意した表情になると私の両肩に手を強く置いて、見つめてくる。
「オリヴィア、待っていてくれっ!! 必ず俺がロベルトにかけられている洗脳解いてあげるからっ!!」
「違うっ。そうじゃないのっ!! 私の話をちゃんと聞いてっ!! 私はロベルト様に洗脳なんかされていないっ!!」
「ロベルトによって洗脳されたき今の君には、きっと俺の言葉は届かないだろう。必ず助け出してやるから……っ!!」
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